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【マネジメント】説教臭くならずに、部下に大切なことに伝える方法

こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
 
部下に大切なことを伝えるとき、「上から目線」にならないようにしたい――。そんな考えを持っているリーダーは多いようでしょう。
 
現場に入って、目標を絶対達成させる超人気コンサルタントとして知られる、アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長の横山信弘さんは、著書『「空気」で人を動かす』の中で、「上から目線」にならずに、伝えたいことを伝えるコミュニケーションテクニックを紹介しています。今回はその該当箇所を一部編集して公開します。

説教臭くならない話法──「マイ・フレンド・ジョン」

 リーダーが部下に何かを教える際に、ぜひとも活用してもらいたいのが「マイ・フレンド・ジョン」という話法です。これは「ティーチング」が説教臭くならないという点で、とてもおすすめです。
「マイ・フレンド・ジョン」とは、「友達のジョン」という意味が示すとおり、「私ではなく、別の人が言っていたんだけど……」と、誰かの口を借りて伝える方法です。
 しかも、「自分も教えられた」「改めて気づかされた」という意味合いを盛り込むことが重要です。

◎「マイ・フレンド・ジョン」を使った好例

 例えば、このように使います。
「この前、取引先の社長から、こんな話を聞いたよ。モチベーションって言葉は、2001年以降にメディアに登場したって。『え、そうなんですか、知らなかったです』って俺が言ったら、社長も『僕も本を読んで初めて知ったんだけどね』と言うんだよ。確かに、今はモチベーション、モチベーションって言うけど、モチベーションなんて、もしかしたら何かをやる、やらないには関係ないのかもしれないな。先週も、専務から来期の計画を言い渡されてモチベーションダウンしたなんて妻にこぼしていたんだけど、結果はどうあれ、仕事なんだから、やらなくちゃいけないと思い始めたところだ……」
 相手に言い聞かせようとするのではなく、どちらかというと「独白」に近い話し方にします。「空気」に向かって話す、と表現したほうがいいでしょうか。
 このような話を聞くと、相手は、
「ま、確かにモチベーションって、よくわからない言葉ですよね……」
 と言いながら、(あんまり「モチベーション」って言葉を使ってできない理由を言わないほうが良さそうだな)と意識するようになるものです。

◎「マイ・フレンド・ジョン」になっていない悪い例

 次のような話し方は悪い例です。「マイ・フレンド・ジョン」になっていないので、気をつけてください。
「この前、取引先の社長から、こんな話を聞いたよ。モチベーションって言葉は、2001年以降にメディアに登場したって。最近はモチベーション、モチベーションってやたらと使う人が増えたけど、行動を起こすのにモチベーションなんて関係がないんだ。君も、『そんな高い目標を言われたらモチベーションが落ちます』なんて言わず、結果はどうあれ、まずは行動すべきなんだ」
 違いがわかりましたか?
 これでは、話しかけている相手が空気ではなく、相手に向かってしまっています。このように言ってしまったら、「マイ・フレンド・ジョン」を使った意味がありません。他人の言葉や意見を借りて言ったと思われ、よけいに嫌味っぽく受け止められる可能性があります。

◎「プリフレーム」と組み合わせた「マイ・フレンド・ジョン」の実践例

 それでは、「プリフレーム」と組み合わせた「マイ・フレンド・ジョン」の実践例を述べてみます。どんどん長い文章になってしまいますが、かなり柔らかい印象となります。
「昨日、テレビで見たかな? ある工場で、正社員のみならず、パートの人たちにも改善提案を出してもらって組織改革を実現したという話。あれはインパクトあった。
確か5年間という長きにわたって、毎週、毎週、全員が改善案を出し続けているらしい。65歳を超えるパートで働く女性も毎週、書いて出しているようだけど、書けば書くほど、改善案は出てくるらしい。それだけ長く続けられる秘訣は、みんなが改善案を書くことだ、と工場長さんは言っていた。あの言葉、身に染みるな……。みんなが書くから全員が書く。つまり、書かない人が1人でも出てくると、全員が書かなくなる、ということだ。まったくそのとおりかもしれないな」
 ここまで話をしてから、先の事例のプリフレームを続けます。
「確か、当社の総務部の入り口近くにある棚の上に『改善箱』を置いたのは昨年の4月だったと思う。そもそも社長が職場を活性化するために、もっと改善提案を出せと経営会議で言ったことがきっかけだったんだけど……」
 文章で読むと長く感じるでしょうが、話すのであれば、それほど時間はかかりません。
「4W2H」を使って省略せず、「マイ・フレンド・ジョン」を使いながら「プリフレーム」していきます。
 動かしたい相手をストレートに動かすコミュニケーション技術ではありません。
「空気」に向かって話しているにもかかわらず、相手は知らぬ間にその雰囲気に感化されていきます。お互いストレスがかからないコミュニケーションの方法です。

「上から目線」を取り払って教えたいリーダーにおすすめの話法

「マイ・フレンド・ジョン」についてまとめます。
 直接教えている場合は、リーダーが教壇に立ち、机に座っている部下に教えているような関係です。
 けれども、「マイ・フレンド・ジョン」を使えば、取引先の社長が教壇に立ち、リーダーと部下が机に座って一緒に学んでいるような関係になるのです。部下にとって、リーダーは「よく聞き取れなかった先生の言葉を伝聞してくれた仲間」のような存在です。だから、説教のように聞こえないのです。
「自分は威厳のある性格でもないし、部下とも仲良くやりたい。だから、『教える』というスタンスはどうも苦手なんだよな」
 と感じているリーダーも多いでしょう。
 教えるときの「上から目線」を取り払い、教えることができる「マイ・フレンド・ジョン」は、そんなリーダーに最適の話法です。
 また、この「マイ・フレンド・ジョン」の話法を協調者との会話の中でやると、メンバーへの伝達はよりいっそうソフトになります。
 つまり、先ほどのような会話を、間接的に「動かしたいメンバー」に聞かせるということです。ただし、意図的にそのメンバーの近くへ行ってわざとらしく会話しようとすると「猿芝居」のようになってうまくいきません。
 ですから、メンバーたちと飲んでいるときにあえてする。会議が始まる前にあえてする……といった感じに、メンバー全員が集まっているときなどをうまく利用します。
 空気が人を動かすわけですから、言葉が相手に直接届かないよう、間接的な手段を使います。相手のストレス耐性が低ければ、さらに間接度合いを増やしていきます。
 もちろん、間接的になればなるほど効果は薄くなっていきますが、リーダーにストレスがかからないため、長く繰り返すことができるようになります。
 もちろん、動かしたい相手が、空気の読めない「不燃人」であれば、効果は見込めません。ただ、この場合、ストレートに表現しても効果は同じか、逆効果です。空気が入れ替わるまで「不燃人」への働きかけは慎むほうが良いと思います。

いかがでしたか?
 
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