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本を読むこと。 ~ モリ−先生との火曜日に学ぶ人生の意味 ~

私の人生に影響を与えた一冊を紹介していく「本を読むこと。」ですが、今回ご紹介するのはスポーツコラムニスト、ミッチ・アルボムの著書「モリ−先生との火曜日」です。

「モリー先生との火曜日」はスポーツコラムニストとして活躍する著者のミッチが偶然にテレビで大学時代の恩師モリー先生を見かけたことから始まります。

ここで、ミッチはモリー先生が難病である、ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていたことを知りますが、病魔に侵された今でもモリーはミッチのコーチであり、先生でした。

ミッチには難病を抱えたモリーが自分自身の恵まれた仕事や生活に比べても「幸せ」なように見え、「人生の意味」を探しにモリーのもとへと通うようになります。

毎週「火曜日」は死の床で行われる「人生の意味」についての授業になりました。

本書はその毎週火曜日の授業で「人生の意味」と「幸福」について死を目の前にしてモリー先生が語った内容をまとめたものとなります。

ふれあうこと

モリー先生は自分にできることが少なくなってとうとう自分でお尻を拭くことができなくなりました。

本来、我々の文化は他人の手を借りることは「恥ずかしい」ことと教えたが、モリーは生きている間にそんな「文化」と戦ってきました。

だから恥ずかしがるのはやめよう、他人頼りを楽しもうと思うようになります。

そうすると赤ん坊に戻ったときのようにふれあいが急にうれしくなったのです。

これはどんなふうに楽しめばよいのかを思い出すだけで良かったこと。

無条件な愛、心配りによる人間的な「ふれあい」はとても大切なものだと悟ったのです。

老いについて

昔や年齢を羨むことはしない、年齢は勝ち負けの問題じゃありません。
自分の今の人生の良いところ、ほんとうのところ、美しいところを見つけなければいけないとモリー先生は語ります。

私自身にすべての年齢が混じり合っていまがあります。
今を認め、楽しむことが大切なのです。

おかねについて

お金は満足を与えてはくれません。
満足は「自分が人にあげられるものを提供することで得られる」のです。

時間や心づかい、話をすること、そこに対した才能はいりません。

人を愛することに自らを捧げよ、
周囲の社会に自らを捧げよ、
目的と意味を与えてくれるものに自らを捧げよ

それが充足と満足を人生に与えてくれるのです。

死について

世界には決まった量のエネルギーしかなくて、それがすべての生きものの間を流れているのだとモリー先生は言います。

したがって、何かが生まれれば必ず何かが死に、何かが死ねば必ず何かが生まれることになるのです。

それで世界のエネルギーの総量は保たれます。

だから死は皆に公平なものです。

「はやばやとあきらめるな、いつまでもしがみつくな」

許しについて

「死ぬ前に自分を許せ、それから人を許せ」

いつまでも意地を張っていても、恨んでいてもろくなことになりません。

それは自尊心と虚栄心からくるのです。

自分のできなかったこと、しなかったことについてまず自分を許すこと。

そうすると人を許すことができるようになるのです。

まとめにかえて

私の友人にALSを患って闘病している人がいました。

その人とは私の友達のカフェで知り合ったのですが、彼は毎日のようにカウンターに座って、大好きなタバコとビールを片手に冗談ばっかり言っている陽気な外人さんでした。

彼と知り合ってからしばらくしたある日、両手がしびれるとのことで相談を受けました。

頸部の検査などを軽くしても症状に再現性はなく、なんとなく嫌な予感がしたので神経内科の受診をすすめました。

病院で精密検査をしたところALS(筋萎縮性即索硬化症)の診断だったそうです。

彼はその運命を理解した上で受け入れ、病気の申告を受けてからも自分の生き方を曲げずにお店に通い続けました。

彼を慕う常連客も「とことん好きなことをしな」と彼を励まし続けました。
身体の麻痺の進行とともに徐々にお店へ通う回数は減りましたが、それでも毎年彼の誕生日はお店で馴染みの常連客と友人達で祝いました。

介護職の経験もある私の友人(カフェのオーナー)は彼の元へ通い、介護の続けました。

そして2017年の冬、もう一人では立つことも座ることもできないが、いつもどおり誕生会を開くとの連絡が入りました。

友人は「もう最後の誕生日だと思う」と私を誘いました。

もっとふれあおう、もっと語り合おう、もっと許し合おう

すべてを受け入れ、それでも自分らしさを見失わずに前に向きに生きる友人に対して、自分が与えられることは何か、「モリー先生との火曜日」を読んで考えていました。

今でも毎年彼の誕生日には彼を慕った友人たちがカフェに集まって、彼の思い出話に花を咲かせています。

もういつもの席に彼は座っていませんが、最後まで自分らしく、人生を生き抜いた彼の姿は今でもしっかりと皆の心の内に居ます。

「人生を楽しめ」「今を大切にしろ」

彼らはいつもそう語り、私の背中を押してくれています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

備考

ALS:筋萎縮性側索硬化症
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気である。
筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害を受け、
その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていく。
その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれる
最後は呼吸筋が侵され、呼吸不全で2~5年で死に至る進行性の難病である。
(難病情報センター 筋萎縮性側索硬化症より 一部引用)


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