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魚の香りについて

天竜川の鮎と長良川の鮎は香りが違うんだよ、みたいな高度な話では全くありません。念のため。もっと基本的なお話です。

まず生きてる魚について。
鮎は苔などを食べる草食なので爽やかな香りがして、チヌ(クロダイ)は悪食なので臭い等々いろんな説がありますが、食べ物が影響してるのは間違いないでしょう。
関西、とくに瀬戸内海の釣りでは、ボラが釣れるとヘドロ食べてるから臭いと疎まれるのですが、そりゃそうでしょう、ヘドロ食べても香りが良いって、なかなか難しいかと思います。
しかし、日本海で冬に釣れたボラの刺身は、ヘタな鯛を凌ぐほどの旨さ。 

淡水では、鯉やブラックバスがいます。
鯉は水が綺麗であれば、大変おいしい魚です。
ブラックバスは元々食用として持ってきた魚であることは有名ですが、たしかに綺麗な湖にいるブラックバスは刺身や塩焼きにするとなかなかのもの。食用としては高級なスズキ目の魚で、もしあの模様を消したら、「ヒラスズキ」にそっくりです。

生きてる魚は、食べ物と水が魚の香りに影響してるのであって、元々臭い魚、というのはほぼいないと思います。水キレイなら魚は全部うまい!(たぶん)

↑〈明石鯛とツバス。新鮮です!〉

次は死んだあとの魚。
これは生きてるときとは全く違うものと考える必要がありますよ。

スーパーに売ってるものは99%大抵死んでますね。同じ魚でも釣れたての生きてるときとは明らかに香りが別物。だって「死臭」ですから。。なのに、世の中のほとんどの人が、「魚の香り」といってもこの「死臭」のほうしか嗅いだことがない。
私は生きてるときの魚のよいイメージがあるので、きっと死臭を嗅いでも、良いときの先入観で脳内で補正がかかってるに違いないです。魚嫌いな子供がいるとしたら、それは死臭しか嗅いだことがないか、ヘンな調理で水分の抜け切ったパサパサの魚を食べたかに決まってるのです。 

↑〈メイタガレイの体臭が好き。なんかクセになる独特の香り〉

小魚なんかで試すと本当によくわかるのですが、昔、川で魚を釣って、お腹がすいてその場で刺身でよく食べていました。生きている小魚は雑魚でも清冽な香りがします、釣りたてを食べたという興奮も相俟ってその青くさい感動はなかなかのものでした笑。

↑〈アマゴ。生きてる魚はいい匂いです!〉

しかし、死んで一時間たつとそれは消えます。

料理レシピで「魚の臭みを消すには、生姜を入れましょう」と書かれているのが当たり前になってますが、正直、新鮮で下処理されてると生姜とかいらないですね。
そもそも、そこまで臭いなら、何で頑張って食べるんでしょう? 不思議!
臭いということは、下処理をうまくされてない、内臓の一部や血が残って、それが原因だと思いますが、そのへんはまたの機会に。。  

↑〈天然鮎の尾ビレ。これだけで匂いします。〉

でもとりあえず、少々古い魚を買ってしまったんだ!という時もありますよね。特売で安かったんだからしょうがない笑。

そのときは、
真水で思い切って洗って、キッチンペーパーで水分をとり、さらに塩して冷蔵庫に30分おいて、出た水分をとります。旨味も少し抜けてしまうように感じますがいいんです、臭いよりはマシです。
調理は「グリルで焼く」のがいいんではと。フライとかムニエルだと、完全密閉で身を閉じ込めてるので、中は蒸された状態になります。なんか匂いが篭もりそうな気がしませんか?焼くと解放されてて、それがない。そしてネギ刻んでレモン絞って、さらに消して。。

と、ここまで来て、古い魚を買ってある程度おいしく食べるのは、却って手間が多いと気づきます。料理が嫌いだ、という人ほど、新鮮なものを買ったほうがいいんだと。

↑〈究極に魚を感じる料理、鮎の背越し〉

ぜひ生きてる魚、もしくは新鮮な魚を手に入れて、「魚の香り」を嗅いでみてください、新たな発見があるかも!?

#料理  #魚料理 #和食 #寿司 #刺身

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