芸術品みたいになりたかったな~かすみ嬢の居場所(終)

「骸骨みたいだー」って言われるけどさ、私の身体には文章をこねくりまわせるだけの脳があって、透けて見えちゃうどころか浮き上がってるけども血が流れる血管があって、それらをぜーんぶ守る皮膚があって、私は私だよってつい思っちゃうの。
 先生も先輩も「今のままだともう間もなく死んでしまいますよ」っておっしゃるけども、とても私は元気だから身体的に死ぬとはとても思えないのです。精神的に死んじゃうんなら、肉体的な死を望みたいよって、今日も少し涙が出ました。
 そして、夜だからこのまま言ってしまうけど、そのあと、前に買っていたロープを取り出しても、綺麗に結べないしぎゅっと力を入れにくいし何なら手も震えちゃうし、自死すらできないのかしらってまた涙が出ました。

 鬱病の人が躁転した時が、最も自殺リスクが高いってよく言うけども、それって体力をなくした摂食障害者が自らの意思に反して体重を増やされた時、とほぼ同じ状況じゃないのかな。
 中途半端に、世の中の多数派の人よりは体重がないけども痩せ姫にはなりきれないような状態だから「普通」の人になれるように「治し」てあげようって考えを人から持たれちゃうのかしら。かすみはかすみって生命体なのね、って思ってくれるくらいになりたいよ。もっともっと頑張ったら、認めてくれるのかな。
 維持することなんて究極に難しくって、生き急いでいるように、私は痩せ続けるか太ってしまうのかのどっちかしか選べないのかな。

 私が思う自分でないならば、という条件ではなくって。ただ単に、理想の私が透明に近づいている状態ってだけなんです。
 それから、たぶん、消えるって結果ではなく、透明に近づいてやがて消える…みたいな過程に憧れています。たぶん、とても抽象的な感覚です。
 透明になれたら、なんて言ってるけど、本当は100年後の博物館に飾られるような、1000年後も知ってる人がいるような、芸術品みたいになりたかったな、なんて。

「痩せ姫」の作者さんからは、
「真の幸せを願ってます。それが何なのか、ご本人にもまだはっきりとわからないとしても」
 という言葉が届いた。

 たしかに、私は「銀河鉄道の夜」のカムパネルラやジョバンニのように、ほんとうの幸を探そうと、むやみやたらに動いている状態なんだろうな。
 作者さんをはじめ、そこを見守ってくださる立ち位置の方がいらっしゃいますと、画面越しと言えど、本当に心強いのです。

 入院前、最後の測定。
 21.8kg、BMI8.78。
 20は切れなかったけど、とりあえずこれでもうしばらくお終いってことにしなきゃね。
 どれだけ増えるかな、未練たらたらだよ。

 不安で不安で不安で不安で不安で。もうどこぞの構ってちゃんみたいになってる自分が嫌。ごめんなさい。
 優しくしてくれてありがとうございました。
 でも元気とはいえ、最近、水を飲んだだけでもすぐ気持ち悪くなるし、どこか体の調子が悪いのか、だけでも診てもらえますように。
 そして、また戻ってきた時に、みなさまとお会いできますように。待っていていただけたらありがたいです。
 では。

「かすみ嬢の居場所」(完)
※ 次回からは「続・かすみ嬢の居場所」となる予定です。

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