見出し画像

子どもの心と可能性を大人が勝手に決め付けるな

子ども達が日頃、親や大人達をどのように見て、何を経験しているか、考えたことがあるでしょうか。

よく相談事の中で、「子どもに言ってもよく分かっていない」「人の話を聞いていない」「物事を理解してない」と仰る方が多いです。
ですが、それは間違いです。
子どもは大人が思っているより、とても広い視野で物事を捉えています。
聞いていないようで大人の話をよく聞いていることが多いです。
親の感情的な言葉と態度を鮮明に覚えている子も多いです。

大人の方が子どものことをよく分かっていません。
子ども達の心や、考えていることを理解しきれていないのです。

大人が思っている以上に、子どもは大人の感情も態度も敏感に察しています。そして、鋭い直感力を持っています。
子どもには分からないだろうと思って言った言葉でも、実はよく分かっていることもあります。
ただ子どもが言葉にしないだけで、大人に向かって言いたいことが本当は山ほどあるのです。
それは良いことも悪いことも両方です。
大人よりも感覚が敏感で、繊細で、好奇心も強いからこそ、実は大人のことをよく観察・分析しているのです。

例えば、大人がネガティブな言葉掛けをすると、それをずっと忘れず覚えていて、長い間心が傷付いたままになります。
ポジティブな言葉掛けをすると、それに応えようと頑張りますし、頑張った成果がさらに次の成果を生み出します。

親が乱暴な言動を普段からしていると、子どもはその態度が普通なんだ、常識なんだと理解して、同じ言動をとるようになります。
親が真心ある振舞いや、日頃から感謝の言葉が多いと、子どももそれに倣って自然と良き振舞いをしたり、感謝の言葉が出てきたりします。

親は子の手本と言いますが、手本というより”鏡”です。
そこに気付いていない親や大人達が非常に多い。
「子どもが○○で困る」「~できていない」と大人はよく言いますが、それを言っている自分にも、できていないことがあれこれとあるのです。
人のことを言えない部分がいろいろとあるはずです。
子どもが見せる困った部分・できていないことは、あなた自身のことでもあるのです。鏡のように映し出しているのです。
子どもを叱った時、その子どもから(自分だってできてないくせに・・・)と思われていることが実は多いのですよ。

子どもだっていろんな感情が動いている

たまに相談される内容で、私自身も小さい頃に経験ある話なのですが、
誰もが感動して泣くような映画やドラマを観ている時、親は感情移入して泣いてしまっている中、子どもは冷静に、泣くことなく観ていた、という話です。
その子どもの様子に対して、「この子は悲しいと感じたり、主人公の気持ちになって考えたりできない子なんでしょうか?」「心が無いんでしょうか?」と聞かれることがあります。
こういった言われ方は私も不愉快になるんですね。
そう思われている子どもはもっと不愉快な思いをしていることだろうとお察します。
その子どもに対して「そんなこと言われてつらいよね」と言いたくなります。
その時、(今、自分は子どもが感じている気持ちを受け取って腹が立ったんだな)と思わされます。

私自身も小さい頃から感動もの映画やドラマを観ても泣かない子でした。
悲しくないわけではありません。感情移入していないわけでもありません。
ただ泣かないだけです。
涙が出る出ないは関係なく、気持ちはジーン…と動いています。
自分がもしこの主人公の立場だったらとか、同じことが起きた時どうするかとか、いろいろ考えています。
目元はじんわり熱く、涙が出る手前になっていることだって普通にあります。
ただ、グッと堪えているだけです。涙がスッと出ない体質の子だっています。
泣かなくとも、涙を見せずとも、様々な感情が動いています。
なのに、「こういうのを観ても泣かないあんたは心がないのね」と言われるとカチンとくるものがあります。
私も小1の頃に親にそう言われて、頭にきた思い出があります。
(何も考えていない奴だと思いやがって)とその当時思いました。

泣いたら泣いたで、「そんなに泣く!?」「こんなんで泣いてたら、もし同じことがあった時どうするのよ」とか言われるのです。
それが分かっているから泣かないのです。
泣けないようにしたのは親なり、大人です。
どこかのタイミングでそういったことを言ってしまったのがきっかけで、素直に泣くことができない、感情が動いてもグッと堪える子にしたのです。
本当に関心が無く、感情移入できないなら、そもそもその番組を最初から最後まで観てもいないでしょう。

泣かないこちら側の人間からすると、それこそ(そんなに泣いていてどうするんだ)(そんなに気持ちを堪えられなくてどうするんだ・・・)と言いたくなります。
泣くこともはもちろん大事ですが、
感動して泣く=人として優しい、人として正しい、人間味がある
ということではありません。
そういう人で感情コントロールがとてつもなく下手な人も多いです。
感情的に怒るとか、ピンチの時にテンパり過ぎるとか、そういうことが多いのです。
理屈で物事を考えられず、その時の感情のままに喋っていることも。
その点を思うと、何でも感情が表にスッと出れば良いというわけではないことが分かりますよね。

そのために子どもの心や感じていること、考え、可能性を大人の尺度で早々に測らず、本人の思いを尋ねながら、真心で接していくことが大事です。

間違っても「心が無い」なんて失礼なことは言わないようにしていただきたい。
「心が無い」と言っている人の方がむしろ心無い人です。
相手の気持ちや考えを想像することができず、失礼な決め付けをして言葉にしてしまっているのですから。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?