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早生まれは損なのか

わたしは1988年の1月に生まれた。いわゆる早生まれだ。


「早生まれ」の何が早いのか未だに理解ができていないのだが、早生まれでよかったことが何かあっただろうか。


・・・


例に漏れず、幼少期のわたしは背の順では前の方だった。


今では身長176cm、体重72kgとやや大きめなわがままボディーに成長したが、中2くらいまでは背が低く体の線も細かった。

運動事では力勝負で勝てるはずがなく、走る、跳ぶ、逃げる、が基本コマンド。腕相撲ではレフェリーに徹した。



やはり、早生まれは損だ。


それを象徴する事象として

早生まれのプロスポーツ選手が極端に少ない

という話がある。


ロジックとしては

・体格の大きい「非早生まれ」が優先的に試合に出て経験を積む
・その差は開くばかりなので早生まれのプロスポーツ選手が生まれにくい

こんな感じなのだが、果たして本当だろうか・・・



わたしが所属していた野球少年団「音別ヤンガース」のことを思い出してみたい。

1番センター Yくん (7月)
2番ライト Oくん(2月)
3番レフト Yくん(7月)
4番キャッチャー Tくん(8月)
5番ファースト Hくん(4月)
6番ピッチャー Sくん(9月)
7番セカンド Tくん(5月)
8番ショート わい(1月)
9番サード Tくん(3月)

右の括弧が各メンバーの誕生月だ。35歳になった今も、彼らの誕生月は忘れていない。はず。


ちなみに学年で15人いたので、ベンチメンバーは6人。

その6人に早生まれは一人もいないが、11月・12月生まれが3人。1名を除き、みんな体が小さかった。


スタメンを見てみると9人中3人が早生まれと健闘。打順は2,8,9番。全員、素早さと器用さで勝負するタイプの選手だったのは言うまでもない。

クリーンナップに並ぶのはやはり非早生まれ勢。特に4,5,6番は体がデカく、ポジションもピッチャー、キャッチャー、ファーストと「主要なポジションは体のデカい非早生まれでなければ務まらない」という残酷な結果になった。


・・・


「残酷な結果になった」と書いたが、わたしはわかっていた。

昔からずっと「早生まれ」のディスアドバンテージを感じていたし、生き残る方法を考えていたのだ。


その後、わたしのチームメイトの中からプロスポーツ選手が誕生することはなかったが「早生まれ格差」が覆ることはなかった。

つまり、少年スポーツの世界ではほとんどの早生まれがハンデを背負ったまま終わる。そんな早生まれ達がスポーツの世界で主役になるのは相当難しい。


そんな残酷なことをわかっていて、わたしはこんなnoteを書いた。なぜか?



早生まれの子どもたちとその両親に、希望を持ってもらいたいのだ。こんなことを書いてきたけれど、早生まれだから経験できること、それは確かにあった。

そしてもう一つ。早生まれながらに努力をつづけた幼少期の自分を、ちょっと自慢したい。ほんとちょっとだけ。いや、多分に。



わたしが思う、早生まれの希望。

それを端的に書けば「ひたすら自分の武器を磨き上げること」という、まぁ、ありきたりな話になる(笑)



「いや、俺だって力で負けないぞ!」


その志は立派だと思うが「力だけで勝とうとする」のは得策ではない。

非早生まれ勢のパワーと成長速度を舐めてはいけない。あいつらは小6くらいからさらに背が伸びるし、チン毛も生えてくる。


まず伸ばすべきは「自分が優位に戦える領域」だ。


とりわけ少年スポーツの世界では「特徴のある選手」が重宝される。他の選手にない長所で抜きん出る方が圧倒的にポジションを確立しやすい。


例えば野球の場合

「誰よりも足が速い選手」は出来ればスタメンで使いたいし

「誰よりも守備がうまい選手」には重要なポジションを任せたい。


実際、音別ヤンガースの2番打者は2月生まれだったが、誰よりも足が速かった。

左打ちの彼が放つ内野ゴロのほとんどがヒットになり、バントした際には1塁に残るのがお決まりだった。伝説の野球ゲーム・ファミスタの瞬足チートキャラ「ピノ」のモデルは彼だったんじゃないかと思う。



そして、1月生まれのわい。非力のチビで足もそこそこ。

ただ守備練習が異常に好きだった。一人で壁にボールを当てて捕る、そんな遊びを日が暮れるまで毎日やっていた。


そんなわたしが守るショートと3月生まれのTくんが守るサードはまさに鉄壁。Tくんはわたしよりチビだったが、守備がすこぶるうまかった。


「二人の守備は北海道の中でもトップクラス」

後に北海道チャンピオンになった監督が言っていたのだから真実であろうし、ここで盛大に自慢したい。わい、マジでうまかったらしいんよ。



ということで話を戻そう。


チビの生きる道。それは野球なら「守備」と「走力」だ。サッカーで言えばなんなのかまったくわからないが、きっと何かあるだろう。


とにかく「力」「体の大きさ」で勝敗が決まらない部分で勝負すること。

これに尽きる。




さて、気持ちよく幼少時代の自慢をすることもできたので、最後に本当に伝えたかったことを書いて終わりたい。


早生まれはディスアドバンテージではあるが、その分、努力する人間にはなれると思う。

というか、我々人類はあらゆるハンディキャップを真正面から捉え「では、どうしようか」と考えるしかないらしい。


そんな厳しい環境で育ち、やり抜くことができた子どもは強い。

大人になるとこうも大変なことがあるのかと、毎日びっくらこきまろなわたしだが、なんとかここまで生きてきた。

おかげさまで結婚もできて、仕事にも恵まれた。



どうか、早生まれであることを恨まないでほしい。

君が飲み込んだ苦汁の分だけ、大きくなれる。いつか大きな壁にぶち当たったとき、自分の力で、力強く乗り越えていける。

そんな、逞しい大人になっていることだろう。


腕力なんていらない。


わたしは、そう思うぞ。



あとがき

早生まれの子どもを持った、お父さん、お母さん、おめでとうございます。

お子さんはきっと、逞しく育ちます。細かいことを気にせず、両親も逞しくありましょう。


結局、最後は運な気がします。子どもが自分に合うスポーツと出会うか、相性の良い指導者と出会えるか。


皆さんのお子様がすくすくと健康に成長されること、心よりお祈り申し上げます♡


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