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得意なことで失敗しやすい

「人は得意なことで失敗しやすい」
経営者と共に学ぶ勉強会にて、教えていただいた言葉です。

私たちは、当然ながら「不得意なこと」「やりにくいこと」ではなく、「得意なこと」「やりやすいこと」をやりたがります。

例えば企業でのマネジメントにおいては、マーケティング、財務、組織、人材、製造、営業、、、といろいろな対象領域があります。人材の中でも、採用、賃金、評価、育成、配置、、、などさらにいろいろな領域があります。

例えば自分が組織全体を見るマネジャーとなった場合、自分が得意なこと、やりやすいことに関する社内での問題や課題が見えやすく、また興味が向きやすいため、そこに集中して何らか取り組もうとします。

その問題や課題が社内でボトルネックとなっている場合は、パフォーマンスが大きく向上します。それらが解決することでボトルネックの詰まりがとれて、他の優れた領域が流れはじめ、全体が理想的に循環し始めるためです。

逆に、その問題や課題はさほど大きいものではなく、社内のボトルネックが他にある場合は、パフォーマンスが変わらないでしょう。他のボトルネックの詰まりが取れない限り、そこそこ良好な領域がさらに良好になっても、全体の循環がさほど変わらないためです。場合によっては、緊急性の低い小さな問題や課題に経営リソースをあてがうことで他がおろそかになり、状況を今より悪化させることすらありえます。

同勉強会では、経営・マネジメントにおいては、さらに次のような傾向があるというお話を聞きました。これらの事象は、わたしたちが「得意なこと、やりやすいことをやりたがる」ことに根元があるからだと思われます。

・「経営」より「管理」のほうが取り組みやすい
・目の前の管理の仕事を経営者の役割だと勘違いしやすい
・前任者がやっていなかったことをやりたがる
・経営者が「経営」より「管理」に腐心している会社で、よい会社はない

上記も踏まえたうえで、私たち、特にリーダーやマネジャーなど組織全体を職務の範囲とする立場の人材は、冒頭の問いかけに対してどのような心構えで向き合うべきなのでしょうか。ここでは2点挙げてみます。ひとつは、バランスのとれた広い視野をもつということです。

すべての領域を得意とする人はいません。レーダーチャートのイメージで言うと、どんな人にも必ず得意・不得意の領域があります。自分にも得意・不得意の凸凹があるということ、そして何が得意・不得意なのか、だからこそ何が見えやすいのかを自覚しておくということです。そして、不得意な領域はそれが得意な人から何か見えているかを聞く

これはごく普通のことに思えますが、冒頭の言葉は、このごく普通のことが難しいというのを示唆しています。責任感が強い、意欲が高い人であればあるほど、早く成果を出して貢献しようとします。自身のアンテナに引っかかる事象に強く反応し、それを解決しようとすることに強いコミットをしがちだというわけです。改めて、社内のいろいろな事象、コアとなる本質的な問題や課題が何かを、組織全体を俯瞰する立場からとらえる必要があるということです。

もうひとつは、自身の承認欲求が適切なあらわれ方をしているか、自覚するということです。

「経営」(企業の進むべき道を方向付け、人を動かす)より「管理」(既に決まった計画や秩序の維持・検証・改善)に関する取り組みに集中するほうが、リスクが少なく評価を落としにくいと言えます。つまりは、管理のほうが自身の評価がマイナスとなりにくいということにつながります。評価を維持することで認められ続けるという、承認欲求のあらわれと言えると思います。

前任者がやっていなかったことをやりたがるのは、新任の自分が何か新しいことで話題となる存在感を発揮して認められたいという、承認欲求のあらわれです。

経営やマネジメントでは新たな事業活動・組織活動を模索することが必要ですが、その組織の目指すべきビジョンを外していたり、新しく取り組むこと自体が目的化していたりすると、意味はありません。しかしながら、これまでとは違うことを始めた人として認められたいという気持ちがひとり歩きしてしまう危険性を、前出のお話は示唆していると思います。

強みはよい方向にむけて生かしたいところです。暴走するかもしれない可能性を自覚しておくことが大切だと思います。

<まとめ>
強みや承認欲求の行き過ぎた発動になっていないか、振り返る。

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