小澤征爾さん、私は無事二足歩行動物に戻れました。
小澤征爾さんのファンになったのは、1993年ベルリン郊外ワルトビューネで行われたベルリン・フィルのピクニックコンサートのテレビ放送だった。バレエファンだった私はチャイコフスキーのバレエ曲ならだいたい聞き慣れていたのだけど、小澤征爾さんが指揮するくるみ割り人形の『花のワルツ』を聞いたとき、私の目前に広大な花畑が広がり、そこで花々がたくさん空に舞い上がっているような幻想を覚えた。ああ、これはバレエダンサーとか特定の人たちにある音楽ではなくて、一般の聴衆でも花のように舞い上がって、