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【両利きの組織をつくる11:最終章(前半) 脱皮できない蛇は死ぬ -日本企業のための組織進化論-】

本マガジンの前回までの記事は上記に入れています。

本マガジンでは、近年注目の“両利きの経営”についてAGCを題材に事例研究した書籍、“両利きの組織をつくる”について解説していきます。今回は、前回マガジンでビジョナリーカンパニーを学習した健が同期の倫也に工場で会います。(両者とも課長)倫也がこの本について解説し、その中で2人が議論していきます。今回は最終章第六章「脱皮できない蛇は死ぬ」を解説します。

・・・

👱🏼‍;おはよう。

👨‍🦱:おはよう。今日はいよいよ6章だ。組織経営論の総括が記載されている。

👱🏼‍:わかった。

◆進化する組織では、組織アイデンティティの形成がカギとなる

👨‍🦱:組織経営論の基本的な枠組みは存在目的、戦略、組織のトライアングルであることは覚えているよな。

👱🏼‍:ああ、覚えているよ。戦略を実行できる組織を作る、その組織から新たな戦略が出てくるという好循環が理想の姿だ。

👨‍🦱;そうだな。そしてこの循環の中で、組織能力が形成されるということも学んだよな。そして、その組織能力というのは端的に言えば、「人のつながりである」と。

👱🏼‍;ああ、新たな組織能力が生まれるところには必ず新しい人のつながりがある。

👨‍🦱;その中でお互いこれまでルーティング業務について対話し、問い直すことで、自分たちの仕事について再認識・再発見するんだ。そして新しいつながりの中でお互い、過去彼らと言っていた関係が私たちとなっていく。

👱🏼‍;そこで、アイデンティティがでてくるんだな。つまり、組織能力を形成する(人のつながりを形成していく)ことは結果として、自分たちの組織のアイデンティティを問い直すプロセスでもあるということなんだと解釈している。

👨‍🦱;そう、この本では、そのアイデンティティが形成されて共有されていけば、両利きの経営において、既存組織と新規事業が併存することができるようになるとしている。ここで著者の言葉を載せておく、すごく端的に述べていると思う。

組織アイデンティティは、「私たちはどこから来て、どこへ行こうとしているのか?」という根本的な問いへの答えでもある。組織ストーリー (物語)の中核概念となるものだ。それには二つの側面がある。一つは「自分たちはどうありたいのか」という側面であり、もう一つは「顧客(世の中)からどう見られたいのか」という側面だ(図6・2)。この両面が交わるところに、「組織アイデンティティ」が存在する。組織進化の過程においては、新しい組織能力が形成され、その背後には必ず組織アイデンティティの更新がある。

👱🏼‍:確かにAGCも「自分たりは単なるガラスの加工メーカーでなく、ユニークな素材開発メーカーである」とアイデンティティを更新していたな。

◆進化における垂直方向の課題と水平方向の課題

👨‍🦱;しかし、実際の組織開発はなかなか複雑である。まず最初に組織課題に対する「見立て」(仮説)が必要になる。これなしで進めてしまうと絵にかいたモチになってしまう。

👱🏼‍:そりゃそうだ。本当に困っていれば仮説ぐらい立てなければいけない。

👨‍🦱:そして、実際に実践しながらその見立てを常に更新しながら先が見えない中を進むしかない。そして、最後はトップの価値判断で経営資源の再配分を行っていく。

👱🏼‍;そうだったな。それは人事も入れてだった。

👨‍🦱;ここで、著者は、組織進化は大きく2つの系統があると言っているんだ。それは、「垂直方向の課題」と「水平方向の課題」だという。

👱🏼‍:ん。。。その話はこれまで出て来てないよな?

👨‍🦱;そうだな。垂直方向の課題というのは、次の進化に向けた課題であり、アライメントを形成する上での課題である。

👱🏼‍;つまり、組織の伸びしろについての課題と言っていいんだな。

👨‍🦱;そして、水平方向の課題とは現段階における課題であり、既存の組織アライメントの調整・調節上の課題である。

👱🏼‍;既存と新規のそれぞれに分けているのか。

👨‍🦱;ああ、そこで、著者はこの二軸を抑えることで、組織課題について、見立てを持つことが容易となるという。そして、例えば次の問いを立てるとよいと言っている」。

・いま自社が直面している組織課題は、どちらの要因が主となって引き起こされている課題なのか?
・両方の要因が重なって起きている課題は何か?
・組織変革の重心はどこに置くべきなのか?


👱🏼‍:なるほど、AGCの場合は、「水平方向の課題」とは、「組織活性化によって、既存事業をどう深掘りするか」という課題であり、一方、「垂直方向の課題」とは、「既存事業の組織能力を活用して、戦略事業を探索できる組織をどう作るか」という課題であったな。

👨‍🦱;ただ、見立てがあってもやみくもに組織変革をすればいいというわけではなく、創業〇〇周年、CEO交代、中期経営計画策定など仕掛けるべきタイミングを見る必要がある。そしてもちろん、どの部門のどの層を刺激するかなども重要だ。

👱🏼‍;いろいろ難しいこと言っているが、要するに「見立て(仮説)、タイミング、狙い」がそろって初めて組織開発が始まるということなんだな。

◆組織カルチャーをめぐる誤解

👨‍🦱:それと、組織進化には組織カルチャーの変化も重要になってくる。ただし多くの場合、「組織文化」であったり、「組織風土」と理解されている。

👱🏼‍;この部分は、DNAという言葉も使ってよく共有される。そして、変えられないものに見えてしまう。

👨‍🦱;だが過去のオライリー教授の研究では、変えることもできるし、変えることで競争力の源泉になることもわかっている。

👱🏼‍;なるほど、まあ、いきなりは変えられないがな。

👨‍🦱;その通り、そして著者は、もし変えたいのであれば、下記の問いに向き合う必要があると言っている。

・我々々はどういう企業でありたいのか?
(経営者のリーダーシップ : 意志表示と価値判断)
・それを実現するための策とは何か?(企業戦略)
・戦略を実行するために、どのような実行課題があるのか?(KSF)
・そのためには、どんな経験や能力、行動スタイルをもった人材がフィットしているのか?(人材)
・その人材の貢献をどのように評価する仕組みが必要なのか?(公式の組織)
・その人たちはどういう仕事のやり方をすれば能力を発揮しやすいのか?(組織カルチャー)

👱🏼‍:わかってきたよ。経営者は当然自分の責任で決めなければならないし、組織カルチャーだけを変えようとするのではなく、他の基本要素とセットでアライメント形成の一部として、活動を後押ししていく必要があるってことだな。

👨‍🦱;その通りだ、今日はちょっと短いが、ここまでにしよう。次回を6章の後半の解説をしていこう。

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今回はちょっと短いですが、第六章(前半)の解説しました。次回6章後半を解説し、その後まとめ投稿して本マガジン終了になります。(本マガジンが終わったら、モノづくり現場で現場でアドラー編に入ります。)

なお、過去のマガジンは下記です。ぜひ覗いてみてください。

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