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子どもの心を診る(4)

今後を考える

とは言え、このままだと路頭に迷ったまま、また家庭だけで抱える状態になりそうだと思った。もちろん学校のカウンセラーの先生との面談は長男も毎回楽しみにしているし、担任の先生も変わって状況は良くなっている。さらに、塾だって既に通っていて、知的好奇心を満たせる場も確保できている。トータルでストレスが減っていることは間違いないだろう。

しかし、この状況が1年後にどうなっているかはわからない。今が良く見えるのは昨年度と比べたらの相対比較に過ぎない。それに、今も現在進行形で問題は発生している。

今の担任の先生やスクールカウンセラーと接点が持てるのも、小学校を卒業するまでだろう。そう思って、長期的に継続してサポートいただけるような所を探していること、親だと至近距離で見てしまって見えるものも見えなくなることがあること、そのため一歩下がって第三者の視点で気づきを与えてくれるような存在がいてくれることは助かることを伝えた。

今後の方針がどうなるかは現時点では未定だ。追加の検査を実施することもあって、別途心理士の方との予約も取ってある。その結果も踏まえて先生と話して決めることになると思う。

追加で訊いてみた

これは医療従事者の守備範囲ではないとは思いつつ、受験の話も先生からされたこともあって、その他考えられる環境整備についても質問してみた。他のお子さんは例えばどうやって対処していて、環境をどうやって整えているのか。ギフティッドのための留学プログラムや、なんでも良いのだがギフティッド児を対象にしたプログラムで良さそうなものがあれば教えてほしい。大学病院のカウンセリングに来ることで、そういった情報も時々入るのであれば、それはそれでありがたいと。先生からは、ギフティッドの親のための会について言及があった。

気負わずにと

こういった話をする中で、先生から「お子さんがギフティッドと分かると、何か特別なことをしなくてはと気負ってしまう親御さんがいらっしゃるのですが」といったお話があった。

我が家は今のところそれはない。実際、長男がギフティッドだと分かったからといって突然教育に力を入れたり、今までと違ってもっと才能を伸ばしてやらなければと焦ったこともなかった。何かを伸ばすことより、凸がちょん切られないようにすること、凹の穴がずっとスカスカのままで困らないようにするにはどうしたら良いかを常に考えている。

一応の結論

今のところ、夫とも話してこんな風に思っている。いわゆる標準的な教育は四角い箱の形をしていて、ある程度の凸凹なら入るようになっているが、長男のような分布上の外れ値にあたる凸凹は入りきらない。入れようとすると、凸はちょん切らないといけないし、凹は箱の中でずっとスカスカのままになる。

本来長男に必要なのは、箱ではなく、長男の凸凹にうまくはまってくれるような粘土だ。一方で、粘土のような環境が常にあるわけでもない。よって、今までとは違う作戦を立てて、長男には学校をある種のトレーニングの場と考えて過ごしてもらうよう話してみようと思っている。

頭痛の先生からのアドバイス

最後に、頭痛の先生からもアドバイスをもらった。問題は3つに分けて対処すると良いそうだ。
①自傷・他害
②親が子供にやってほしいと思う事
③その他
に分けて、①は即対処が必要、②は根気強く伝え続けていく(待つ)、③は周囲が目をつむる(直さない)、で対処するように言われた。

長男は①はない。②と③については、分け方は人それぞれであるものの、例えば忘れ物全般は先生に言わせたら③なのだそうだ。先生が出した例え話として、何度言っても水筒を持っていくのを忘れる場合、鞄の横ではなく、鞄の上に水筒を置くようにとのことだった。鞄を持って水筒が落ちれば本人も忘れないだろうと。それくらい周りが仕組みを作ってくださいとのことだった。

あとは、親は自分の子供だけを見て問題があると思いがちだが、長男のような子供は先生方は毎日沢山見ていて、忘れ物についても長男が特別どうこうということではないのだとおっしゃっていた。40歳くらいになったら直りますからと言われてずっこけそうになったが、少し悟った気もした。

ということで、親は少し粘土になりつつ、長男にも新しい作戦を実行してもらおうと思っている。