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With Cancer をどう生きるか


新型コロナウイルスによるパンデミックは、世界中に混乱と恐怖をもたらしましたが、この3年の間に、人類はパンデミックを乗り越え、コロナとともに生きる「ウィズコロナ」の時代へと新たな挑戦を始めています。

一方、がんは依然として人類にとって最大の脅威の病であり続けています。
いまや日本人の二人に一人が罹るというがんは、すでにいやが応にも私たちに ウィズがん(with  cancer )の人生を強いているのではないでしょうか。

私はがん体験者の一人としてこれまで、がんとともに生きるとはどういうことなのか、がんとうまく付き合う方法はないのかということを、ずっと考えてきました。

一人として同じ人がいないように、がんもまたそれぞれ、性質や症状、治療法や対応方法が異なります。
ですから、がんとともに生きるといっても、人それぞれに違った考え方になるのは当然のことでしょう。

先日、私は『CANCER  QUEEN』という小説の連載を始めました。
これは、6年前に肺がんの手術を受けたあとで書いた小説に、少し手を加えながら書いています。
すでに第1話を読んでいただいたみなさんには、心から感謝しています。

この小説で私は、がんとともに生きることについての私なりの考え方を、みなさんに知ってもらいたいと思っています。

この小説が、今この瞬間にもがんと闘っておられる患者さんや、これまでがんを体験された多くのみなさんにとって、自分なりに、がんとともに生きることの意味を見出だすきっかけとなるなら、これ以上の喜びはありません。

近年、科学技術の進歩は目覚ましく、がんをはじめ、さまざまな病気に対して、これまでにない画期的な治療法や薬が開発されています。がんも近い将来、撲滅が期待されている病気の一つです。

さらに、遺伝子操作やAI、ロボット工学など先端科学技術の発展は、単に病気の治療を超えて、人間の能力を無限に拡張させるエンハンスメントの可能性すら拡大させています。

人類はこれまで、長い間、生老病死の不安と恐怖を受け入れて生きてきましたが、これからは、科学技術の力によって、あらゆる病気や遺伝子の制約を乗り越えて、自らを作り替えてでも、病気を根絶し、永遠の命を手に入れようとするのでしょうか。

私はこの小説では、できるだけ多くの人に、こうした人類のいく末についても考えるきっかけとなればと考えています。

がん体験の描写はとかく暗くなりがちなので、この小説ではがん細胞を主人公とすることで、第三者的な視点からできるだけ客観的に描写しようと意図したことや、SFファンタジー的な要素も盛り込んでいる点には、いろいろなご意見があろうかと思います。
みなさんの、率直なご意見や感想をお聞かせ願えれば幸いです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

一人でも多くの患者さんの快復を、心からお祈しています。


第1話「クイーン」




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