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その謝罪は誰に向かって謝っていますか?

滋賀県高島市の住職・行政書士・FPの吉武学です。
遺言・相続・葬儀・埋葬・終活
のお悩みに「三つのそうだん」でお応えします。
詳しくはこちらのホームページから。

昨日の朝は、週末の宿題をやっていなかった子どもを叱るところからスタートでした。
時間が無い中で状況を確認しようと問いただすのですが、嘘やごまかしも入れてきたので、さらに怒られる始末でした。
問題が起きたなら、事実をしっかりと説明して、どうしていくのかを説明しなさい、と伝えました。

政治家や芸能人の違法行為、脱法行為、不適切な事例が報道されると、しばしば記者会見が行われます。
話している本人は謝罪のつもりで話されているのでしょうが、聞いている側が謝罪を感じないケースがほとんどです。
「誤解を与えてしまったとするなら」「お騒がせしてしまい」「ご迷惑をおかけして」「法律上は問題なかった」「不徳の致すところ」「重く受け止める」「気分を害されたとしたら」「不快な気持ちにさせたとしたら」などが常套句として出て来ます。
そして、申し訳程度に「申し訳ありませんでした」と一声付ければ問題ない、といった感じです。

最近の多くの会見では、芸能人も政治家も実際に、具体的に何があったのかは本人からほとんど説明されません。
曖昧にお茶を濁したような内容となっています。
そして申し訳ありませんの言葉が誰に向いているのか分かりません。
とりあえず謝罪らしい言葉を言っておけばいいだろう、という感じです。

謝罪会見のお手本と言われるのが、2003年の石原軍団のドラマ「西部警察」制作中に撮影現場内で起きた事故での渡哲也社長と小林正彦専務の会見です。
会見に先立って、事故を起こした俳優と渡哲也社長で一軒一軒回って、土下座して謝罪したそうです。
また、何かあったときは連絡ください、と自分の携帯番号を渡して、責任は自分にある、ということを明確にされたそうです。
そして会見では、「私たちを支えてくれている大切なファンを傷つけてしまった以上、私たちにドラマを作る資格はありません。「西部警察」の撮影を中止します」と発表されました。
自分たちのやったことで傷ついたのは誰なのかを明確にし、その人たちへの謝罪を行う。
会見では、誰を傷つけたのか、その責任がどのレベルなのか、責任に対してどう対応するのか、が明確になっていました。
後に当初の企画よりは小さくなったものの特番として放送されましたが、被害者をはじめ問題視する人はいませんでした。

最近の政治家の発言では「政治不信を招いてしまったとしたら申し訳ない」という言葉がしばしば出て来ます。
違法とまでは言えない脱法行為や、会合にダンサーを招くなどの不適切な行為に対して、まず事実は何も明らかにされていません。
それが誰にどんな影響を与えているかを自覚する言葉は出て来ません。
だから、自分たちにどんな問題点があったのかを自覚する言葉もありません。
そして、相手も責任も見えていないので、自分の責任の取り方も分かってない、ように見えます。
責任の取り方は政治家であれば、辞任、辞職しろと言っているわけではありません。
自分でこれが適切な責任の取り方だ、と思う内容を明確にして欲しいのです。
「職責を果たすことで責任を取っていきたい」というのは以前に誰かが言った言葉の焼き直しにしか聞こえません。

小学生の子どもたちの方が、叱られるときに何に対して叱られているのか、という自覚が強くあります。
そこで自覚の言葉や責任の取り方の言葉が上手く出てこない子もいますが、まだ言葉が未熟であったり、相手の反応をうかがっているところがあるからでしょう。

政治家などは立場があるから言いたくても言えない、という意見もあるでしょうが、それなら立場があるなら説明しなくても、責任を取らなくてもよいことにもつながってしまいます。
小学生未満と言われないような姿を見せてほしいものです。

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