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【実質賃金1.3%減】平均年収2年連続上昇!しかし物価高で生活苦、その対策について解説

物価上昇が継続している中、出費がかさみ「もう少し年収が多ければ…」と思う方は多いと思います。

日本の平均年収は2022年において458万円で、実は、「2年連続上昇」となっています。

しかし、なぜ生活が苦しいと感じるのでしょうか。

厚生労働省が8日に発表した「実質賃金」は、前年同月比1.3%減」。物価高の影響で賃上げの恩恵を実感できていないからです。

つまり、物の値段が上がり実質的にお金の価値が下がっていると言うことです。

そこで本記事は、まずはこの10年間の平均給与について、そして生活が苦しくなっている背景、最後に対策について解説していきます。 


平均給与の推移(10年間)

日本全国の平均給与はどれくらいなのでしょうか。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円で、対前年比2.7%増12万円増)です。

10年間の平均給与の推移を見ると減少した年もありますが、全体的には上昇傾向。直近では、2020~2022年まで2年連続で平均給与が増えています。

背景には、運輸業や郵便業の給与アップや、コロナ過からの企業業績が回復してきたなどが要因だと考えられます。

しかし、生活に余裕ができたと感じる人は少ないのではないでしょうか。

そう感じる理由を見ていきましょう。

出典:国税庁「民間給与実態統計調査」より作成

生活が苦しくなっている背景

前述のグラフより平均給与は458万円、前年の2021年は446万円でしたから、平均給与は12万円も増えています。

皆さんのなかにも、給与が増えた方はいるかもしれません。

しかし、給与が増えたとしても「生活が楽になった」という実感はありません。

なぜ、そう感じるかを実質賃金の推移から紐解いていきましょう。

実質賃金23ケ月減少

厚生労働省が8日に発表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価の変動を反映させた実質賃金が前年同月比「1.3%減」、23カ月連続マイナスとなりました。

なお、名目賃金26ヶ月連続プラスとなっています。

出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査 事業所規模5人以上」より作成

賃金には、「名目賃金」と「実質賃金」があります。

  • 名目賃金:働くことで実際に受け取った給与の額(額面)

  • 実質賃金:物価の影響も加味した給与の金額

名目賃金とは、私たちがもらえる給与の金額だとお分かりいただけると思います。

一方、「実質賃金」とは、名目賃金の伸び率から物価上昇分を考慮して計算される値のことです。

イメージしやすいように数字を使って簡単に説明します。

たとえば、昨年の年間賃金が500万円で、今年の年間賃金が530万円として、物価が10%上昇したと仮定します。

名目賃金の増加率は「6%」。

  • (530 - 500)÷ 500 × 100 = 6%

そして、物価が10%上昇すると実質賃金は「△3.6%」。

  • 482万円(530万 ÷ 1.1)- 500万円= △18万円

  • △18万円 ÷ 500万円 × 100 = △3.6%

賃金(6%)が上がっても、それ以上に物価(10%)が上がってしまうと賃金の価値が下がっていることが分かります。

よって、実質賃金が上昇しないと、本来の意味で「賃金が増えた」ことにならず、ゆえに生活が楽にならないと言うことです。

物価は上昇していっている

実質賃金は23カ月連続のマイナスだとお伝えしました。

つまり、物価高によるお金の価値が下がり家計を圧迫していると言うことです。

前述の「名目賃金と実質賃金の増減率」のグラフから、実質賃金がプラスになっている「2022年1月」と「2024年2月」との物価を比較して、どれだけ値上がりをしたのか見ていきましょう。

■物価の比較
下図は、特別区部(東京23区)の一例です。
私たちに身近な品々は、わずか2年でこれだけ値上がりをしています。

以前の約1.1倍~1.3倍ものお金を支払わなければ同じ品物が買えないわけです。つまり、それだけお金の実質的価値は下がっていると言えます。

出典:総務省「小売物価統計調査(動向編) e-Stat」より作成

物価の上昇以外の理由
また、物価以外にも私たちの暮らしに大きな影響を与えているのが消費税です。

消費税が日本で導入されたのは1989年4月、当時の税率は3%でした。
その後、制度もたびたび改正されて2019年10月から、消費税が8%から10%(軽減税率対象物は8%)へ引き上げられました。

このように、給与が上がったとしても生活における支出が増えることで、生活に余裕が生まれにくくなっているのです。

出所:国税庁「税の学習コーナー」より作成

そして、支払う税額が多いと言うことです。

下図は、令和4年分の民間給与実態統計調査より、給与額が800万円以下と800万円超で二つに区分したものです。

「給与所得者数」の1割に過ぎない高給与所得者が、「税額」の7割近くを支払っていることが分かります。

また、「給与総額」と「税額」の比率が逆転しているのは、累進課税制度によるものです。

つまり、所得が高くなればなるほど納める税額が多くなると言うことです。

参考元:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」27Pより作成

実質賃金が上がらないことへの対策は?

確実にお金を増やす方法は「働いて収入を得る」ことです。
しかし、収入は自分の意思だけではコントロールできるものではありません。

一方、節約(支出を減らす)や資産運用(お金自身に働いてもらう)は資金があれば自分の意思で行うことができます。

ここからは、自分の意思で実行できる「節約」と「資産運用」について解説していきます。

節約(支出を減らす)

まずは、現状把握をするために家計の見直しを行います。いくら収入があり、いくら支出があるのかを家計簿につけてみましょう。

ここで、上手に節約するポイントは、効果が持続するものです。

具体的には、毎月支払い金額が決まっている固定費(通信費、保険料やサブスク料など)の見直しです。

なぜなら、固定費は一度見直しをするだけで以後ずっと続くため、年数万円以上も節約できる可能性があるためです。

ひとつずつ見直して、減らせるものは減らして、浮いたお金は貯蓄運用に回していきましょう。

資産運用(お金自身に働いてもらう)

賃上げ率よりもインフレ率が高いと、家計は年々苦しくなっていきます。

そのため、インフレに対抗するためには、現金を他の「資産」に変えておく必要があります。

インフレに強い資産は、株式外貨不動産投資などによる実物資産があります。

これらは、インフレに合わせて値上がりする傾向があるため、インフレ対策になるというわけです。

元本保証こそありませんが、銀行預金(金利0.02%)よりもお金を増やせる可能性があるからです。

ここで注意すべき点として、一つの商品だけで運用をせずに、さまざまな商品に分散資投をすることです。

なぜならば、複数の投資商品に少しずつ投資すると特定の資産の値下がりの影響が限定され、大きな損失を避けやすくなるためです。

また、当然のことながら資産運用にはメリット・デメリットはつきものです。

しっかりと認識した上でご自身の資産状況に合う商品みつけ、上手に活用し、お金の不安を解消していきましょう。

まとめ

ここ10年間の平均給与の推移、そして生活が苦しくなっている背景、最後に対策について解説してきました。

まとめると以下となります。

  • 給与水準:この10年間は上昇傾向、直近では2年間連続上昇

  • 物価高の影響:実質賃金23カ月連続マイナス(お金の価値が下がる)

  • 対策:支出を減らす(固定費)・物価上昇を超える資産運用で資産を増やす

物価が上昇するということは、同じ金額で買えるモノやサービスが減り、以前より多くのお金が必要となります。

つまり、お金の価値が下がるということです。

もしもの時のために、現金預金でいくらか手元に置いておくのはよいですが、多く持ちすぎるのは得策ではありません。

手元にあるお金を少しでもいいので運用に回すことで、将来の資産が大きく変わります。また、インフレ対策にもつながります。

自分のリスク許容度に合わせた運用を行い資産を増やしていきましょう。

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