前略、床の上より。
「雨風を凌げる場所」という表現で家屋を表すことがある。この言葉が指しているのは屋根や壁のことだ。しかし無論、家はこの二者のみでできているわけではない。そこにはもう一つ、床という欠かせない存在がある。
灯台下暗しなどと言うが、人間には、足元への注意をおろそかにする性質があるらしい。それがすでにある程度安定した足場となっているということを足裏の感覚で察知することさえできれば、特段それ以上気にする必要が無いと無意識のうちにみなしているのだろう。足場の悪い場所などというのも普通に生活