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過去作品まとめ

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SNSなどで発表した過去作品をまとめています。
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記事一覧

短歌 2024年4月後半

短歌 2024年4月後半

Blueskyで書いていたものをまとめました。

※二首漏れていたので加えました(5/4)

目覚めたら週の真ん中水曜日ベッドの海に溺れても朝

金曜の雨は優しい顔をして本音を吐けと追い込んでくる

早朝の身体は少し透けていて邪悪な雲に同化しやすい

週末のぼくら浮き輪になりたくて貪りもせず抱き合っている

春風に堕ちてはいけない恋だけどおなじ鏡に映りたかった

失った恋を数える指だけが器用になっ

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2024年4月の二の字

2024年4月の二の字

二の字とは文字数を揃えた(同字数を基本とした)二行詩で


 雪の朝二の字二の字の下駄のあと


の名句から、勝手にそう名付けています。

見上げても帰る丘がない
欲望は眩しくてさみしい
(4月2日)

足元にご注意ください
諦めた昔話が蘇ります
(4月4日)

それを希望と言うのなら
世界は半熟のままでいい
(4月5日)

ぼくの窓は春に奪い取られたままで
ことばより大切なものが消えてゆく
(4

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2024年4月の七ならべ

2024年4月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。

4月はほとんど書いていませんでした…

駅舎が淡く
光り出すころ
遠い記憶が
近づいてくる
あの頃ぼくは
海賊王に
なれないことを
自覚していて
瑕疵ひとつない
紙ふうせんを
作ることだけ
考えていた
それが何かの
役に立ったか
ポストはいまも
赤らんだまま
(2024年4月2日)

どんよりとした
日々が続けば

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短歌 2024年4月前半

短歌 2024年4月前半

BlueSkyやXで書いたものをまとめました。

ウソをつく余裕ないまま春の日は大きなウソで成り立っている

あたらしい靴は固まりやすくって春を発動させる沈黙

ビル風の寒さは色が違うからぼくのことばはうたになれない

週末の夜を見送る階段がブルーノートを奏ではじめる

この街のどこかできみとすれ違うお互い顔を知らないままで

夕暮れの駅前通りの先に居る太陽もいま帰路につきます

犬派でも猫派でも

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2024年3月の二の字

2024年3月の二の字

二の字とは文字数を揃えた(基本同字数)二行詩で

 雪の朝二の字二の字の下駄のあと

の名句から、勝手にそう名付けています。

からっぽの部屋を立ち去るとき
三月のすべては微睡みだと知る
(2024年3月1日)

ぼくたちは春を迷うように
北のはずれのまっすぐな道
(2024年3月2日)

飛行機が降りてこない滑走路の端で
スタートライン引き直して空を見る
(2024年3月3日)

無力で優しい三

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2024年3月の七ならべ

2024年3月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
XやBlueskyにあげたものをまとめました。

互いのきもち
知っていたのに
ぼくらは一歩
踏み出せなくて
三十五年
経ってしまった
きみには孫が
いるらしいけど
ぼくの中には
あの賑やかな
眩しい夏を
駆け抜けていた
きみがいるから
はじまりがなく
おわりもなくて
ふたりはそれで
いいと思うよ
(2024年3月2日

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短歌 2024年1〜2月から

短歌 2024年1〜2月から

昨年末くらいから短歌を書いてみようと思って試行錯誤しています。2024年1〜2月に書いたもののなかから15首選んでみました。

夕方のペットショップでまっしろな仔犬が西の空を見ていた

あなたにはほかに愛するひとがいてぼくは雪道歩くしかない

ひとひらの雪の行方を追うように忘れられない恋があります

街灯のひとつひとつが寂しげな詩を紡いでる星に住んでる

No Woman, No Cryとは言えな

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2024年2月の二の字

2024年2月の二の字

二の字とは文字数を揃えた(基本同字数)二行詩で

 雪の朝二の字二の字の下駄のあと

の名句から、勝手にそう名付けているものです。

ほんとうの自分を見つけたいと言って
どれだけのプリンが消費されただろう
(2024年2月1日)

向かい風に奪われないように
春につながっている道を歩く
(2024年2月3日)

雪は徐々に重さを手に入れて
ぼくはいつまでも動けないよ
(2024年2月5日)

二月

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2024年2月の七ならべ

2024年2月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
Xなどにあげたものをまとめました。

立春なんて
絵空事だよ
暦の中の
つくり話さ
北のはずれで
僻んでいても
こことはちがう
そらのしたでは
春の蛇口を
すこし緩めて
色とりどりの
朝を奏でる
それを想像
してみるだけで
歩幅がすこし
ほころんでいる
(2024年2月4日)

雪降り積もる
星に生まれて
言いたいこと

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2024年1月の七ならべ

2024年1月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
Xなどにあげたものを再掲します。

強張っている
手帳ひろげて
これからの日々
見渡してみる
計画なんて
気休めだから
こころのままに
記すしかない
ぼくのことばが
だれかの朝を
少しだけでも
彩れるなら
ぼくの宇宙が
破れてもいい
星のかけらに
もう惑わない
(2024年1月1日)

サイゼに行けば
ほうれん草の

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2023年12月の七ならべ

2023年12月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
Xやmastodonなどにあげたものを再掲します。

象形文字の
生まれる夜に
見上げる星は
偽物だけど
ことばにのせる
感情だって
ホントかウソか
わからないから
抱えきれない
固い結び目
鞄に詰めて
止まない雨に
影を溶かそう
(2023年12月3日)

なにかを閉じて
冬がはじまる
それがなにかは
わからないまま

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あれからも、二行で書いていた

あれからも、二行で書いていた

最近良く書いている二行の何か。詩なのか散文なのか。敢えて言えば詩なのかなと感じている。いずれにしても二行で書くということが面白く感じていた。

前回の記事以降、X(Twitter)で書いていたものをここにまとめておく。

枯葉には枯葉の衝動があって
どれだけの後悔を描けるだろう
(2023年11月18日)

どんなに笑顔で終えたとしても
流れ星のその先を正視できない
(2023年11月19日)

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2023年11月の七ならべ

2023年11月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
Xにあげたものを再掲します。

しろいノートを
ひろげたままで
ことばふるのを
ただまっている
詩をかくことは
こんなにつらい
よるだったかな
おもいだせずに
ジタバタしても
ひはまたのぼる
詩はまたかける
(2023年11月5日)

おとの部屋には
苦しみがない
かぜの部屋には
心配がない
なみだの部屋に
おとが逃げ

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2023年10月の七ならべ

2023年10月の七ならべ

※ここでは、七音のフレーズのみで構成された詩形式を「七ならべ」と呼んでいます。
ThreadsやXなどにあげたものを再掲します。

秋の果実は
迷いがなくて
カゴの中でも
微笑んでいる
傷つくことを
恐れないのは
傷つくことを
まだ知らないか
傷つくことに
慣れきったのか
いずれにしても
ぼくは彼女を
傷つけるしか
ないのだろうか
迷いはいつも
いろとりどりで
落ち着く椅子も
汚されたまま
(20

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