見出し画像

実家のサビてしまった鉄瓶を復活させました!


実家に帰った時、和室に佇む鉄瓶を発見しました。聞いてみると中がサビてしまって使っていないとのことでした。当店のお客様からも同じようなことをよく聞くのですが、サビはしっかりと対処すればまた使えるようになります。今回はこの実家の鉄瓶を使って復活を試してみたいです。

赤サビが付着していました

【赤サビについて】

鉄瓶を使っていて「ちゃんと乾かしているのに、赤くさびてきた!」との声をお聞きすることがあります。でももし赤サビが出ても、慌てずに。
気になった時は、まずは鉄瓶でお湯を沸かして、お湯の状態を確かめて見て下さい。

お手入れが必要?不必要?

赤サビがあっても沸かしたお湯が澄んでいて、お湯の色やにおいに異常が無ければそのまま使っても大丈夫です。でも、もしお湯が赤っぽかったり、金属臭がする場合には風味にも影響が出ますのでお手入れが必要となります。

実家の鉄瓶は赤サビが出ていましたが、沸かしたお湯は、においも色も気にならなかったのですが、お手入れをしてみました!

【サビの対処法】

鉄瓶で沸かしたお湯が「赤っぽい」「金属くさい」という場合は、煎茶を煮出して改善できます。茶ガラで大丈夫ですので出汁取り用のパックなどがあれば便利です。
煎茶に含まれるタンニンという成分が赤サビと結合し、黒サビへと変化。この黒サビは、鉄素材の腐食原因である赤サビを落ち着かせる効果があります。もし赤サビの状態がひどい場合は、天然繊維のタワシ等でサビの部分を軽くこすってからお手入れを行うと、より赤サビが落ち着きます。

手順1:鉄瓶に茶ガラとお水を8分目まで入れて火にかける

お水を8分目まで入れた鉄瓶に茶ガラを入れ、弱~中火にかける。
吹きこぼれを防ぐために蓋は外しておきます。

茶ガラとお水を8分目まで入れて準備完了

手順2:20分程煮出し火を止める

20分程茶ガラを煮出したら火を止めます。
お湯の色が黒っぽくなっていたら、煎茶に含まれるタンニンとサビとの化学変化によるものです。

弱〜中火で煮出す

手順3:水を注ぎ足し、そのまま半日程置きます

茶ガラは入れたまま溢れない程度に水を注ぎ足します。
そしてそのまま、半日程置いておきます。
通常、鉄瓶に水を入れたまま放置するのは厳禁です、サビへの対処時にのみ行ってください。

溢れない程度に水を足し、半日そのまま置いておきます

手順4:お湯と茶ガラを捨て、沸かした湯が澄んでいれば完了!

お湯と茶ガラを捨てて内部を軽くすすぎます。そして通常通りにお湯を沸かしてみて、お湯の色が澄んでいれば完了です。もし、お湯の色やにおいが気になる場合は、手順2~3を繰り返します。最後に30秒程度火にかけ、鉄瓶内部を乾かします。空焚きのし過ぎは厳禁です。

赤サビから黒サビへ変化

今回はサビへの対処で赤サビから黒サビへ変化させることができました。
ここまでで半分復活です。
それに加えて、鉄瓶の使い始めに必要な湯垢づけも行う必要があります。

【鉄瓶の使い始め】

「湯垢づけ」でサビの防止をしてから使い始めよう!

鉄瓶を使い始める際にしていただきたいことがあります。鉄瓶=難しそう!っと思われる方も多いかもしれませんが、難しく考えることはありません。始めにやることはシンプルで"3回ほど硬水でお湯を沸かす" だけです!
この作業を「湯垢づけ」と言います。この作業をすることによって鉄瓶内部に発生するサビを防止してくれます。硬水を沸かすことでその中に多く含まれるカルシウムやマグネシウムが結晶化し、それが白い膜となって鉄瓶内に付着しサビの防止になります。洗ったり削り落とさずに、そのまま使用して下さい。

この湯垢づけに水道水を使ってしまうと、お住いの地域の水質の違いによってはサビが発生する場合があります。使い始めは、水道水ではなく”硬水"で湯垢づけをして下さい。内部に湯垢(白い点々)ができたら完了です。水道水に切り替えて使い始めて下さい。

・準備するものは、鉄瓶の容量の約3倍の硬水(硬度300mg/L程度)
(例:1Lサイズの鉄瓶なら硬水3L程度)
 手順1:硬水を8分目まで入れる
 手順2:蓋をはずしたまま、20分程火にかける
 手順3:蓋をして、中の湯を捨てる
 手順4:蓋をはずし、余熱で内部を乾かす
本体が冷めた後、手順1~4をそれぞれ水を変え3回程繰り返せば完了です。

湯垢(白い点々)

今回は、サビへの対処から湯垢づけを行い復活させることができました。
鉄瓶を楽しむコツは、できるだけ日々使うことだと思います。もしサビが出たとしても、状態に合った正しいお手入れをすれば、鉄瓶は何十年も使い続けることができます。

これからも鉄瓶で沸かした白湯やコーヒーでゆったりとした時間を愉しんでいきたいです。