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バイテクとか


★バイオテクノロジーの基本と科学史

遺伝子操作や人工的に細胞を培養するなどして生物を利用する技術。

生命操作 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 21)
という本がわかりやすいのでおすすめです。

テクノロジーとは知識を実用化することである。
つまり、自然の原理や法則を応用することである。
これが世界を変えてきた。
イギリスで起きた産業革命では、物理学、化学が蒸気機関を生み出し、
小国を世界の中心にした。機械の力が世界を凌駕したのである。

従って、テクノロジーの中心には物理・化学を応用した機械があった。
しかし、生物学が発展してくると次の事が分かってきた。

生物は酵素などのナノマシンからなる機械と見なせるということだ。
すなわち、生物はとっくに産業革命を行っていたのだ。
しかも、何度もである。

そのため、生物やその設計図から学ぶことは多く、
さらに物理や化学の知識を用いて、これを応用することができる。
これがバイオテクノロジーである。

この技術は特に医療に応用される。
なぜなら生物を機械と見なせば、病気とは部品や機関の故障だからである。

すなわち、故障した部品を修理するか、取り替えることが治療であり、
そのためには設計図(DNA)を修正するか、
もしくは正常な部品(おもにタンパク質)を生産することが必要なのである。(遺伝子診断・遺伝子治療に発展)

●遺伝子組換え

生物から遺伝子を切り出し増幅させ、
別の生物の細胞に組み込んで発現させる技術のこと

タンパク質の生産やタンパク質の機能解析等に利用される。

・ 遺伝子組換えのための技術

遺伝子組換えには様々な技術、特殊なDNA、酵素が必要である。

制限酵素
 DNAの特定の塩基配列を認識して2本鎖DNA鎖を切断する酵素。
DNAリガーゼ
 DNA鎖の末端同士を結合させる酵素。
プラスミド
 大腸菌の体内で半自律的に(大腸菌の酵素等を使って)増殖する。
 そのような能力を有する環状のDNA。
ベクター
 細胞に遺伝子を導入する運び屋として機能する分子やウイルス。
バクテリオファージ
 細菌に感染するウイルス。ベクターとして利用できるものもある。
アグロバクテリウム法
 植物に感染する土壌細菌としてアグロバクテリウムが知られている。
 これは感染するとクラウンゴールという腫瘍を植物に引き起こす。
 その仕組みは次のようなものである。
(1)アグロバクテリウムがもつTiプラスミドには、
   T-DNA(Transfer-DNA)という領域が含まれており、
   この領域が感染した細胞の核DNAに組み込まれる。
(2)T-DNAに存在する遺伝子が核で発現し、腫瘍が生じる。
   つまり、T-DNA領域の遺伝子配列を別のものに変えるだけで、
   アグロバクテリウムを使った植物への遺伝子組換えが可能である。  
(1)、(2)を利用した遺伝子組み換えをアグロバクテリウム法という

T-DNAの模式図(通常は植物ホルモンの遺伝子が増殖に関わるので腫瘍化を引き起こす)

クローニング
 必要なDNAの部分を生物から取り出し(単離し)、増幅させること
 クローニングの方法として、主に2つの方法がある。
PCR法ポリメラーゼ連鎖反応法
増やしたいDNA領域を組み込んだプラスミドを用意し、
 これを大腸菌に導入して、大腸菌にほしいDNAを増幅させる方法

 これを効率的に行うための選抜方法も確立されており、
 ブルーホワイトセレクション等をよく見かける。

スクリーニング
 目的のモノを選び出すこと目的のモノを選び出す操作
 ブルーホワイトセレクションもスクリーニングの1つ。
 相補性を利用したハイブリダイゼーション法は、
 DNAのスクリーニングに使われる。
ハイブリダイゼーション
 塩基配列が完全もしくは大体において相補的な核酸同士を、
 熱変性した後にゆっくり冷ますと自然に2本鎖の構造を形成すること

cDNA(相補的DNA)逆転写
 真核生物の遺伝子の多くはイントロンを含むので、
 遺伝子のDNAを直接プラスミドに組み込んでも、
 大腸菌ではその遺伝子を上手く発現させることができない。
 
 よって大腸菌で遺伝子を発現させたい場合には逆転写をさらに利用する。
 まず、生物がもつmRNAを抽出し、逆転写を行う。
 すると、エキソンだけがつながった状態のDNAが得られる。
 これをcDNAと呼ぶ。後は、cDNAをプラスミドに組込み発現させる。

・組換え用プラスミドの構造

次の3つの配列、つまり構造を有する。
①複製起点
: プラスミドの複製に必要
アンピシリン耐性遺伝子: 抗生物質耐性遺伝子
GFP: 緑色蛍光タンパク質
 
GFPの部分には別の発色する遺伝子が使われることも多い。
遺伝子組み換えの際はこの遺伝子内部に他のDNAを入れ込む(組み込む)。
これが上手くいけばその遺伝子が壊れる。

つまり、発色が消えることで組み換えが上手く行ったことがわかる。
ただし、目的の配列が正確に入ったとは限らないので、
実際にはさらなる工夫や実験が必要となる。
例えば、その部分の遺伝子配列を読んだり制限酵素で切ってみたりする。

・大腸菌を使った遺伝子組換えと遺伝子組換え大腸菌の選抜

通常は2段階選別(スクリーニング)で目的の組換え大腸菌を得る。
なぜなら次の問題があるからである。

プラスミドが入っていない大腸菌が存在する
プラスミドが入っていても、
 発現させたい、増やしたいDNAが挿入されていないものがある

これらの大腸菌が混ざると、ほしいものが少ししか得られないことが多い。なぜなら大腸菌にとって余計なプラスミドの合成及び発現を行わせるので、
これらを行わない普通の大腸菌の方が成長、分裂しやすい。

2段階選抜の方法は以下のような手順である。
また、ブルーホワイトセレクションもこの一種である。

抗生物質を与える
⇒ 普通の細菌死亡
⇒ プラスミドの取り込みが成功ならば耐性があり生存。

生き残った大腸菌の色(特徴)を確認
⇒ 色(特徴)が無ければ遺伝子の組込みが成功
: プラスミドに遺伝子が組み込まれると色素(特徴)の遺伝子が壊れるため。

●遺伝子組み換えの基本と研究史

生命操作 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 21)
生命操作 (FOR BEGINNERSシリーズ イラスト版オリジナル 21)
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