エッセイ : シングルバーナーとパーコレーターで淹れたアウトドア珈琲

今日、午後の3時に八ヶ岳を背にした諏訪湖が一望出来る小さな公園に行って珈琲を飲んで来た。
夏はさすがに暑すぎていられないので、3ヶ月ぶり位に行った。
奥さんと一緒の時もあるが、奥さんは今日は買い物に行かなくてはいけなかったので、1人で出かけた

珈琲を飲んで来たと言っても、その公園にカフェや
お店があるわけではない。
子供用の遊具もなく、ただ屋根付きのベンチとそのなかに設置された木製のテーブルがあるだけだ。
でも、そこからの景色は諏訪湖の後ろに八ヶ岳山麓が全て見え、天候の良い日は、その八ヶ岳の裾野の右端に小さく富士山が見える時もある。
今日はあいにく富士山は見えなかった。

僕はテーブルにアウトドア用のシングルバーナーを置いた。1人用のガスコンロの様なもので、若い頃ひとり旅をしていた時に持ち歩いていた物で、もう30年以上使い続けている。確かに傷がついた所もあり、焦げて黒くなった部分もあるが、今まで一度も壊れたことがない。
これ1つあればソロキャンプも出来るし、夫婦二人だけのキャンプならこれ1つで充分だ。

そして僕がいつも使っているのがパーコレーター。
金属製のポットのなかに珈琲の粉を入れる所謂バスケットと言われるものに金属製のパイプがついていて、このバスケットのなかに珈琲の粉を入れ、ポットのなかに水を入れ、シングルバーナーで熱していれば、ポットのなかで蒸留し珈琲が出来るようになっているアウトドア器具だ。

パーコレーターで淹れた珈琲は粉っぽいとか美味しくないと言う人がいるが、僕はそうは思わない。
多少粉っぽくなってしまうこともある。でもそれがアウトドア珈琲の味だとも思う

僕はいつもここに来て3杯珈琲を飲むので、3杯分の珈琲の粉とペットボトルの水をパーコレーターに入れ、シングルバーナーに火をつけた。
3杯分の珈琲を作るには、僕のシングルバーナーだと30分位かかってしまうが、待っている時間は苦にならない。
八ヶ岳を見ていればいいからだ。

僕は珈琲はブラックで飲むのだが、いつも何かを食べながら飲む。甘いものだとチョコレートが1番多い。だがアウトドア珈琲の時は、ドライフルーツか
ナッツが1番合う。
ピーナッツの時は落花生を持って来る。味付けしてあるピーナッツよりも、落花生の殻をむいて食べる何の味付けもしていないピーナッツが1番珈琲に合うからだ。
昨日、奥さんに頼まれてスーパーに買い物に行った時に素焼きアーモンドを見つけたので買って来た。
今日の珈琲のお供は素焼きアーモンドだ。

パーコレーターのお湯が沸騰して、中のお湯が蒸留し珈琲の香りが漂って来た。珈琲の香りは部屋の中でも良い香りだが、草木の匂いの中に漂う珈琲の香りは格別だ。
僕は頃合いを見計らってシングルバーナーの火を消した。パーコレーターの場合、何回も火をつけて温め直したりすると珈琲が美味しくなくなってしまうので温くなってしまっても火を消した方がいい。
僕はアウトドア用のマグカップに淹れたての珈琲を注いだ。そしてゆっくりと飲んだ。パーコレーターで淹れた珈琲の味がした。僕は好きだ、美味しいと思った。

僕は若い時から旅や旅行には必ずシングルバーナーを持って行った。そして、その旅や旅行のなかで、
必ず大活躍してくれた。
子どもが生まれる前、冬、奥さんとクロスカントリースキーをした時も、休憩の時に珈琲を飲んだり、
ランチの時にスープを温めたり、サンドイッチを
ホットサンドにしてくれたりと大活躍してくれた。
僕の宝物の1つだ。

僕の1番好きな山は、子どもの時から見て育ったせいもあるが、八ヶ岳だ。1番好きな八ヶ岳を見ながら大好きな珈琲を飲む。自分にとって1番の珈琲時間だ。
ゆっくり3杯目の珈琲を飲んでいる時に、いい思いつきをした。

僕が思いついたのは、夜、家の庭でパーコレーターとシングルバーナーで珈琲を淹れ、その珈琲を使ってアイリッシュ珈琲を作り、奥さんと一緒に飲むと
いうもの。

アイリッシュ珈琲とは、アイリッシュウイスキーをベースに珈琲と砂糖を入れ、耐熱グラスに注いだら
生クリームを浮かべて完成させるホット珈琲カクテルだ。

僕は草木の匂いのなかに残っていた珈琲の香りを
もう一度吸い込んでから車に乗った。
そして地元の洋酒専門店にアイリッシュウイスキーを買いに向かった。





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