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閉じこめられて ~第三話~
意識がゆっくりと浮上する。覚醒しきる前に覚えた違和感の正体は解りきっていた。また何処かに閉じ込められたのだ。見慣れない部屋がそれを突き付けてくる。
此処が何処なのか、なんて考えるだけ無駄だ。私がすべきことは現状の把握だった。
上体を起こして周囲を見回す。小窓の脇には下に収納スペースが設けられたベッド、反対側の壁にはテレビと小さな本棚が五つ並べられている。ベランダへと続くガラス性の扉は閉めきられてお
閉じこめられて ~第二話~
※ 注意 ※
この小説には人が死ぬ、流血、その他残酷な表現が多く含まれています。苦手な方は読むのをお控え下さい。
大丈夫な方はどうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さい。
「明日なんて来なければいいのに」
感情の抜け落ちた声で呟いた夕映さんに何と返事をしたのか、忘れてしまった。つい数分前のことなのに何十年も昔のやりとりに感じられたのは、置かれている状況が現実離れしているからだろう。
木製の格子がついた窓の
赤におぼれる ~番外編~
※ こちらの小説には人が死んだり、血が流れたりする表現があります。苦手な方はご注意下さい。
又、こちらは“赤におぼれる”の番外編となっておりますが、本編を読まなくても問題はありませんが、読んでいただけるとより楽しめるかと思います。お時間がありましたら読んでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さいませ。
着信音が聞こえた。何時の間にか机から落ちていたらしいスマホが床で存在
世界が終わる、その前に
世界が終わる前にやり残したことはあるだろうか?
答えはイエスだ。ある。このままでは死んでも死にきれないし、世界が終わったとしても荒廃した世界を未練たらしくさ迷い続けるはめになりそうだった。
「行ってきます」と家族に叫び、家を飛び出す。何か言っていた気がするが聞かなかったことにして、走り出した。目的地までは何度も何度も足を運んだため、最早目をつぶっても行けそうだ。
本当にもうじき世界が終わるのかと疑
少し昔の話をしようか
注意:話が暗いです。人は死んでませんが暗い話なので読む時はお気をつけ下さい。
少し昔の話をしようか。どれくらい昔かと言えば、片手では足りないけど両手では余るくらいだ。
あの時の私は授業中に先生の話を聞いているフリをしながら横目で窓の外を見て「こんなくそみたいな世界、早く滅びないかな」と考えているようなやさぐれた人間だった。勿論考えただけで世界が滅びるはずもなく、次第に思考はより暗い方向に落ちてい