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合体ロボ テイク・ア・チャンス 第二話 エモい指先!!

合体ロボに乗り込む、
三人の操縦者。
 
レッド(男性)  昭和生まれ。
ブルー(男性)  平成生まれ。
イエロー(女性) 令和生まれ。
 
 
「また市街地に敵が現れた!
 みんな行くぞ!!」
 
「おぅ…」 「はぃ…」
 
「博士からの情報によると、
 今日の敵はとても巨大で…
 とてつもなくかたらしい」
 
「そんなの、どうすんの?
 必殺技はかないんじゃないの?」
 
正攻法せいこうほうではダメだ。
 博士からもらったデータによると、
 全身、硬い装甲そうこうに包まれてはいるが、
 大きな口唇の…右口角みぎこうかくあたりに、
 小さな排気口があるらしい。
 
 排気口内部は曲がりくねってるものの、
 その先にはやつの動力源に…
 弱点につながってるとのことだ。
 
 つまり今回は、
 内部から破壊する作戦だ!
 
「そんなのどうやってねらうんだよ。
 まとが小さい上に、
 中で曲がりくねってるって、
 ビームでは無理だよ
 
「だからまずは弱らせて、
 そこにグレートフィンガーミサイルを、
 打ち込むんだ!
 
 グレートフィンガーミサイルは、
 サイズも小さく誘導式だ。
 
 これであの弱点を攻略できる!
 イエローたのんだぞ!
 
「……」
 
「イエロー?!
 どうした?」
 
私、その名前、
 嫌なんですけど

 
「へ?」 「は?」
 
「そのグレートフィンガーとかいう名前。
 超ダサいし…
 言いたくないんですけど?

 
「またそれ?
 ここに来て、それ言う?」
必殺技は自分達の声に、
 反応して出る
んだから、
 そこは我慢がまんしようよ」
 
「これだから男って。
 グレートとか、
 ストロングとか、
 シャイニングなんとかとか、
 ファイナルなんとか…嗚呼~
 もう~うんざり!」
 
「そう?
 僕は全然、気にならないけど」
「俺も同感だ」
 
「だから二人とも、
 モテないのよ!」
 
「ガーン!」 「ゴーン!」
 
「そもそも何で、
 技の名前を言わないと、
 武器が出ないのよ!

 
「それはセキュリティー対策だ。
 
 誰かにこの機体を乗っ取られても、
 ボタン操作と俺達の声が一致しなければ、
 武器は発射されないようになってるんだ。
 
 仕方ないことなんだ」
 
「だとしても、この名前はない!
 この技名って、
 博士が決めてるんでしょ!

 
「そうだな」
 
「じゃあ、私の担当の必殺技は、
 私がつけても問題ないわよね!」
 
「え~グレートフィンガーでいいのに~」
「グレートの何が不満なんだ、イエロー!」
 
「全部よ!
 そして、全然、可愛くない!」
 
「ロボットに可愛いって、必要~?」
「ロボットはカッコいいが正解だぞ!」
 
「女心がわからない人たちはだまってて!
 博士!博士!
 聞こえますか!」
 
「なんじゃ、どうした?
 出張手当の増額は無理じゃぞ」
 
「違います。
 私が担当する必殺技の名前を、
 変更させて下さい

 
「必殺技の名前を…
 変更させろじゃと?!」
「……
 ……はい」
 
「いいよ。
 ボタン長押しで設定モードだから、
 適当に変えちゃって」
 
「ありがとうございます。
 
 よし!
 
 これでこの超絶ダサい、
 グレードフィンガーミサイル右手親指、
 グレートフィンガーミサイル左手薬指。
 
 このダサい名前とは、
 今日でサヨナラよ!

 
10分後。
 
「ねえ、イエロー終わった?
 敵があらかた街を、
 破壊し尽くしちゃったんだけど

 
「……いま、終わったわ。
 両手10本…全て」
 
「よし!イエロー!
 
 お前が名前登録している間に、
 敵を弱らせたおいたぞ!
 
 あとはお前のミサイルを、
 打ち込むだけだ!」
 
「了解!
 行くわよ!
 私の必殺技!」
 
「ドキドキ」 「ワクワク」
 
素敵な眼鏡でルネッサンス!
 
チュドーーーン!!ミサイル発射
 
「?」 「?」
 
真夏のレモン砂糖づけ!
 
チュドーーーン!!
 
「?」 「?」
 
ワインレッドな浮気心!
 
チュドーーーン!!
 
「?」 「?」
 
深夜の欲望は片想い!
 
チュドーーーン!!
 
「ちょ、ちょっと待って!
 その名前、なに?」
 
「これがミサイルの名前よ。
 1本1本、違うの!
 最近コスメっぽくて、
 素敵でしょ!

 
「う~ん、どうかな~。
 きっと【素敵な眼鏡でルネッサンス】は、
 お笑いコンビの、
 男爵だんしゃくじゃない方を思い出すよね?」
 
「え?!」
 
「俺も【ワインレッドの浮気心】って、
 なつかしいなあって思っちゃったよ。
 俺が生まれる前の昭和歌謡だぞ、それ」
 
「え?!」
 
「【レモン砂糖づけ】ってオシャレなの?
 一瞬、部活連想れんそうしちゃった。
 女性のセンスは、
 僕にはよくわかんないや、やっぱり」
 
「【深夜の欲望の片想い】って、
 夜中にモンモンとしてそうな奴だな。
 何か1周回ってレトロな感じで…
 いいじゃないか!
 俺はこれ、好きだぞ!」
 
「イ、イ…
 イヤ~~~~~~!!」


 このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。

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