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まえがき ―ロッキン藤原の書店堂々―

昭和53年(1978年)に僕はある書店に就職した。書店には9年務め、昭和62年(1987年)にこの会社に転職した。書店に勤めている間に結婚し、子供が生まれ、阪神タイガースが日本一になった。昭和から平成へと変わろうとしていた時代の書店は、ある転換期を迎えつつあった。大規模書店、郊外型書店、異業種参入など、いわゆる「町の本屋さん」が身震いするような出来事が次々に起こっていた。

平成9年(1997年)に、書店に対して危機感を持ち「売れる書店はこうだ」をネットにアップした。昭和にはあった書店員の仕事の楽しみが平成という時代には失われそうになり、このままでは読者が書店から離れてしまうのではないかと思った。

書店員は棚を作る楽しみを見つけ、読者がその棚で本と出会い、そして書店が潤い、読者が満足する。この構図こそ僕が考える書店の理想型なのです。
そして、書店を裏側から支えているのが出版営業という仕事だと信じて仕事をしてきました。書店の棚なくして本は売れない。生きた棚なくして読者は集まらない。その一部をお手伝いする使命が僕にはあるのだと思っています。

しばらく営業活動を休止していましたが2年前に再開。これから掲載するのは、2016年から10年ぶりに書店を歩き出会ったシーンの一部始終です。そしてロックと長年付き合っていると、「あれ、このシーンってあのアルバムみたいだな」と頭の中にジャケットが浮かんでくるのです。いわゆる妄想ってやつですね。その妄想ともお付き合いいただきたく連載を始めます。

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書店に風は吹いているか

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。


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