見出し画像

ボクが禁煙に失敗したオマヌケな訳

昭和生まれの古い男には、今や世間のタバコに対する冷たい風潮にいささかの違和感さえ覚える。
それぐらい、昭和の時代にはタバコが生活や環境の中で身近にあって、それは当たり前の光景だったからだ。
最近のテレビではそんな頃のVTRなんかを紹介したりして、Z世代の若いモデルさんなんかが、
「えー!信じらんない」
なんて言う展開がお決まりになりつつある。
ボク自身もタバコは吸うが、他の人に対して喫煙、非喫煙をどーのこーのとは言わない。本人の勝手で良いと思っている。
でも家では換気扇の下、吸わない人の前では吸わない、という個人的なマナーは守っている。しかし道路の電柱の陰なんかでコソコソ吸ったりするのは、何ともミジメな感じになる。
但しタバコに限らず、嗜好品は何でも、”し過ぎ” はダメである。
「吸い過ぎ」「飲み過ぎ」「食べ過ぎ」
これは大体一定の年齢になると、身体に影響が出てくる、というのはボクも承知している。

ボクは最近、禁煙に失敗したばかりである。
禁煙をしようと思ったのは、健康状態と年齢を気にしているというのもあるが、一番の理由は、タバコの値上がりだ。これはさすがにサイフに重い。
自分の住む品川区では定員はあるが、助成金制度があり、期間中に禁煙治療を受けた場合、申請すれば治療費が戻ってくる。
いい話ではないか、よーし、ならば禁煙治療でタバコはやめようじゃないか!
そー思い立って、母が治療を受けている脳神経外科が禁煙治療をしていたので、早速受診した。
まず、どの程度の依存症なのか息を吐いて器具で測定する。ボクの場合は喫煙年数のわりには軽度の判定だった。
次に「宣誓書」に名前を記入する。そこには「私は禁煙することを誓う」などという文言が書かれてある。本人の決意を強くするためだろう。
先生も好意的だが、
「いいじゃない、オレもタバコやめたんだよ。肺に穴が開いちゃったんだ(喫煙が原因かはわからなかったが)」
などと、恐ろしいことを言う。
本当は飲み薬が良かったが、品不足が続いていて、パッチ薬(貼り薬)を処方された。以前に飲み薬で失敗している前科があったので、むしろパッチの方が良いかなと思った。
薬局の人が「頑張って下さい」と憐みを浮かべた表情で言ってくれる。
ボクは何だか自分が重大な罪を犯しているような気持ちになった。
それでも意思が揺らぐかもしれないので、姉と姪、知人の女性にスマホで写した「宣誓書」をLINEで送りつけ、禁煙したことを知らせておいた。

それから一週間、ボクは一本もタバコを吸わなかった。飲み薬と違い、パッチ薬は貼っている間はニコチンを体内に入れることは厳禁だから、ニコチンガムも噛めない。欲求が出てきたら、パイポで吸いたい気持ちを紛らわせていた。

ところがである。
一週間ほどして、身体がおかしくなってきた。
食道あたりにつっかえ感があり、何を飲んでも食べても改善しない。それが不愉快でたまらないのだ。
そしてパッチ薬だが、主に腕に貼っていたところがかぶれて皮がむけ、出血までとはいかないにしろ、赤くただれたようになった。
そして何よりツラいのは、認知症の母のことや日常生活のストレスのはけ口がなくなったことだった。

「そーか、これはダメだな!今は禁煙する時ではない。やっぱり飲み薬だな、それなら少しずつ本数を減らしていけばいいし、いきなり一本も吸えないなんて、無理だよな!そのうちきっとやめられる時がくるよ!ウンウン」

ボクはパッチをはがし、コニビニに駆け込んでタバコを買った。そして一本吸ったら、胸のつかえ感はなくなった。
何だかわからないが、禁煙の副作用ってあるんだとはじめて知った。
禁煙をやめたことを姉と姪に伝えると、
「えー!!」
と、大きな声を出されて嘆かれた。義兄がヘビースモーカーだったため、姪は特にタバコがキライなのである。
脳外科の先生には母の受診時に「どう?」と訊かれたが「失敗デス」と打ち明け、パッチじゃどーのこーの、と言っておいた。
知人女性は未だに結末を知らない。
それから別な知人二人にそのことを話したら、二人ともかつて喫煙者で、一回目は失敗したが、二回目で成功。二人とも飲み薬だったそうだ。

だからねー!
飲み薬がないのがダメなんだよ!
え?前に飲み薬で失敗してるじゃないかって?それは若かったからですよ。
そんなに健康を害するって云うんなら、そもそも国がタバコの発売禁止すればいいんじゃないの!何で製造してるのよ。
道路喫煙禁止の条例までつくって、罰金まであるんだから、そこまでするんだったら造るのやめればいいじゃないか!
大体高すぎるよ、また値上げするって、喫煙者は国の税金に貢献してんだぞ!
ボ、ボクだって、ス、スキで吸ってんじゃないんだぞ!

心の中で、声をひっくり返しながら、この記事をアップした。
スイマセン、雑文です。
でも、潔い銀騎士カートさんの記事を読んで、書いてしまいました。

だからね、何が言いたいかって言うと、やめたいと思って吸っているのがイチバン良くないってことです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?