1.5℃の衝撃
「この10年間に行う選択や実施する対策は、現在から数千年先まで影響する」
「世界の平均気温の上昇が産業革命前から1.5℃を超えれば、異常気象はさらに頻発する」
「2℃以上上昇すれば、氷が溶けるのが止まらなくなるなど、温暖化が暴走するリスクが高まる」
「CO2など温室効果ガスの排出量を、2050年までに実質ゼロにする以外に、解決策はない」
(国連IPCC 第6次評価報告書 統合報告書 2023.3.20)
この国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から突きつけられている重い課題を、果たして人類は解決できるのでしょうか。
まさに、この10年が正念場なのです。
私は、4月9日に放送されたNHKの「BSスペシャル 脱炭素へのロードマップ ビジネス界 1.5℃目標への挑戦」を観て、改めて地球温暖化への危機感を深めました。
番組のなかで、世界的な気候科学者で、ポツダム気候影響研究所の名誉所長 ハンス・J・シェルンフーバー博士は、これは科学者からの最終警告だとして、
「このままでは20億の人々が温暖化によって住む場所を失う可能性があります」
「人類がこのまま自己中心的で利己的であるならば、私たちは気候危機で滅びることになるでしょう」
と警告しています。
私は、2032年の近未来を描いた小説「ある日の“未来”」のなかで、10歳の主人公の未来がつぶやく、
「地球温暖化で人類が絶滅してしまったら、誰が企業の製品を買うのだろう?」
という素朴な疑問が、これからの10年の間に、全人類にとって動かしがたい真実とならないことを願わずにはいられません。
番組を観て唯一救われたのは、極端に脱炭素対策が遅れている日本でも、230社もの企業が加盟するJCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)のような企業集団が、真剣に危機を回避するための努力を続けていると知ったことです。
私もこうした動きを応援し、できるだけ多くの人と危機感を共有しながら、未来の子どもたちのために、今できることから始めようと、改めて意を強くしたところです。
たとえそれがどんなに小さな取組みだとしても、一滴の水も多く集まれば大河となるように、未来を変える力になると信じています。
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