エッセイ : 欧州で食べた朝ごはん 7 / ミラノで食べた甘い朝ごはん 原液のように濃くて苦いイタリアのエスプレッソ珈琲

イタリアの人は余り朝食を重視しないと聞いたことがある。朝、忙しいなか、簡単に手早くエネルギーをチャージ出来る甘いものを珈琲と一緒に食べるだけだと、出張前、上司だった課長も言っていた。

前日夜にミラノに到着し、ホテルの側のカフェで、
パニーニと呼ばれるハムとチーズとレタスを挟んだ温かいサンドイッチを食べた。
これ、美味しいです。

翌朝ホテルのレストランに朝ごはんを食べに行ったテーブルにつくとレストランの女の人が来て、珈琲にしますか? 紅茶にしますか? と言ったので、僕は珈琲をもらうことにした。
すると、その女の人は、中央のテーブルにあるパンの好きなものを好きなだけ食べてくださいと言った

珈琲が来るのを待って、お皿を持って中央の大きなテーブルに行くと、いろんな種類のパンがたくさん置いてあった。テーブルの隅にはビスケットのようなものまで置いてあった。みんな思い思いに好きなパンを持って行った、おかわりのパンを持ちに来ていた人もいた。

僕はテーブルにあるパンを1つ1つ見て行った。
僕はお酒も飲むが甘党なので、イタリアの甘い朝ごはんを楽しみにしていた。フランス生まれの菓子パンのようなブリオッシュを見つけて1つ取った。
そして、チョコーレートケーキのようなパンを1つ見つけたので取ろうと思ったら、隣にいたおじさんに取られてしまった。
その隣にあった、砂糖がまぶしてあるパンも美味しそうだったので、それも取ってテーブルに戻り、
ブラック珈琲と一緒に食べた。
珈琲の入った小さ目のポットも置いていってくれたので、珈琲を3杯飲みながらゆっくりと食べた。
美味しいと思った。

イタリア支社の担当者の人が車で迎えに来てくれて
そのままお客様の所に行った。お客様でのミーティングが終わりミラノに戻って来るとお昼の時間だった。ランチに食べたい物はあるか聞かれたので、
ピザかパスタが食べたいと言うと、今日のディナーは支社長がご馳走してくれることになっていて、
その時パスタを食べるから、と言ってピザをご馳走してくれた。

僕はマルゲリータをお願いした。イタリアのピザは
日本の物よりも少し薄く、そして、大きなお皿いっぱいに広がる大きなピザだった。
日本ではピザは手で食べるが、みんなナイフとフォークで食べていた。
日本のピザよりも香ばしくて美味しいと思った。

イタリア支社での午後のミーティングが終わり、
ディナーまでに時間があったので、担当者の人が
ミラノ大聖堂を見学させてくれた。そして、ミラノの歴史あるアーケード街を歩いてレストランに向かった。レストランに着くと丁度タクシーが停まり、
支社長が降りて来た。

支社長お勧めのシーフードがたくさん入ったスパゲッティーを食べた。美味しいパスタだと思ったが、
使われているオリーブオイルの量が半端ではなかった。食べていると支社長が
「鈴原君、君のパスタの食べ方は見事だ。イタリア人よりも上手にパスタを食べる。イタリアに来たのは本当に初めてかね?」
「はい、初めてです。パスタは日本でもポピュラーな料理です。子どもの頃から食べ慣れているからだと思います。」
「日本人は器用だと聞くが本当だね。それにしても見事だ、娘に見習わせたい。」
パスタを食べ終わると、お皿にたっぷりとオリーブオイルが残った。これをパンにつけて食べるのだが シーフードの味がついたオリーブオイルで美味しかった。そしてお腹がいっぱいになった。
すると、支社長が
「メイン料理は何にする? 私はステーキを食べる。」
と言った。
僕はその時まで、イタリア料理ではパスタは前菜であることを知らなかった。
僕が肉料理はお腹がいっぱいで無理です、と言うと支社長は野菜料理を勧めてくれた。
僕は茄子とキノコのガーリックソテーを食べた。

メイン料理を食べ終わると、お店の人がデザートのメニューを持って来てくれたが、支社長が
「ぜひジェラートを食べて欲しい。イタリアのジェラートは世界一旨い。」
と言ったので、ジェラートをお願いした。
お腹はいっぱいだったが、ジェラートなら食べられるだろうと思ったからだ。
だがこの考えは甘かった。
運ばれて来た器には、サーティワンのアイスクリームのひと回り小さいサイズの球形のアイスクリームが7種類のっていた。
これ1人で食べるの?  と思っていると、
支社長も担当者の人も普通に食べ始めた。
支社長がご馳走してくれている料理を残すわけにはいかない。甘いものは別腹という言葉を信じて食べ始めた。
ところがこのジェラート、甘みが控えめでメチャクチャ美味しかった。黒はチョコーレート、薄紫は
グレープ、黄色はカボチャ、オレンジはオレンジ、
白はミルク、緑はピスタチオ、ピンクはイチゴだった。
食べ終わると支社長がエスプレッソを飲もうと言った。

日本のエスプレッソ珈琲というと、普通の珈琲よりも濃い珈琲という感じだが、イタリアのエスプレッソ珈琲は違った。
直径3センチ位の小さな珈琲カップに、それも、
3分の1位しか入っていなかった。
僕が、そのまま飲もうとすると止められた。
担当者の人に、そのままでは苦すぎて飲めないから砂糖を入れるようにと言われた。
僕は少し舐めてみた。すると原液の珈琲という感じでとてつもなく苦かった。薬に近いようにも感じた。僕はスプーン1杯の砂糖を入れ、支社長達と同じように一口で飲んだ。
すると、胃の中がスッキリし、満腹感が軽減されて来た。
こんな濃い珈琲を飲んだら、胃に悪いんじゃないんですか?  と聞くと、支社長は
「胃には悪くない···が···心臓には悪い。」
と言った。

翌朝、僕は前の日の朝よりも早く、ホテルのレストランに朝ごはんを食べに行った。前の日の朝ごはんで食べられなかったチョコーレートケーキのようなパンが食べたかったからだ。
テーブルにつき、珈琲を頼み、お皿を持って中央の大きなテーブルに行くと、チョコーレートケーキのようなパンが3つ置いてあった。僕は1つをお皿に取り、もう1つは前の日に食べて美味しかったブリオッシュを取った。
そしてまた珈琲を3杯飲みながら、ゆっくりと食べた。
僕は荷物を持ってチェックアウトし、タクシーに乗り、次の目的地に向うためリナーテ空港に向かった










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