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有力株の保有を考える(2)

前回は、京成電鉄が保有しているOLC株についてテーマにしました。京成電鉄株主の投資ファンドから保有分の一定割合を売却するよう求められていることについて、その影響の一端を考えてみました。今回も引き続き考えてみます。

それにしても、東京ディズニーランド開発が始まった当時、多くの人が成功を疑問視していたとも言われる中で、積極的に投資した京成電鉄の経営者の先見の明と実行力には驚かされます。

4月27日の日経新聞記事「OLC、今期最高益 2期連続見通し 新エリア開業で」から抜粋してみます。

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は26日、2025年3月期の連結純利益が前期比微増の1205億円になる見通しだと発表した。2期連続で過去最高となる。6月の新エリア開業やインバウンド(訪日外国人)の増加により客単価と入園者数が伸びる。24年3月期の年間配当は従来予想から2円増やし13円にする。

25年3月期の売上高は11%増の6847億円、営業利益は3%増の1700億円を見込む。主力のテーマパーク事業に加え、新ホテルを開業するホテル事業も増収となる。年間配当は14円と前期より1円増やす。

増収増益の要因は東京ディズニーシーの新エリアと訪日客の増加だ。「アナと雪の女王」などをテーマにした新エリア「ファンタジースプリングス」の増収効果は通年で750億円を見込む。

開業当初は新エリアへの入場をアトラクションの優先入場券取得者などに制限する。TDR全体の年間入園者数は前期比5%増の2900万人を予想する。前期の開業40周年イベントの反動減が出るものの新型コロナウイルス禍前の19年3月期比89%の水準に達する。

客単価は前期より826円高い1万7470円と見込んでいる。19年3月期の約1.5倍だ。新エリアでは3つのアトラクションが有料の優先入場券「ディズニー・プレミアアクセス」の対象となる。アトラクション・ショー収入が前期比818円増え9047円になる。

同日発表した24年3月期決算は売上高が前の期比28%増の6184億円、純利益が49%増の1202億円でともに過去最高。入園者数は新型コロナの5類移行に伴う人流回復などで25%増の2751万人だった。

訪日客の入園者数は349万人と、全体に占める割合は12.7%で、ともに過去最高だった。25年3月期はぞれぞれ約400万人、約14%と予想する。霜田朝之執行役員は記者会見で「円安の進行に伴い商品の原材料高騰は注視しているが、インバウンドの増加でポジティブに影響している」と話した。

TDRについては、京成電鉄の当時の川崎千春社長が、1961年に米国のディズニーランドを訪問し、日本への誘致に向けて動いたと言われています。米国以外で建設された最初のディズニー・パークとなりました。

ずいぶん前なのでうろ覚えな記憶ですが、何かの書籍でディズニーランド開発当時の話を読んだことがあります。「黒船に乗ってやってくる、よくわからないねずみの遊園地など、日本で流行るわけがない」と、多くの人の異論や反対にあったと書いてあったように記憶しています。(不正確な記憶かもしれません。ご了承ください)

当時日本でレジャー施設に遊びに行くときは、弁当を持って出かけるのが一般的でした。私も小さい頃に親に動物園に連れて行ってもらったときは、家からおにぎりなどを持っていって、レジャーシートを敷いて食べていた記憶があります。それが、家族連れなどでレジャー施設に遊びに行くときの一般的な楽しみ方だったわけです。

しかしながら、TDRでは飲食物の持ち込みは原則禁止です。今ではピクニックエリアと呼ばれる特定のエリアでのみ持ち込みのサンドイッチなどを食べることができるそうですが、生成AIのCopilotの下記回答によると、開業当初には存在しなかったと想定されます。

東京ディズニーランドのピクニックエリア:東京ディズニーランドは1983年にオープンしましたが、ピクニックエリアが最初に設置されたのはその後のことと考えられます。具体的な年は公式情報には記載されていないようです。

これは想像ですが、全面的に飲食物持ち込みNGで始めたものの、日本人の一般的なレジャー施設の利用のしかたなどを踏まえて、一定の条件下で許容したのではないかと思います。

必ずパークの中にあるレストランで外食をしなければならないという、飲食物の考え方ひとつをとっても、当時の日本での一般的なレジャー施設での慣習とは違ったわけです。日本では成功しないのではないかと言われた要因の中の一例でしょう。

上記うろ覚えの書籍での記憶ですが、日本人にとってのレジャー施設利用方法の概念を変えて、レジャー施設の中で飲食するという慣習に変わっていったのは、東京ディズニーランドが大きな引き金になったそうです。

前回の投稿で情報整理してみましたが、京成電鉄がOLC株を保有しているだけで年間100億円単位の真水の利益が入ってくるわけです。

今京成電鉄が保有している株数を持とうとすると、約3億4550万株×4,330円で約1兆5000億円かかります。京成電鉄の現在保有する資産合計は約9656億円、現預金は約346円です。1兆5000億円といったような投資金額は、今から準備できるものではありません。

世の中に大きな付加価値を生み出すであろうイノベーションの種を見出して、それに投資するということが、結果としていかに大きなリターンをもたらすかということを、思い起こさせてくれる事例だと思います。

<まとめ>
有力なイノベーションの種に投資すると、リターンが大きい。

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