【ホテルマンの鬱憤】
ホテルマンと聞いて、皆様はどんな印象をお持ちになるだろうか・・・
紳士然たる態度で、スマートに仕事をこなすカッコいい存在だとお思いだろうか❓️ 確かに老舗のシティーホテルクラスの接客にはハイレベルなものがあるだろう。ところが、ホテルマンだって人の子、ひと皮めくればボロも出てくるというものだ。
聖人君子面をして接客をしてはいれども、裏では愚痴だって溢すし、〈飲む打つ遊ぶ〉が趣味の輩も少なからず存在するのだ。
・・・・・・・
さて、ある時である。ホテルでは、当時、超売れっ子だった落語家の独演会が催されていた。そして、その落語家の控室への昼食のルームサービスを担当した同僚がいた。
部屋の前までやって来た彼はドアをノックする。
「コンコン❗️・・・・」
「・・・・・・・・・」
ところが中から応答がないのだ。再度ノックを試みたのだがやはり反応がない。
更に数回ノックをした時に漸く返答があった。
「おぉ❗️」
同僚は部屋を訪れた理由を伝えた。
「失礼致します❗️お食事をお持ちいたしました」
そう言いながら、そ~~っとドアを開けた彼は、ワゴンを押しながら部屋の中へと入って行った。
部屋の中では、何やら難しそうな顔をした落語家がテーブルに両肘を突き、今にも灰が落ちそうな煙草を指に挟んで天井を睨んでいる。
「あのぉ~~料理はどちらに置かせて頂きましょうか❓️」
恐る恐る訊ねた彼に落語家が言い放った。
「灰皿❗️」
内心ムッとしながら、彼は落語家の前に灰皿を差し出したという。公演中の緊張からイライラしていたのかもしれないが、客だから何を言ってもいい訳ではないし、ありがとうの一言もない。
そんな我が儘を黙って見過ごすのも接客業の仕事の内なのかもしれないし、宿命なのかもしれないが、それにしても、なんと失礼千万な態度であろうか・・・
「なんだよあの野郎❗️」
・・と、接客から返って来た彼が思わす憤りをぶちまけた。
ホテルマンは色々な人の接客をすることを生業としている。かく言う僕だって沢山の有名人の接客をしてきたのだが、お客様は十人十色、千差万別・・
時効なんて無いのかもしれないし、職業によっては守秘義務もあるのかもしれない。しかし、僕は聖人君子ではない。だから、この際それは無視することにして、ホテルマンから見た、色々なお客様の姿を、おいおい書いてみようかなぁ❓️なんて思ったりしているのだが・・・止めといたほうがいいのかもしれない。
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