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映画「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」感想

映画「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)」

2021年公開作品/122分

〈あらすじと概要〉
 ウクライナ民謡をもとに生まれたクリスマスソング「キャロル・オブ・ザ・ベル」をモチーフに、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が戦火に翻弄されながらも子どもたちを守り抜こうとする姿を描いた戦争ドラマ。

 1939年、ポーランド領スタニスワブフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)。ユダヤ人が暮らす母屋に、店子としてウクライナ人とポーランド人の家族が引越してくる。歌うことが得意なウクライナ人の娘ヤロスラワは「キャロル・オブ・ザ・ベル」を歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面ではいつもその歌を披露していた。やがて第2次世界大戦が勃発すると、スタニスワブフはソ連軍やドイツ軍の侵攻を受け、ソ連に占領されてしまう。ポーランド人とユダヤ人の両親たちは迫害によって連行され、彼らの娘たちは家に残されることに。ウクライナ人の母ソフィアは3人の娘を分け隔てなく守り続け、さらにドイツ人の息子も匿うことになるが……。

 監督は、テレビドキュメンタリーを中心に手がけてきたウクライナ出身のオレシア・モルグレッツ=イサイェンコ。
2021/ウクライナ・ポーランド合作

映画com引用


 __ 戦禍を思う __

 史実を元にした物語とは言われていないけれど、実際こういう子供たちを匿っていた家族は結構いたんだと思う。願うだけでは好転しないとわかっているのに願わずにはいられなくて、隣人であったポーランド人とユダヤ人の子供たちを一身に育て匿っていたウクライナ人の母と父の優しさ、そして逞しさに揺さぶられた。
 ホロコースト部分に限らず、無惨に小さな命を奪い失われる残酷なシーンがある。ドイツ軍人やソ連軍による執拗なまでの探索や尋問などハラハラして苦しかった。こうやって見つかって連れて行かれた家族がたくさんいたことは紛れもない事実で、今もなお繰り返されていることに悲観する思いもわいてくる。
 今現在、世界で苦境に立たされている戦地の子供たちを思うと悲しさでいっぱいになる。早く争いが終結して、外の空気を思いっきり吸って、走り回れることを願っています。
 心に刻まれる、とても秀逸な作品でした。オススメです。

 余談ですが、
 視聴後、耳から女の子たちの歌声が離れなかった。今後クリスマスソングでこの歌が流れたら、きっと明るく楽しい気持ちにはなれないなぁ……。

2024年5月6日視聴
公式サイト


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