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【一点集中】不安から守備範囲を広げると自滅する

商売において、商品やサービスの品ぞろえを豊富にすることで広く顧客を集めようとしがち。それよりも大事なのは?という話

自社のウェブサイトをリニューアルすることにし、最近は各専門家と打ち合わせをしている。

その際に、自身の事業を再定義することを命ぜられるのだが、自分でもわかっているようでもうまく表現できないことに気がつく。



「これからはリフォーム業者のように何でもできる会社が勝つ時代だ」

こう言ったのは約20年前の父であるが、父はそう考えていたせいか仕入れが可能なカテゴリーはすべて仕事にしようとしていたし、実際に顧客との打ち合わせの際も「それもできますよ」と安請け合いしていた。



結果、会社には様々なメーカーの多岐にわたるカタログがごった返していて、新商品が出るたびにその商品の知識を頭の中に入れるのに忙しかった。

いったいウチは何屋なんだ?と自分でもわからないくらいで、その苦労もむなしく商売の方は下降線をたどっていった。



会社を引き継ぐ直前に倒産寸前だったのには様々な理由があるが、この風呂敷を広げすぎて収拾がつかない状態だったのも原因のひとつだったと今では強く思うのだ。



今回の事業の再定義という作業にも大きくかかわるが、自社が何屋で何を提供できるかが明確に表現できないとお客様は見向きもしないし、思い出してもくれない。

それくらい何をしてくれる会社か、ということを簡潔にまとめることは重要であり、事業を組み立てるには重要なポイントになるのだ。



何でも屋が思い出してもらいづらいのは、どんなときに頼んでいいかわからないから。

逆に本当に何でもやる便利屋まで振り切ってしまえば別だが、便利屋にもできることは限られているだろう。



ある程度の大きな組織で広く守備範囲を構えるのはアリだが、小さな会社は特化した売り物を前面に打ち出さなくては見つけてもらえない。

飲食業のフードコートと個人商店のようなもので、個人商店があらゆるジャンルの料理を出そうにも個性が薄まるし、質もキープできないだろう。



であるならば「チャーハンが絶品」とか「イタリア人も認めたピザ屋」など、個人商店でも個性が際立った店の方が、お客様の印象にも残る。

父にかぎらず商売を不安視するあまり、守備範囲を広げようとして自滅していった会社を多くみてきた。

本当にやるべきは自社の個性を自覚して前面にアピールすることだ、と最近した事業の再定義で再確認したのだった。

「何ができる何屋」か簡潔にことばにできるだろうか?


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