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【人事労務】メンタルヘルス対応④メンタル不調の原因に応じた会社の対応(その2)

おはようございます!

前回は、メンタル不調の原因に応じた会社の対応についてお話ししました。

今回は、その続きとして、メンタル不調に関する労災申請がされた際の会社の対応についてお話します。


1 労災申請時の事業主証明

社員(労働者)より労災申請がされた場合、会社(事業主)は社員が保険給付を受けるために必要な証明を求められたときはその証明をする必要があります(労働者災害補償保険法23条2項)。

具体的には、労災請求のための請求書には「事業主証明欄」があるので、この欄を会社側で記載して証明をしていくことになります。
ここでのポイントは、会社が証明できるものはその旨記載し、証明できないものについてはしっかり理由を述べて証明できないことを記載することです。
例えば、事業主証明欄は以下☟のように記載することになります。

■証明できる部分の記載例
「⑳賃金を受けなかった日の日数、㉜労働者の職種、㉞平均賃金、㉟所定労働時間、㊳~は請求書記載のとおりで相違ありません。」
※各番号は、休業補償給付支給請求書における記載欄の番号です。

■証明できない部分の記載例
「負傷又は発病の年月日、災害の原因及びその発生状況については、○○○(証明できない理由を記載)のため、証明できません。」

特に、負傷又は発病の年月日、災害の原因及びその発生状況は、会社では分からないことが多いですので、しっかり理由を述べて証明できないことを記載することが重要です。
必要に応じて、別紙として理由書を作成し、請求書に添付する場合もあります。

2 意見書の提出

メンタルヘルス対応①会社のリスクの投稿で申し上げたとおり、
労災が認められると、会社は安全配慮義務違反による損害賠償請求リスクや社員を解雇できないといった影響を受けることになります。

ですので、会社としては、社員の労災申請に対し、事業主としての意見がある場合には、積極的に意見書を提出し、誤った労災申請がされないようにする必要があります。

作成上の注意点としては、1)形式的な記載事項を網羅し、2)厚生労働省の認定基準に沿って意見主張を行う、ことです!

1)形式的な記載事項は以下☟のとおりです。
①事業主の労働保険番号
②事業主の氏名又は名称
③事業主の住所又は所在地
④対象となる労働者の氏名及び生年月日
⑤労働者の負傷若しくは発病又は死亡の年月日
⑥労災請求についての事業主の意見

2)内容面としては、事業主として労災に該当しないと考える場合には、その理由を厚生労働省の労災認定基準に沿って説明することになります。
例えば、「発病前おおむね6か月間における業務による心理的負荷が「強」とは評価されないこと」「業務以外での心理的負荷や個体側要因があること」を事実を交えて主張することが必要になります。

本日は、メンタル不調に関する労災申請がされた際の会社の対応についてお話ししました。
会社において事業主証明や意見書を記載作成される際には、弁護士などの専門家に必ずアドバイスをもらうようにしましょう!

次回は、「精神障害の労災認定基準」についてお話しさせて頂きます!
乞うご期待ください!

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