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[バレーボール男子日本代表]世界ランク2位アメリカと比較してみた

(画像:DAZN News JP)

こんにちは。
オリンピック予選が終わり、各国クラブシーズンが始まりました。
イタリアリーグでは、日本代表石川選手がミラノに合流しました。
高橋藍選手はパドヴァからモンツァに移籍しましたね。
モンツァはパドヴァより強豪という印象があって、カナダ代表のマア選手やブラジル代表のフェルナンド選手など代表選手が揃っています。
個人的にフェルナンドおじさんは陽気な見た目と軽快なトスワークで結構好きな選手です。

さて、前回の投稿で日本vs トルコ・セルビア・スロベニアの3戦をまとめた分析をしました。
そして今回は、アメリカvs トルコ・セルビア・スロベニアの3戦を分析してみようと思います!
日本のときと同じ3チームとの対戦成績をもとにするので、日本とアメリカとの比較も行いたいと思います。

アメリカ代表チームについて

アメリカ代表チーム (画像:Volleybox)

アメリカは現在世界ランク2位の強豪チームです。
攻守のバランスが良く、攻撃の種類も多彩というタレント集団というイメージがあります。
日本との対戦では、アメリカがほとんど勝ち越しています。オリンピック予選では、お互い若手中心ではありましたが、3-2でアメリカが勝利しています。


では、目次はこちら☟


バレーの用語については以下の投稿でまとめています。

また、前回の日本の試合分析の投稿をお読みになってない方は先にそちらを読んでいただければわかりやすくなると思います。


3試合全体のスタッツ

なお、対戦成績は
vs トルコ  3-1
vs スロベニア  3-1
vs セルビア 3-0
となっていて、全勝ではありますがセット数はアメリカの方が2セット分多くなっています。

3試合の合計スタッツ

①項目別成績

・サーブ - "Serve"

スタッツ項目:サーブ

アメリカのサーブは基本的に「強力なジャンプサーブ」というイメージです。
日本ではミドルブロッカーは3人ともフローターですが、アメリカは2人がジャンプサーブとなっています。
12番のホルト選手サーブ本数、サービスエース数で一番の成績でした。
下の図はホルト選手のサーブコースですが、ほとんどがスパイカーがレセプションする位置(図の右上の部分)にサーブを打っています。
ここまで集中して同じコースに打てるというのは驚異的ですね。

12番ホルト選手のサーブコース

・ブロック - "Block"

スタッツ項目:ブロック

ホルト選手はブロックでも大活躍ですね。ブロック本数ブロックタッチ数
で一番です。
前衛でも後衛でも素晴らしい活躍です。
そんな中、ブロックポイントは8番のデファルコ選手がトップでした。
ライト側からのクロス方向のスパイクをよく止めていた印象があります。
もう1つ注目してほしいのが、普通はセッターは身長が低いことが多くブロックの成績もよくないことが多いですが11番のクリステンソン選手はブロック効果率でトップになっています。
「セッターのブロック力が高い」というのは、強豪と呼ばれるイタリア、ブラジル、ポーランド、フランス、そしてアメリカに共通する特徴であるといわれます。それを証明するかのような活躍でしたね。

・アタック - "Attack

スタッツ項目:アタック

サイド攻撃が基本である1番、2番、8番の選手の攻撃数が多いのは普通ですが、クイック攻撃の本数もかなり多くなっています。
4番ジェンドリック選手12番ホルト選手スパイク本数もアタック効果率もとても高い数値です。
アメリカはサイドだけでなく、クイック攻撃もガンガン使っていくスタイルだと分かりますね。それによって、相手ブロッカーからするとどこにブロックに寄るか判断が難しくなります。

・レセプション - "Reception"

スタッツ項目:レセプション

レセプションの中心である2番ラッセル選手8番デファルコ選手22番ショージ選手はレセプション返球率が50%を超えていて、高い数値といえるでしょう。
アメリカの特徴として、本来レセプションに参加しないポジションであるオポジット(OP)の1番アンダーソン選手もたまに参加するシーンが見られます。
もともとアンダーソン選手はアウトサイドヒッター(OH)の選手なので、そういった特殊なパターンも可能なのです。

・ディグ - "Dig"

スタッツ項目:ディグ

ディグは「スパイクレシーブ」のことなので、基本的にブロックの完成度によってディグの成功率も高くなります。「トータルディフェンス」というやつですね。
ショージ選手のディグ本数がかなり多いようです。相手ライトからのストレート攻撃、レフトからのクロス攻撃、そしてセンターからのクロス攻撃をディグするのが主な役目ですが、レフトとセンターからのクロス攻撃をよく拾っている印象があります。

このディグの項目にはブロックされたものを拾った時もカウントされていますが、スパイカーがリバウンド狙いでブロックに当てたのを拾ったもの、そして相手からのチャンスボールを拾った時もカウントされてしまいます。なので、正直スパイクレシーブの正当な評価とは言えませんが、公式のスタッツでも同様のカウントの仕方をしていると思うので別の評価基準を設けていですね。

②ブレイクポイント

ブレイクポイント(上がブレイク、下がブレイクされたもの)

ブレイクポイントについても見ていきましょう。
まず、一番多いのがアタックによるブレイクですが、サーブやブロックでのブレイクもかなり多いことが特徴的です。
特に、ホルト選手がサーブのS5ローテはサーブによるブレイクが7点で、1番ブレイクポイントが多いローテになっています。

一方で、ブレイクを取られるのが1番多いのも、S5ローテになっています。
S5ローテはレセプションの際、2番ラッセル選手と8番デファルコ選手が並ぶという陣形を取ります。
スパイカーである2人が並ぶと、そこを狙われやすくなります。
また、ラッセル選手はおそらくレセプションをそれほど得意としていないのでしょう。デファルコ選手がラッセル選手付近もサーブも拾いに行くシーンが見られました。
こういった乱れた状態のスパイクを拾われて相手のチャンスにされることが多かったと考えられます。

③スパイクコース

まず、ラッセル選手のレフトからのコンビスパイクのコースを見ていきましょう。

2番ラッセルのスパイクコース(30本中)

ラッセル選手はクロス方向、コート中央奥方向のスパイクが目立ちます。
ブロックを利用したスパイクよりも、コートに直接打ち込むことが多いかなと思います。

そして下は、同様に8番デファルコ選手のスパイクコースです。

8番デファルコ選手のスパイクコース(17本中)

ラッセル選手よりもブロックを利用したスパイクが割合的に多いことが分かります。
また、コースもコート中央奥ではなく、コート対角よりもクロス寄り(インナーコースと呼ばれます)とストレートに多いですね。

ラッセル選手がブロックとブロックの間にスパイクを打つスタイルなのに対して、デファルコ選手は相手ブロックの指先を多く狙うスタイルであることが見て取れます。

また、デファルコ選手はコート真ん中からのバックアタックが他の選手と比べて多く、難しい位置からのスパイクもこなせる器用な選手であるといえます。


以上がアメリカ代表チームの主な試合分析となります。
日本代表よりもだいぶ端折ってしまいましたが、アメリカがどんなチームなのか、そして日本代表との比較については次の投稿で詳しく見ていこうと思います。

それでは次の投稿を楽しみにしていてください!

他の試合分析については、以下のマガジンから観ることができます☟

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