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ハタヨガはバランス(1) 筋肉は"伸びる"と"縮む"どちらも大切だという話

ヨガを実践しはじめて13年、指導しはじめて今年で丸10年を迎えようとしている。

ヨガとは何なのか?を何度も考えてきたが、今の私にまだ明確な答えはない。あるワークショップに参加したときに先生が「あなたにとって、ヨガとは?」という問いを参加者全員に投げかけたのだが、そのときの回答は十人十色で同じ答えがなかった。そのくらいヨガというものは深遠で、一言で表せるようなものではないのだと思う。

そんなヨガに敬意を表しつつ、ヨガの中の「ハタヨガ」に限定し、あえて一言で表すとしたら「ハタヨガはバランスを整えること」というのが、今いちばんしっくりくる私なりの解釈だ。

ハタヨガとは

完璧なバランス

ハタヨガとは端的に言うと、心身を活性化させて真理に至る道だ。ヨガといえばアーサナ(ポーズ)やプラーナーヤーマ(調気法)を思い浮かべる人も多いと思うが、この身体を使ったヨガ全般をハタヨガという。ハタは力(ちから)という意味で、直訳は「力のヨガ」、つまり心身を活性化させるヨガだ。身体を色んな風に操作し、それぞれのアーサナの中で調和、バランスを見つける。するとアーサナは安定し、柔軟性と強さが共存し、吸う息と吐く息が一定のリズムで繰り返され、美しい。

また、ハは太陽、タは月を表しているという解釈もある。ハタヨガは、太陽と月のような対極になる2つのものの間でバランスを取るもの、という意味だ。

ちなみに瞑想で心身を静かにさせて真理に至る道を、ラージャヨガという。ハタヨガは心身を活性化するのに対し、ラージャヨガは心身を静かにさせていくというのは真逆のように感じるが、両者とも目指すところは同じ。ヨガには他にも色々な道があって、自分に合った方法を選べるのがいい。他の道は、また別の機会にお話しすることにしようと思う。

筋肉において、対極になる2つのもの

真面目さと可笑しさ、近寄り難さと親しみやすさなども対極になる2つのもの

ハタヨガがバランスを取るものである、というのがご理解いただけたところで、この記事のタイトルになっている筋肉の話に進もう。

筋肉において、太陽と月のような対極になる2つのものは、伸びる力縮む力だ。伸びる力は主にストレッチで、縮む力は主に筋トレで養われると想像すると分かりやすいと思う。

アーサナの練習では、身体の硬さが邪魔をしてうまくできないと感じることがよくある。たしかに身体の硬さ(伸びる力の弱さ)でうまくいかないことも原因のひとつだが、筋力のなさ(縮む力の弱さ)が原因のこともよくある。筋肉は本来、伸びる力と縮む力、両方が発揮できて健康な状態なのだが、なぜかヨガでは伸びる力ばかりが強調されて伝わってしまう。

伸びる力に秀でた筋肉では、身体がふにゃふにゃで安定させるのが難しい。
縮む力に秀でた筋肉では、身体がカチコチで自由さがなく、動きの幅が狭まる。
だからアーサナの中では、伸びると縮むの両方を調和させながら練習することがとても大切だ。

レッスンの後に生徒さんから、「今日は筋トレみたいにきつかったです…」と言われることがあるが、これは筋肉の縮む力にフォーカスしたレッスンの結果だ。ヨガって「のび~!ストレッチ~!」という印象を持っている人にとっては、けっこう衝撃的な内容に感じるかもしれない。

でも、思い出してほしい。
ハタヨガとは、力のヨガなのだ。

もちろん、筋肉の伸びる力にフォーカスしたレッスンをするときもたくさんある。そういうときは「のび~!ストレッチ~!」という、多くの人が抱いているヨガのイメージに近い内容に感じると思う。

身体が硬いとは

身体が硬いって、筋肉がどういう状態?

「身体が硬いんです」と、ほぼ100%の生徒さんがおっしゃる。
硬いというのは、筋肉が伸びる力を失った状態だと思っている人が多いかもしれないが、実は筋肉が縮む力を失った状態も含まれる。最初にお伝えしたが、筋肉は伸びる力と縮む力の両方が発揮できる瑞々しい状態が、健康なのだ。

伸びるのが苦手な部分、縮むのが苦手な部分は、姿勢や骨格、生活習慣などによって人それぞれ違う。身体が硬いと言っても、全身の筋肉が伸びる力を失っているわけではない(それでは体を動かすことができなくなる)。

しかし自分でそれを見分けることは本当に難しい。ヨガを始めたばかりのときは特に、自分で自分の身体がうまくコントロールできなくて、自分と格闘する。もちろん私もはじめの頃はそうだった(し、今もそうだ)。筋肉の一つひとつがどうなっているかなんて全くわからなくて、身体を扱うことで手一杯。何なら呼吸をすることさえままならない。

だからこそ、先生と一緒に練習する

信頼できる先生、教室を探そう

だからこそ、ヨガは習いに行くことをおすすめしたい。自分で自分のことを理解するのは一番難しいから、客観的に見てアドバイスをもらうことで、右も左もわからなかったところから、少しずつ筋道が見えてくる。あぁ、こっちに向かえばいいのか、とわかってくる。

最初に紹介したように「あなたにとって、ヨガとは?」の回答が十人十色だったように、色んなポリシーの先生がいる。ホームページやSNSで、スタジオや先生の大切にしていることや考えに触れてみるのは、先生を探す上でとても重要なことのように思う。

あなたに合ったヨガの練習の場が見つかり、イキイキと自己探求を続けられますように🙏

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