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ひかりはどこにあるのか
人間の顔と顔
そのあいだに

少年の頃 マックスウェルが開発したと言う
鉱石ラジオを組み立て 電気の必要のないラジオが出す音は 宇宙からの交信そのものであった

黒板で化学の先生から 鉱石ラジオがどうして音が出るのか説明していただくのを 不思議な気持ちで見ていた あの頃

ひかりはまだ短く 人間と人間
宇宙の端に たとえ失うものばかりでも
色彩は貧しくても 
存在していた

ひかりはどこにあるのか
なぜ痛みは感じられず
たった一枚の白い布が
ずっと子どもたちを覆い続けるのか

ひかりはどこにいってしまったのか
どこに隠されてしまったのか
なにも聞こえない世界は
まだどこまで続くのか

夜明けの街 
鼓動のように
今日が始まりを告げる

ひかりはどこにあるのか
人間の顔と顔
言葉と言葉
そのあいだで

ひかりは
どこにあるのか
闇から聞こえる音だけが
始まるのか
全ての声が消え行く前に
ひかりはあらわれるのか

ひかりは いま どこだ?

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