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台湾の教育事情2 1対1オンライン家庭教師ビジネスの可能性

 台湾のデジタル教育の多様化が進み、教育環境の変化する状況を、台湾の教育事情1(https://note.com/fuji3channel/n/n173adea54067)で紹介した。教科書のデジタル化とデジタル教育の研究が完成を迎えつつある台湾。実は、2020年のコロナ禍では、台湾は学級閉鎖をする事なく、危機を乗り越えたのだが、万が一学級閉鎖を全国で行ったとしても、生徒はオンラインで授業を受けられる体制ができていたと言うから、素晴らしい。

  その台湾に1対1オンライン家庭教師ビジネスで塾業界を一変させるような企業が現れている。それが前回紹介したC社である。C社の創業メンバーは永年、教科書や参考書、試験問題の製作などの携わってきた教育のプロたちだ。2年ほど前に教科書のデジタル化の完成に伴い、デジタルデータとITを融合させたC社を創業した。


  C社は、デジタル教科書&参考書=デジタル教材と多くのデジタル試験問題を使った1対1のオンライン家庭教師システムを提供するサービスをはじめた。近年、オンライン授業は、録画動画で行うケースが多いが、C社は先生が画面越しで、おしゃべりをしながら授業を行うスタイルにこだわっている。C社のトマト総経理は、学教の授業内容はどこも同じ、教科書を変えても学ぶ内容に差異はない。それよりもサービスとシステムの質にこだわる事で、他にはない学習意欲の向上と親御さんからの信頼を得る事に重点を置いていると解説する。

  対象は小学1年生から高校3年生までのK12を全てカバーしている。基本授業は一対一で、1レッスンは25分。授業は、運営側の管理者と親御さんが自由に閲覧できる仕組みになっている。(生徒と先生には分からない)また、授業カリキュラムはシステムが管理していて、授業の進捗によって次の最適な授業内容が推薦される。また、先生も授業を教える先生だけではなく、学習指導を統括する先生、進路指導を行う先生の三人の体制で応対している。実際の学習効果も良好で、瞬く間に業界ナンバー1の地位を獲得したそうだ。

 25分のレッスンの単価は、800NTドル〜1400NTドルで、日本円で約3600円から7500円で決して安くない。業績は順調に伸びて、2年目で2億台湾ドル、今年3年目には5億台湾ドルの売上げを記録する見込みだ。ひと月のレッスンは30,000を間もなく超えて計画通りの成長をしている。トマト総経理は、AIの凄いところは月に3万レッスンだろうが、30万レッスンだろうが対応が可能なところだ。また、C社のシステムは授業を行う教師の質に左右されない。システムが的確な授業をサポートするので、教師は学生の学習を上手に見守るだけで良い。また、優秀な教師にはそれに見合う作業をしてもらう事になる。


個性化学習システム 学ぶ項目から学ぶ順番までを生徒に合わせて設計する

 実際、2年間でこれだけの成長と実績をあげているC社に注目した韓国とベトナムの企業が、自国での採用導入を決めている。台湾人の特徴の一つだが、台湾人ビジネスマンは、台湾だけのビジネスは考えない。すぐにグローバル化、世界展開を考えているのだ。教育ビジネスの激しい韓国と今後人口が増え教育熱が高まりつつある東南アジアで、台湾の教育システムがどのように発展するか楽しみである。トマト総経理は日本でもぜひ展開したいと意欲を示していた。

次回は、話題になった教科書出版社を取材して、報告したい!

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