山際悦子（夏帆）は、同僚の浅川みゆき（岸井ゆきの）から、「家に幽霊がいる」と告白される。みゆきの自宅に行くとそこには実の父親がいるだけだった。みゆきの精神状態を心配した悦子は、夫・辰雄（染谷将太）の勤める病院の心療内科へみゆきを連れていく。診察の結果、みゆきは「家族」という《概念》が欠落していることが分かる。
帰宅した悦子は、辰雄に病院で紹介された新任の外科医・真壁司郎（東出昌大）に違和感を抱いたことを話すが、辰雄からは素っ気ない返事のみ。常に真壁と行動をともにする辰雄が精神的に追い詰められていく様子に、悦子は得体の知れない不安を抱くようになる。ある日、悦子は病院で辰雄と一緒にいた真壁から「地球を侵略しに来た」と告げられる。冗談とも本気ともつかない告白に、悦子は自分の身の周りで次々に起こる異変に、真壁が関与しているのではないかと疑い始める。

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『散歩する侵略者』を見た後にWOWOWでやっている『予兆 散歩する侵略者』を観ている．『散歩する侵略者』は黒沢清らしさに溢れた作品だったが，こちらは脚本に『リング』を手がけた高橋洋が入っているので，ホラー要素が強い．
そもそも侵略者SFなので，こうしたわからないところから変わっていく不穏さが出てくるはずだった．娯楽作品としての色も入っていた劇場版で削がれていたホラー要素が存分に出ている．

劇場版では宇宙人たちはそもそも人間に興味を持っていなかったが，こちらの宇宙人はかなり悪意を持って人間に接しているように感じられる．劇場版では愛を説く神父の役をやっていた東出昌大が宇宙人を努めている（いいのか）．いい意味で人間らしくないのが良い．

とても奥行きのあるカットがたくさん出てくる．そして，不自然なほどに正対したカメラアングル．なんだかとても舞台っぽく感じた．見えてなかったカーテンの奥がシャッと開かれて茫漠とした空間になぜか掃除をしている看護師が2，3人．なんというかあらゆる間が気持ち悪くて気持ちいい作品．最後まで楽しみ．