私は昔、母親に心配なんだと言われた。

塾の帰り、授業が終わった後に親の迎えを待つ時間が嫌いだった。
自分の足で帰れば待ち時間もなく帰れるのにと思っていた。

でも頑なに親は許さなかった。

ある時、「何でいつも迎えに来るの？なんで一人で帰ってきちゃダメなの？」と聞いた。
「あんたに変な事件に巻き込まれてほしくないからや。」と言われた。
あぁ、お母さんは私の心配をしてくれてるのか！と思ったその瞬間…

「変な事件に巻き込まれてニュースになって…」
「それで、「子供を一人で帰らすなんてあそこの家の親はどうかしてる」って後から言われるの嫌やんか」

そう言われて
あぁ、私の心配じゃなくて親としてのメンツの心配か。と
親の本心を初めてちゃんと聞けた気がする。

あの時が、親の愛情を疑っていた今までの事が確信に変わった時だった。

子供の事件がニュースで流れるたびに、親の顔が見てみたいわ。
無責任だ！とひどく怒っていた。
だからこそ、自分が言われる側になるのを恐れていた。

分からない、親としての責任感を持っていたから出た言葉なのか、それとも…

私はあの日親が言った言葉でずーんとした。
黒くてドロッとして、悲しくて、呆れて
でもそんな親に守られて生きてきた。

外からは見えない家族の形ってあるよね、分からないんだよね、外からだと。
良い親だね。いい家族だねって。

わかる、私も思う。
家族旅行にもよく行って、子供のこと心配するしつけもしっかりする親がいて、家族に感謝し、感謝し….

でも、分からなくなる。
踏ん切り付けた気持ちが分からなくなる。
家族ってなんだろうって、本当に大切に思ってくれてるのかなって。

真実なんて知らなくていいか。