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読書で「自分」を見える化する

 最近読み終わった1冊がこちら。

 原田 ひ香さんといえば『三千円の使いかた』や『ランチ酒』が有名ですね。ミーハーなところから攻めて、こちらの本にたどり着いたのですが、なかなか奥深いものがありました。

 最近になり、読書は「自分」を見える化する効用があるとひしひしと感じています。『定食屋 雑』の感想をもとにその理由を探りながら、ひも解いていきます。

 私は離婚をしたことがない。

 だから、みさえが「カワイ子ちゃん」と呼ぶ主人公・沙也加の気持ちを理解することはできないと思いながら読み進めていた。

 相手の気持ちを慮ったり、推し量ったりすることで、人と人とは上手にかかわりあっていくが、それは本の中の登場人物でも同じことがいえるのではないだろうか。

 彼女の気持ちが理解できたのは、定食屋「雑」での夫とのやり取りであった。彼女は、訪れた夫に離婚届を手渡す。

 「ん?今のお客さんは?」

 「間違えましたって」

 「え」

 「いろいろ間違えちゃったんだって」

 短いけれど深い想いが伝わった場面。

読書メーター感想より

 この本を読み始めた時、私はこんなことを感じていた。

 ただの優しさじゃないんですよね。

 
味のしみたはんぺんみたいな、いや煮卵のようなつるりとした優しさでもなく。

 何とも形容しがたいから手を止められず読むんだと思う。

読書メーターつぶやきより

 

 4つ折りにしたその薄い紙を渡したときの気持ちは、幾何であっただろうか。いろいろなことを想像した。

「いろいろ間違えちゃったんだって」という言葉で締めくくられた2人の結婚生活。でもこの一言は、作者の優しさであり、主人公の優しさでもあるのだと思う。

 こうして1冊の本を通して、自分を見える化すると、読み始めでもやもやしていた、理解できていなかったことが見えてくる。

 つまり、心のどこかで感じていた「何か」を言語化して、自分の中に吸収することができる。

 読書を通して見えてくる「私」をまとめると、

 言語化していく中で、心理や感情を深く理解できる


 そんな人なのである。そしてそんな自分が読書を通して、成長していく過程を楽しみたいとも思っている。

 最後までお読みいただきありがとうございました。




 


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