12月15日の日経新聞で「中国BYD、日本は登竜門 EV、25年までに100販売店」というタイトルの記事が掲載されました。中国メーカーが日本の自動車市場で本格的に展開しようとしている動きを紹介した内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
身の周りでいろいろな輸入品があふれている中で、自動車はほぼ国産車が独占し続け、輸入車の数は限られてきました。これまでにも、独オペル、韓国現代、米フォードなどが日本市場から撤退しています。メルセデス・ベンツ、BMW、フェラーリなど、私たちが目にする輸入車は欧州の一部のメーカーに限られています。
しかし、世界的には、EVの領域ではBYDがテスラに次ぐ世界2位のメーカーになっています。世界販売で多くの経験値とノウハウを蓄積したBYDが日本市場に進出することで、日本の車市場でのEV化も進み多国籍化が進んでいくかもしれません。
蓋を開けて見なければ結果は分かりませんが、同記事の指摘するように日本市場での販売で成功するかもしれないと考えます。少なくとも、成果を上げるための取り組みを戦略的に行っていると言えると考えます。
日本で商品としての車に関する十分な認知度がある輸入車は、欧州メーカーとテスラぐらいです。日本では、日本メーカーが海外の生産拠点で生産したものは別ですが、従来から日本製>外国製という意識が根強くあります。車などの高額品に関してはなおさらです。
最近は、オンラインに慣れた若手世代を中心に、高級車をオンラインで買う消費者もいますが、あくまでも十分に認知しているメーカーのものではないでしょうか。これまでに聞いたことがなかったメーカーの車を、オンラインのみで何百万円も購入・決済する人はわずかだと思います。一見すると、オンライン主体の販売方式のほうが効率的に思えますが、日本市場ではそれでは難しいという判断は適切だと思えます。
店舗での販売も、現地資本の総代理店に任せている他国と違って、日本では自前でディーラー網をつくるとしていて、日本市場の特徴を踏まえての対応が見てとれます。
同記事によると、「日本の立体駐車場向けに車高を2センチ低くし、ペダル踏み間違いの誤発進を抑えるシステムなど先進機能を全グレードに搭載」という紹介もあります。このあたりにも、日本市場に即した商品の開発の跡が感じられます。
若手世代の消費者は、「よいものはよい」「地球環境と共存を目指している商品を選びたい」などの傾向を持っている人も多いと聞きます。中高年は「輸入車なら欧州ブランド」という意識が根強い面がありますが、若手世代を中心にものがよければメーカーの国籍に関係なく選ばれるかもしれません。BYDを機にEV普及率が高まるという結果も想定されるシナリオだと思います。
いずれにしても、開拓しようとする市場の特徴を踏まえて、他市場とは異なる対応を考えていくという視点は、参考になると思います。
<まとめ>
当該市場の特徴をよく見る。