わたしは学生の頃から美術造形&塗装の仕事をしていました。
いわゆる職人さん。
美術造形とは、大型テーマパークや映画やCMのセット
お店のショーウィンドウや内装
そして舞台の美術などを
作ったり描いたりする仕事です。

造形屋さんが原型を彫り、型をとって
プラスチックなど耐久性に優れた素材で成形。
出来上がったものに、塗装屋さんが色を塗る。
色も、ただ塗るだけではなく
サビや劣化を表現したエイジング塗装をしたり
ラメをつけたり、グラデーションをつけたり。
いろんな表情を色でつくります。

そこで出会った仲間と
美大受験時代の友人であり、抜群のセンスをもつアーティストに声をかけ
結成したのがアートワークショップユニット・コネルテです。

作る、描くがとにかく好きなメンバー５名がつくるワークショップは
とにかくえのぐまみれになって遊ぶ「えのぐであそぼう！」と
じっくりアイディアを形にする工作「そざいであそぼう！」。
この２つが大きな柱となり
主に子どもたちを対象に開催しています。

結成してから2年、多摩エリアを中心に活動を続け
その内容のダイナミックさや自由さから
毎月の自主企画ワークショップは満員が続き
保育園、NPO法人、企業などからのオファーも
定期的にいただけるようになりました。
ありがたい話です。しみじみ。

そして今年の5月。
縁あって、演出家のうえもとしほさんが主宰する
すこやかクラブというパフォーマンスカンパニーに依頼をいただき
「真夏のたちかわ怪奇クラブ」というイベントの
美術セットを担当することになりました。

会場となるたちかわ創造舎は、もともと小学校だった建物。
そこからクジラの骨が出てきた、というエピソードをヒントに
演出家のうえちゃんが考えた世界は「海」。
ちょうど１ヶ月後に、コネルテワークショップ「えのぐであそぼう！」の開催予定があったことから
「海」をテーマに、子どもたちに絵の具で表現してもらった作品をセットにしよう！ということにまとまりました。

そして6月。
「海」をテーマにした「えのぐであそぼう！」を開催！

こどもたちが思い思いに表現した海が完成！
たくさんのアイディアと色が重なって
大きな布や紙に、みんなの海が広がりました。

あっというまに7月。
本番まで一ヶ月をきり、会場での打ち合わせや準備が本格始動。
演目の舞台となるたちかわ創造舎の職員室は
３面窓の明るい部屋。

この自然光を生かし、どう海の中の青い空間を表現するか。
部屋の四角いイメージをどう和らげるか、が主な課題でした。

演出さんや制作さんと、意見交換して
イメージを書き起こして

光の具合を実験して

材料を選定し

資料作って共有して
また意見交換。

方向性が決定し、制作が始まると
踊りにくくないか、舞台が使いにくくないかなど
役者さんのパフォーマンスとの兼ね合いを
また意見交換しながら調整。

たくさんのコミュニケーションを重ね
脳みそフル回転で空間を作りました。

立て込みを終え
ゲネを終え
そしていよいよ本番
27,28日がやってくる！！！！！

....大型台風と共に。
のおおおおおおお
予定していたのは27日１公演、28日２公演。
28日は週末ということもあり、たくさんの予約をいただいていました。
しかも演目のフィナーレは、毎年恒例の屋上での盆踊り。
28日に、ここで見えるはずだった
立川の花火大会は数日前に中止を発表。
がーん！！！
花火みたかったよ〜〜〜〜〜

しかし凹んでいてもしょうがない。
多少の変更はあっても
どうかどうか開催できますように！！！




27日の初演は順調に終了し
祈る気持ちで28日を迎えました。

強まる風、叩きつける豪雨の中
ギリギリまで粘り
なんとか開演が決定！！
コネルテメンバーも長靴で集合しました。

そしてお客さんと一緒に演目がスタート！

海の底で表現される、愛をめぐる不思議なおはなし
「海の記憶の物語り」

空間のいたるところに、こどもたちの作品をちりばめました。

おもしろこわい、おばけやゾンビの登場に
泣いたり、笑ったり、ちょっと感動したり。
心温まるすこやかクラブならではの演目に
お客さんもとても喜んでいました。

27日お越しくださったみなさま
28日台風の中、お越しくださったみなさま
多くの人に見てもらえることを、その場で体感できて
とても嬉しかったです。
本当にありがとうございました！！

子どもたち
私たちコネルテ
演出さん
役者さん
音響さん
照明さん
制作さん
舞台監督さん
たーーーーくさんの対話と重なりで完成した、このお仕事。
これまで職人として携わった舞台美術制作の仕事とは
まったく異なる体験でした。

子どもたちとたくさんのプロの方のコラボも、とても嬉しかった。
そして何より、ほんっっっっとうに、楽しかった！！

まさに、夏の思い出。
素敵な時間をありがとうございました。

photo by SHINGO Yoshizawa

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