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考えすぎるから動けなくなり、スマホをいじりたくなり、夜更かしをしてしまう

前回に引き続き、人生全般のタスク管理や直感、そして思考の弊害について考えている。

僕はここのところ、「やることを考えずに直感で決める」ということを強く意識している。というのも「考えて決める」ということが僕にはどうしても、メリットよりもデメリットのほうが多いように思えてならないからだ。

たとえば「人を殺してはいけない」ことを僕はわかっている。でも「なぜ人を殺してはいけないのか?」を説明するのは難しい。神が禁止しているからだと説明する人もいれば、最大多数の最大幸福の観点から、幸福の総量を減らす行為だからだ、という人もいるし、人間は社会的な動物であるから、その関係性を破壊するような行為はできないようプログラムされている、ともいえるし、来世で畜生に生まれ変わってしまうからという人もいる。しかしどの説明も、どこかに論理の跳躍がある。普遍的に説明しようとすればするほどその企みは失敗し、「あれ?  そもそも、人を殺してはいけないんだったっけ?」という疑問すらわいてくる。言葉に無理をさせすぎると、わかっていたはずのこともわからなくなっていく。そして思考とは、いうまでもなく言葉を使った営みなのだ。

プロゴルファーやプロ野球選手が罹りやすい「イップス」も、思考が身体の動きを邪魔することで起きる症状だ。肉体の動きを細かく考えすぎるせいで、無意識だからこそ緻密に連動していた身体の統一性が失われる。ひとつのスイングに対してたっぷりと考える時間があることと、ほんのわずかな誤差で打球の着弾点が大きく変わってしまうことから、ゴルフや野球の選手はとくにイップスに罹りやすいのかもしれない。

考えすぎることの弊害は、僕らにとっても他人事ではない。明日もしんどくなるとわかっていても夜更かしをしてしまうのは、思考が、精神と身体の調和を邪魔しているからだ。

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