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【嫌われる勇気なんていらない】 トラウマの正体は『自律神経のトラブル』だった。|「人」と「社会」とつながろう。

結論から。トラウマやひきこもりの原因は性格の問題ではありません…


どうも

あなたのキャリアを失敗させないコンサルタントのタルイです。

週イチでnote更新してます。


本日あなたにお伝えしたいのは


「トラウマは存在しない」


ご存知「嫌われる勇気」という本が売れて

一躍有名になった言葉です。

「トラウマは存在しない」

このセリフは本の中の哲人が言ったのか

それともアドラー本人が言ったのか

定かではありませんが


これから書くことは

100年前の人であるアドラーも知らない事実です。



「トラウマは存在します」



▼こちらの本が教えてくれました。

現代科学ではトラウマの真の原因も明らかになりました。


結論の続きをお伝えしましょう。

トラウマの正体は


自律神経のトラブルです。


トラウマやPTSDだけではなく

うつ、不登校、ひきこもり...


人とのつながりがうまくいかない原因は

「自立神経がうまく働いていない」ことなのです。


つまり

その人の性格や能力に問題があるわけではなく

単に自立神経のトラブルなのです。


ここからは

●まずポリヴェーガル理論とはなにか?

そして本書の重要なキーワードである

●『安全』が必要な理由

●『絆』が必要な理由


この3点について順番に書いていきます。



◆ポリヴェーガル理論とはなにか?


ポリヴェーガル理論とは

ポリ(複数の)ヴェーガル(迷走神経の)と書きます。

日本語ですと「多重迷走神経理論」です。


アメリカ・イリノイ大学名誉教授である

ステファン・W・ポージェス博士による

新しい自律神経(交感神経・副交感神経)の考え方です。


人間は、自律神経である『交感神経』と『副交感神経』を使い

車のアクセルとブレーキのように

バランスを取りながら体を調節しています。

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今までは、

この「自立神経」は交感神経と副交感神経の2種類と考えられてきました。


ポージェス博士はこれを「実は3種類だった」と提唱したのがポリヴェーガル理論です。

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図のように副交感神経が2本に分かれて

腹側迷走神経(ふくそくめいそうしんけい)

背側迷走神経(はいそくめいそうしんけい)

です。


次に3つの自律神経の役割を説明します。


自律神経には身体の調整機能だけではなく

人とのコミュニケーションにおける

身体の各部位の調整にも関わってます。

いわば「社会とのつながりを促す神経」でもあるのです。


また日常的なストレスを受けた場合

爬虫類や哺乳類、そして我々ヒトも

「生き延びるための手段」としても活動します。

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参考:https://workhappiness.co.jp/blog/trend/tyosendekinai/


●腹側迷走神経系

誰かと一緒にいることで安心・安全を感じたりする神経です。

顔の表情や声のトーンの調節を行い

心拍数を整え

攻撃性を抑えて

仲間とコミュニケーションを取ったり

助け合ったりするための神経です。

空気を読むための神経とも言えます。

こちらの神経が優位に働いている時は

抑揚のあるゆったりした聞いていて

心地よい話し方になります。


筋肉もリラックスし呼吸もゆったり深くなります。

表情も豊かで目に感情が現れたりもします。


●交感神経

「戦うか、逃げるか」を行う神経です。

敵が迫ってきた時に戦うのか・逃げるかして

自分の身を守る防御反応のための神経です。

交感神経が優位に働いているときは

興奮しているので早口になります。

甲高くなりクレーマーのような話し方になったりします。


姿勢も今にも逃げたり戦ったりできるように

力が入り固まります。

呼吸は浅くて早くなります。

集中していて視野が狭くなります。

表情は険しくなります。


●背側迷走神経系

一人でリラックスしているときの神経です。

カフェなどで、ひとりゆっくりしたいときには

「背側迷走神経」が働いていています。

この神経は生命の危機を感じるほどの緊急事態時

例えば、DV、性的虐待、パワハラ、いじめなど

戦うことも逃げることもできない

困難が迫ってきた時に

背側迷走神経が交感神経を一気に

急ブレーキをかけることがあります。


下手に抵抗したら、

逆に殺されてしまう可能性があるため

失神したり、解離したりします。


PCに喩えると

体のあらゆるシステムをシャットダウンして

被害を最小限に抑えようとする防衛反応です。


図1

参考サイト:https://700itami.jp/jiritsu-shinkei.html


現在、ポリヴェーガル理論は

トラウマ治療の科学的説明に広く活用されています。


また

米国のヨガインストラクターを中心に話題になり

日本のヨガインストラクターの間でも

最近この理論が支持されるようになっていました。



なぜ、トラウマ治療に応用されるのか?


トラウマは身体的安全性が欠乏した環境で起こるからです。



◆心理的安全性も身体的安全性から生まれる


私たち人間は周囲の環境が

「安全であるか」「危険であるか」「生命の危機か」

自立神経系の働きによって意思とは無関係に自動的に働き

身体の状態を調整しています。


ここは大切なので2回書きます。


自律神経はあなたの意思とは無関係に

自動的に身体の状態を調整しています。


●まず私たちは正常な状態(安全な状態)のときは

下記の図のように2つの自律神経が

互いにアクセルとブレーキの関係ように

なめらかにうまくバランスを取っています。

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そのバランスを調整しているのが、腹側迷走神経です。

このバランスが取れている状態「安全である」時は

腹側迷走神経が交感神経を抑制しています。


この場合は、ゆっくりブレーキをかけています。


あなたの職場にパワハラ上司やモラハラ上司がいたと想定しましょう。


とりあえず笑顔で挨拶できます。

正確にいうと、

これは上手に笑顔をつくって防衛している様子です。



●ところが、ストレスが増えてくる「危険な状態」に差し掛かると

交感神経が緊張してきます。


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パワハラ上司に対して 

パワーでやり返す・言い返す・反抗的態度をとる。

もしくは 逃げる・避ける

動物でいうと闘争か逃走反応をします。


さらに耐えられないくらいにストレスが掛かり、

「生命の危険」を感じるようになると、

背側迷走神経が交感神経に急ブレーキをかけます。

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交感神経がシャットダウンしてしまい

まったくやる気が起きなくなっている状態です。


身体がだるすぎて動くことが出来ないなど

自分ではどうしようもない状態にまで

陥っている場合は

背側迷走神経により

フリーズ(凍り付き反応・不動化)が

起きている可能性があるのです。


人間は基本的にこの3つのパターンで自分の身を守っているのです。


私はキャリアコンサルタントとして

「心理的安全性」をキーワードとして

組織改革の提言をしております。


このポリヴェーガル理論を学んでわかりました。

心理的安全性は身体的安全性がないと

成立しないのです。



私たちはいままで

「心」と「身体」の問題を

切り離して考えてきました。



「身体」に問題が生じたときは

外科か内科で治療を受けます。



「心」が不調に陥れば精神科や心療内科を受診します。



私たちは、脳が生命および精神的な活動の司令塔だと思いがちです。


ですが

むしろ自律神経が私たちの脳に思考に

多大な影響を持つことがわかってきたのです。


トラウマは身体的安全性が欠乏した以外にも

周りの人間との『絆』はとても重要です。

◆トラウマは絆が感じられないと生まれる


あなたは頭ではわかっていても

心では思っていても

どうしても体が動かない!

という経験はありませんか?

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『トラウマ』は幼少期な虐待

地震災害などに遭遇した場合にだけ

起こるのではありません。


『トラウマ』は

出来事そのものの重大さではなく

個人の神経系にとってその出来事はどうだったか

ということが問題になります。


まわりの大人が子どもに対する接し方で

その子どもの人生に大きく影響を与えることもあります。


幼いときに周りから繰り返し不適切な対応をされて

「安全」を感じることができず

健やかな自己像と世界観を獲得することが

できなかったこともトラウマとなるのです。


●子どもの「心の問題」の背景にある大人の「心の問題」

この記事は東京学芸大学 大河原 美以教授が

「親と子の「心の問題」と向き合うために」のテーマを

ポリヴェーガル理論をつかって説明されてます。


親が期待する「強い子」と「よい子」について

この記事より引用します。


親は子供に

「嫌なことがあっても笑顔で乗り越えることができる子」

になってほしいと願います。


ところが

「嫌なことがあっても笑顔でいる」ということは


「フリーズ反応で適応してほしいと願っている」


そう子供に受け取られるのです。


「強い心」とは

「嫌な気持ちを感じないように押し込めることができること」

ではないのです。

いじめられたら、学校に行きたくないと思うのが当然のことである。「いじめを笑顔で乗り越える」ことをめざすとき、子どもの脳の中には異常な防衛が作動してしまうことになる。

そのため、笑顔でいじめを乗り越えようとしている被害者が

自殺を企図したり

のちに加害者になってしまったりするという

悲劇を生むのだそうです。



◆【解決策】 大丈夫、自分でコントロールできる


ここまではポリヴェーガル理論で解明された

ネガティブな側面ばかりをお伝えしてきました。


原因が科学で解明されたということは

解決策がわかったということです!


この問題も自分で解決する方法がありました。


▼こちらにセルフケアの参考になる情報がありました。

神経セラピストの浅井咲子さんが提唱されてる

たった5つの動作で自己調整ができます。


※ポリヴェーガル理論に関する本も何冊か出版されてます。そのうちnoteで紹介したいと思ってます。


またこれ以外でも

一般的に自律神経に良いとされる行動は

以下の通りです。


●神経を興奮させるカフェインなどを取らない日を作る

●寝る1時間ぐらい前からテレビやスマホを見ない生活を心がける

●仕事以外での社会的なつながりを作る

●散歩やウォーキングをする

●ゆったり入浴する

●自然の音を聞く

●動物と遊ぶ、触れ合う

●笑う、歌う

●ヨガやダンスなどをする

●音楽を聴く

●遊びや趣味を取り入れる

などです


ここでは自分でコントロールする方法を書きました。

もちろん症状が強い場合は専門の治療やセラピーを受けてほしいです。



◆まとめ 急ブレーキの前に緩やかなブレーキを


ポリヴェーガル理論をまとめます。

●自立神経は『交感神経』と『腹側迷走神経』と『背側迷走神経』の3つ

●自律神経は意思とは無関係に身体の状態を調整している

●トラウマが多いと周囲を危険と感じることが多く「闘うか・逃げるか」「シャットダウン」になり自律神経のバランスを崩しやすい


3つの自律神経がバランスよく働くことで

心身ともに活気と活力がみなぎります。


人と一緒にいると心地よく楽しめます。

食事も美味しくて

ぐっすりと眠れる生活がおくれるのです。


もちろん

いつも好調というわけにはいきません。

ストレスがかかれば当然

自律神経のバランスが乱れます。


交感神経が優位になりすぎて、

イライラしたり眠れなくなったりもします。


背側迷走神経の働きが低下して

食欲がなくなったり便秘になったりもします。


そんなときに大切なのは

人と「安心安全」に「絆」でつながれる環境です。


友情でつながる友達とか

愛情でつながる恋人とか

そういった関係が苦手でも

共通の趣味とか目的でつながる「仲間」でも

いいかもしれません。


ストレスを軽減しやすくする腹側迷走神経の働かせましょう!


急ブレーキの前に、ゆるやかなブレーキを。



前回の記事でもお伝えしましたが

社会に「嫌われてもいい勇気」なんて存在しません。


積極的に社会と繋がりましょう。



では最後に、

書籍「嫌われる勇気」で

なぜ「トラウマは存在しない」と書かれたのか?

私なりに考察してみました。


◆《タルイ的まとめ》 目的論とトラウマの存在は別の話


私はこの3年ほど「アドラー心理学」に出会ってから

自分のキャリアコンサルにも取り入れて考えてきました。


アドラーのアドラー(熱狂的信者)とまではいえませんが

アルフレッド・アドラーの考え方自体には

深いリスペクトを抱いております。


そして一つの結論が出ました。


「嫌われる勇気」はたいへん誤解されている本です。


アドラー心理学とは、

自分さえ肯定できれば、過去も他人も関係ないさと

「嫌われてもいい勇気」を推奨する心理学ではありません。


さらにいうと

臨床心理学ではないのでエビデンスも存在しません。


もっというと

アドラー自身の著書や学説が絶対的に少なく、

後世の人によって流派も存在し、考え方自体も違いがあります。


どちらかというと心理学と言うよりは自己啓発論なのです。


とくに「嫌われる勇気」では

人は過去の原因ではなく未来の目的に沿って行動する「目的論」

「トラウマは存在しない」のくだりは

別の話として説明する必要があったのではと考えます。


本書のやり取りですと

過去に学校や職場といった場所でいじめられ傷付いた経験がトラウマのクライエントに対し

過去のトラウマ分析から

現在と未来を考えるフロイト心理学に対し

アドラーは真逆であるという説明に

「トラウマは存在しない」としたのだと思います。


▼こちらの動画によると、米国アドラー大学院では

「トラウマは存在しない」とは考えていないようです。


確かに100年前の心理学では

「傷つけられた行為」自体がトラウマの原因となるのですが


現在の科学では

お伝えしたとおり真因は「自律神経のトラブル」です。


よってフロイト心理学もアドラー心理学も両方とも間違いです。


トラウマやPTSDで悩み、ひきこもっているクライエントに

「あなたは外に出たくないから、不安という感情を作りだしているんですよ」

こんなことをクライエントに言うバカなカウンセラーもいません。


あなたも

「トラウマは存在しないよ!だから元気出しなよ!」


といって励ますことなんてできますか?

かえって相手を傷つけてしまいかねません。



つまり、私は何が言いたいのかというと...

「断定する文言」(●●だ、〇〇である口調)を読んだときは

同時にエビデンス(論拠)も確認したほうがいいです。


売れる本はほとんどが「断定形で言い切る」文章を書いてます。


正確にいうと

時に著者の意向と反することもあります。

そう書くように編集されることもあるのです。


もう、間違ったアプローチで

彼らを2重に3重に苦しめることがないように

切に願うばかりです。





この記事は私に『ポリヴェーガル理論』の存在を教えてくれた珈琲タイムさんに捧げます

記事の更新が遅くなってゴメンナサイ。




◎note記事のアンケート作りました。

◎お問い合わせフォームも作りました。

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今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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