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出会いから始まる『別れの覚悟』

物事には、必ず始まりと終わりがあります。

本には、表紙と裏表紙が。
迷路には、スタートとゴールが。
人間関係には、出会いと別れが。

必ず、待ち受けています。
当然、始まり無くして終わりが訪れるはずもなく、始まりがあるからこそ終わりを意識します。

「出会い」は、嬉しいものです。
友達との出会い、恩師との出会い。
出会いから人間関係はスタートし、徐々に物事が積み重なって、かけがえのない思い出となっていく。

あなたが誰かと出会って経験したことは、おそらく決して一人では成し得ないことなのです。
人の輪に加われば、それがありがたいものだということがよくわかります。
人と人との繋がり、出会いから得るものはお金では買えない価値あるものなのです。

そんな「出会い」という経験。
私は、決して出会いが嫌いではありません。
出会いは有益なもの、自らの可能性を広げるものとして、歓迎すべきだと思っています。

でも、出会いには別れがついてくる。
出会いの喜びよりも、別れの悲しさを思う。
別れの喪失感を味わうくらいなら、積極的には出会いを求めない…。
最近、そんなことを考えるようになりました。

出会いの機会を失うことは、なんとももったいないことです。
出会いの場を失うということは、新しいものを吸収しなくなるということ。
ある程度の時間があり、気持ちに余裕がある人なら、新鮮な空気に触れるためと言いながら、外の世界に出かけていく。
それが普通なのでしょう。

だけど、出会ったらやがて失わなければいけない。
新しく出会った人、友達、仕事の仲間。

私は、その時その時に触れる人々と楽しい時を共有しながら、失うのを恐れているのです。

WEBライターを始めて、もうすぐ一年が経とうとしています。
この一年、在宅ワークという特殊な作業環境の中、実に様々な人との出会いがありました。
その出会いの多くはクライアントという名の依頼人です。

私の場合、WEBライターの仕事はクラウドソーシングサービスで請け負っていましたから、やり取りはメールやチャットワークで行いました。
いずれにしても、顔が見えるわけでもなく、やり取りには熱量をのせる場所などありませんでした。
それでも一日一記事を目安に、コツコツと続けてきたのです。


仕事に打ち込み、自分自身で文章を作り出す作業に慣れてきた頃、私の胸に、ふと小さな影が現れました。

おそらく、在宅ワーカーなら誰もが一度は経験する不安や戸惑い、孤独が胸の内に迫りくるような苦しみ。
仕事に不満があったわけではないので、小さなスランプだったのだと思います。
そんな折から、仕事がほとんど手につかなくなってしまったのです。

そんな時、たまたま始めたTwitterで、たくさんのライター仲間と出会う事ができました。
個性豊かな人びと。
私なんかが及びもつかないような、多彩な経験を持つ先輩達。

語られる言葉、紡ぎ出す文章、同じ言語とは思えない色とりどりの世界。
プライドをもってライターの職を名乗る方は、独特の凄みを持っています。
そんな方々との出会い。
新たな世界の幕開けでした。

そのうち、一人のライターさんとTwitterで頻繁にやり取りをするようになりました。
ツイートで、DMで、LINEで。

彼女が同じく2児のママだったこともあり、なんとなく意気投合し、始まった交流。
次第に仕事の話、互いの考え方を語るようになり「いつか仕事で関わりを持ちたい」そんな話をするまでになりました。

その翌日だと思います。
彼女から「一緒に何かやろう!」と、情熱をほとばしらせたオファーがありました。
何をやるとか、誰とやるとか、そんな細かいことはどうだって良くて。
「やりたい!一緒にやろう!」そんな、熱い思い。

私は目玉が飛び出しそうになるのを必死に封じ込めて、快諾しました。

そうして始まったのが「しあわせのハコ」。
私に話を持ちかけたのは、元編集長・森ちゃんその人でした。

志を同じくする仲間を集い、スタートした「しあわせのハコ」。
8月から、正式にTwitterの運用を開始。
見ていてくれる誰かに「しあわせ」を届けたい。

そんな思いで作った世界。

時に何を発信すべきか熱い議論を交わし、時に何でも無いことで延々と女子トークに花が咲く。
メンバーそれぞれ、家庭の事情があり、悩みがあり、仕事をこなしながらの活動は、生易しいものではありません。
でも、充実した日々を過ごしながら、週刊ライターリレー、Twitterのフォロワー感謝企画、次々と目の前の課題をこなしていきました。


私にとって「しあわせのハコ」は、自己啓発の一貫です。
待っていてくれるみなさんのため、自分のため。
テーマを掲げて文章に落とし込むこと、自分自身の内面を表現することが、何より楽しかったのです。

「しあわせのハコ」の転機は、突如として訪れました。
編集長・森ちゃんと、メンバーの木村桃子が、相次いで脱退。

それまで6人で活動していたしあわせのハコは、11月から4人になりました。

大いなる夢を求めての、転身と旅立ち。
個人を見つめ直すため、そっと身を引き去った人。

しあわせのハコへの変わらぬ愛情を持ちながらも、2人は別々な道を歩むに至ったのです。

「4人になって、寂しいね」
「頑張ろうね」
「大丈夫、しあわせのハコはまだまだ進化するよ」

そう何度も唱えながら、過ごした半月あまり。
2人が去った事実に心を奪われていては、自分たちが歩き出せなくなるから。
互いに納得した上で背中を押したはずなのに、送り出した後に残されてしまった二人分の空間は、大きすぎるから。

私は、2人がいなくなったことに気づかないふりをしていました。
初めから、そこにいないかのように振る舞ったのです。
自分自身を欺くため。
また前に進むために、一切振り返らず今日まで歩いてきたのです。

別れの痛みが心を裂く。
半年も時を遡れば、まだ私たちは出会ってもいなかったのに。

たった二ヶ月程度の濃密な時間が、こんなにも大きくなって心に迫る。
あなたがそこにいない事実が、話しかけられない事実が、ただただ虚しいのです。
寂しいのです。

その思いを形にすることで、私はようやくしあわせのハコを次なる一歩へ導くことができると思っています。
4人になった事実を噛み締めて。
手を携えて、再び歩みだす。

さようなら、と別れを告げて。
別れを告げなかったみなさんにも公表することで、終止符を打って。

私たちは歩き出します。
しあわせのハコは、曲がりくねりながらも、未来に向かって着実に歩んでいきます。

出会ったときから、いつかはこんな日が来るであろうことも想像していました。
出会いは別れの始まりなんだと、頭では理解できています。

この記事を世に送り出すことで、私はようやく前に進める。
そんなことを考えながら、6人で育んだ大切な時を振り返り、言葉に置き換え直しています。

これで、ようやく踏み出せる。
自分自身を奮い立たせるため、気持ちに区切りをつけるため、この記事を書きました。

どうかこれからもライターチーム「しあわせのハコ」を、よろしくお願い致します。

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