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お互いを思いやる兄と弟(1)

レゴが欲しいと言えない兄

次男は現在、低学年で兄と同じ小学校に通っている。一時期レーシングカーが作れるレゴを組み立ててよく遊んでいたのだが、何台か作った所で、長男が「僕も作りたいから買ってほしい」と言ったことがあった。

レゴはもともと長女がヨドバシカメラでサンプルをもらったのがきっかけで、一人で作り方の絵を見ながら楽しめたので、ならばと夫が他のパターンも探して買ってくれていた。

次男もレーシングカーのレゴなら楽しめそうだと思って買ってやっていたが、長男はさすがに塾も忙しいしそれどころではないだろうと思って買っていなかった。

夫がどこかのサイトから探して購入していたので、長男に「お父さんにお願いしてみな」と伝えたところ、長男は自分も買ってもらいたいと言うのが恥ずかしかったのか、言えずじまいとなってしまった。

ここが長男らしいというか、普通に「俺にも買ってー」と言える時の方が多いのに、時々気持ちが整わないと変に素直ではなくなってしまう。

もじもじして手こずりそうだったので、なんだ、一緒に行ってやるからと、夫の所まで一緒に行くところまでは手伝った。しかし、「買ってほしい」の一言が出ない。

察して「どの車が欲しいの?」とまで言ってもらったのに、長男ときたら「ん?あー名前なんだったっけなぁ?」と言って、さほどほしくもないし、といった素振りを見せる。

直前にサイトで名前を確認していたのだから、何なら見てから戻っておいでよと促したのだが、やっぱりいらないしと素直ではない。

もうこうなると難しい。逆に言わない事で、「めんどくせーなー」と言われかねない状態だ。それでも長男はこういう時、切り替えが難しいことがある。第一子にありがちと言えば、ありがちだろうか。

弟、兄のために頑張る

次男は、長男が知的ギフテッドならば、EQギフテッドと言いたくなるくらい、人の気持ちを和ませるのが上手い。この手腕を今回も存分に発揮してくれた。

ほしい車の名前が言えずじまいとなった兄のために、次男が紙の切れっ端に「〇〇がほしいです。ドラより」(※ドラ=長男)と書いて、父親がよく使う部屋のドアの隙間に挟んでくれたのだ。

その紙を見た時、私も夫も長男が口では言えなかったために、自分で書いて伝えてきたのかと思った。でも、筆跡が違っていたので、これは、と気づいた。

次男は敢えて長男にも言わないし、親にも何も言わない。その後の展開をニコニコしながら見守っている。

私も夫も次男のアイデアに笑顔がこぼれてしまう。これで万事うまくいき、長男は無事に欲しかったレゴが買ってもらえた。もちろん次男も。そして長男は弟に「ありがとう」と言ったようだ。

私が長男を引き寄せて頭を撫でながら、「もう少し素直に言ったっていいんじゃない?そこまで頑なになるようなことでもないでしょう?」と言うと、本人も分かってはいるけど、という感じだった。

親は長男が何が欲しいか分かっていても、「言わないなら買えないよ」と、ちゃんと言うように促してしまったが、今思うと最初から長男にもほしいか訊いてやっておけば良かったのに、可哀想なことをしてしまったのかもしれない。

気づいてもらいやすい能力

次男のこういった思いやりの行動は、人に気づいてもらいやすい。また、プラスに見られることが多いのかもしれないと思う。

面談で担任の先生から、次男は何かと気づいては、「先生手伝おうか」と声をかけたり、周りをよく見て考えて動くことが良くできる子だ、と言われたことがある。先生が「そういった能力がクラス内での相対的なものではありますが、高いと感じます」という言い方をされたのが印象的だった。

(2)につづく