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マーブル色の日

仕事でヘトヘトになって帰宅する。

週休3日でちょうどいいのに、そもそも週5当たり前に働くってデフォルトはおかしいよな。

ベッドに飛び込めばシーツにからだが溶けるみたいに意識が薄れてゆく。仕事はいつまでも手ごわい。けれど仕事がきつくなければ、人生はボスキャラの出てこないRPGぐらいに手応えのない楽ゲーになりそう。
いや、それでいい。

次の休日まで潜水するように生き延びる。
息を止めて、雑念を掻き消して、ひたすら前へと突き進むイメージ。

◇◇

長い溜め息みたいな梅雨が続く。雨がアスファルトをボコボコに殴りつける音が聞こえる。「明日もまた雨らしいよ」と同じトーンで流れる「また緊急事態宣言出るらしいよ」。

ロッキン中止の腹いせにファッキン宣言した男が逮捕されたってLINEニュースで見たよ。誰もが疲弊し、行き場のないもどかしさに名前すらつけられていない。そんな持久戦みたいな毎日。
生きてるだけで僕らはアスリート。なんてまるでミスリード。ストリートでたとえ一人きりでも、耐えねーとキリねーぞ。らっぷ

◇◇

エピソードのない生活が続いて、世界に感想すら持てない日々ばかりだけど、振り返れば豊かな日常のひとコマだったってケースはよくある話で。たとえ思考停止だったとしても、そのなんでもない毎日を積み上げていくことでしか僕らは未来を推し量れない。生きていくことしか前提はないのだから。

中学生ぐらいの時に観ただろうか。『きょうのできごと』という行定勲監督の映画があった。些細な日常の交錯を描いた平凡な邦画だったと思う。内容はほとんど覚えていないが、劇中で流れる矢井田瞳の『マーブル色の日』が良い曲だった。
なぜだか最近、頭の片隅でずっと流れている。

同じようなことで泣いて笑う
だからぶつかる だから素敵

うまく行かない時こそ 手を繋いでみましょう
言葉なんて小さなことに思えるからほら

綺麗なものはいらないのよ だって
いつかは失う はかない世界

『マーブル色の日』矢井田瞳


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