今日は着せかえ布花の『セイヨウヤドリギ』『ヘレボルス・ニゲル』と、着せかえ布花用ブローチ台『エトワール』のお話です。

クリスマスにちなんだ木と花と星

そもそもこれら3点は、3点セットにした2021年クリスマス商品として企画したものでした。

3点ともクリスマス向けに企画したので、それぞれクリスマスにちなんだ逸話があります。
セイヨウヤドリギは、西欧ではクリスマスに飾る植物として昔から馴染みのあるもの。
ハリーポッターのエピソードや、ディズニーシーのクリスマスシーズンの園内の飾りで日本でもヤドリギの存在が周知されてきたように感じます。
なのでここではヤドリギについては割愛しますね。

ヘレボルス・ニゲルとは？

ヘレボルスは園芸好きの人にはお馴染みのクリスマスローズのこと。
ちょっとややこしいですが、日本ではクリスマスローズという名称が有名なヘレボルス。
外国ではヘレボルスの｢ニゲル｣という品種のみをクリスマスローズと呼びます。
なぜニゲルをクリスマスローズと呼ぶのかは、ニゲルの開花期がクリスマスの頃だからだそう。
ニゲルの特徴は、まっ白な5枚の花弁。
でもニゲルの品種の中にもさらに種類があり、開花が進むと花弁に緑色が滲んだり、赤紫色になったり…と違いがあります。

今回私が着せかえ布花『ヘレボルス・ニゲル』のモデルにしたのは、クリスマスローズの種苗会社『ショップ童仙房』さんの｢クリスマスローズF1“GMマリア3｣。
サイトの写真を見て、ひとめぼれ！
ふわっと大きく開いた一番花を見て思ったのは、白い衣に包まれるような安心感。
マリア様の母性愛を感じずにはいられません。
ほんのりと滲む若草色が、清らかな処女性を思い起こします。
着せかえ布花『ヘレボルス・ニゲル』も、この色合いや雰囲気を形にしたくて制作しました。
シンプルなデザインですが凛とした雰囲気があります。
だからか、身に付けると不思議と背筋がシャンとするのです。
私はちょっと気合いを入れたい時に左の鎖骨付近につけています。

クリスマスの星は何角形？

そして、ブローチ台『エトワール』について。
正八角形の土台に八芒星の形が浮き上がるデザインになっています。

クリスマス→クリスマスツリー→てっぺんのお星様→星の形のブローチ台を作ろう！…という安直な思い付き。
でもクリスマスツリーの星は五芒星では？と思う方も多いはず。
実はツリーのてっぺんの星は『ベツレヘムの星』を象った飾りで、これは伝統的には八芒星だったそうです。

ベツレヘムの星は、キリストの誕生を東方の三賢者に知らせてベツレヘムに導いたという新約聖書のマタイによる福音書に出てきます。
その中では私が確認する限り八芒星という表記はなかったのですが、キリスト誕生を描く絵画には八芒星や彗星で表現されています。

星のお皿を探して…

もともと着せかえ布花用のブローチ台は、お皿をイメージしたもの。
発売中のブローチ台『オクトゴナル』は八角形のお皿をイメージしています。
ベツレヘムの星ということで八芒星の形で作ろうと思いましたが、そもそも八芒星のお皿なんてあるのか…？
皿としては使いづらいだろうなあ…あっても絵皿だろうなあ…と思いながら、画像検索を延々していました。

そしてようやく発見したのが、ラリック(クリスタルガラスや宝飾品のブランド)の八芒星型ガラス皿。
でもこの形をそのまんまブローチ台に仕立てると…何か違う、コレジャナイ！
とりあえず試作してみても、刺繍がとんでもなく大変。
まさかの壁に躓き、暫く頭を抱えました。

お手上げ状態になったので、息抜きがてらにアンティークの食器を扱うサイトをいくつか閲覧することに。
すると、お皿のフチに模様が浮き上がるデザインのものを見つけました。
小さな丸い点や植物模様、縦筋…
絵ではなく、凹凸で表現された繊細な模様を見ていたら天啓が…
八角形の皿のフチに八芒星の凹凸を作ろう!!
そこからまた試行錯誤して、ようやく着せかえ布花用ブローチ台『エトワール』が完成しました。

この作り方を応用すれば、今後さらに面白いブローチ台が作れそうです。
このアイデアが手に入ったのは私にとってかなり嬉しく、まさにクリスマスプレゼントを貰ったように内心はしゃいでいます。

亀の歩みですが、今後もさらに美しく皆様の心を揺さぶるような商品を作っていきます。
どうぞお楽しみに。

[参考]
ウィキメディア財団(2021)｢ウィキペディア｣,ベツレヘムの星.https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ベツレヘムの星
(閲覧日:2022年1月18日).

ショップ童仙房(2012)｢ショップ童仙房｣,クリスマスローズF1“GMマリア3.5号.
https://christmasrose.ocnk.net/phone/product/15(閲覧日:2021年11月18日).