吉田紘規

ヨシダヒロキ。山梨県大月市にある煎餅屋の二代目。創業は1965年。亡き祖父からお店を継…

吉田紘規

ヨシダヒロキ。山梨県大月市にある煎餅屋の二代目。創業は1965年。亡き祖父からお店を継いで3年目。仕事や趣味ことなど色々書いていきます。

最近の記事

【為せば成る】消えていこうとしている産業かもしれないが、まだ伸び代しかない

 山梨県大月市には「厚焼木の実煎餅」という手焼きの煎餅があります。  山椒のエキスを配合した小麦粉ベースの生地を、十二丁一組のまるい金型に匙で盛り付けて焼いていきます。これを三度繰り返して層を作り出す「三層重ね焼き」という技法で持って焼成される煎餅は、とても硬くなります。  この厚焼木の実煎餅。盛り付ける量、挟む力、火にかける時間はその日の気温や湿度、生地の仕込みの状態によって変わるため、機械で焼くことが難しい上に、三層に重ねるために一枚が焼き上がるまでに時間がかかるなど、

    • 「リーズナブルで美味しい」という感想から僕が考えたこと【適正価格と「タダも同然」というマインド】

      「リーズナブルで美味しい」  テレビ番組で取材を受ける人々からよく聞く発言です。 「リーズナブル【reasonable】」の意味はもともと「理にかなっていて納得できるさま。妥当なさま。」であって、けっして「安い。安価。」という意味ではありません。 もちろん、日本語は生き物ですので、言葉の用法が時代とともに少しずつ変化していく例は枚挙にいとまがありません。「リーズナブル」もまた誤用が正用に変化している過程を目撃しているに過ぎないかもしれません。  というか、すでに「リーズ

      • 「ほうとう」と「吉田のうどん」は同じ山梨名物でも戦い方が違う【名物について考える。そして自社商品は?】

         山梨には名物がたくさんあります。  定番はやはり信玄餅でしょうか。観光客が訪れる場所にある売店には必ずありますし、県外でも見かけることが多いです。ただ、県民が食べる機会はなかなかなかったりもするのですが、甲府市出身の僕なんかは小学校の社会科遠足で工場見学の際にお土産としてもらったものです。実家ではおやつに買う、ということはなかったです。  お菓子で言えば、『ゆる△キャン』でも取り上げられていた、みのぶ饅頭はスーパーマーケットの和菓子コーナーに団子や大福と並んでいて、おやつに

        • 事業継承を決断するまでに巡らせた思考

           事業継承の強みは、すでにある程度の顧客が存在していることです。  その継承した事業が縮小しているにしても拡大しているにしても、これまでの売り上げを形成してきた顧客がいます。  その顧客、もとい、ファンの心を掴んでいたものを考えていくと、おのずと自分のお店の強みが見えてくると思います。  僕が栄月製菓を本格的に事業継承したのは、栄月製菓で働き初めて2年目の11月でした。   僕はこれまでに「大切にしたいこと」を見つけ、軸にして、行動に移してきました。  今回は僕の例をまと

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          【自己紹介】1996年生まれはZ世代に含まれるらしい

           1996年。  Mr.Childrenが「名もなき詩」をリリースし、『ポケットモンスター赤・緑』発売された年。    初めて触れたゲーム機がゲームボーイカラー。紫色のスケルトン。  初めての触れた携帯電話は母のボーダフォンのガラケー。  MDプレイヤーで音楽を聴き、PSPで『モンスターハンターポータブル2G』が流行った。  中学のお昼の放送ではAKB48かEXILEか、ボーカロイドのどれかが、毎日変わるがわる、かかっていた。  YouTubeではなく、ニコニコ動画を見て

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          【はじめまして】おじいの煎餅屋を継いだ27歳の“note”

           はじめまして。  栄月製菓の代表、吉田紘規です。  2024年1月31日。  陽の光が暖かく、ベランダに並んだ洗濯物がよく乾きそうな今日、“note”をはじめます。  まずはお店のことを少しだけ。  栄月製菓は、祖父・清水利治が昭和40年(1965)山梨県大月市に創業しました。  一番の人気商品は、ここ大月の名物となっている「厚焼木の実煎餅」。  創業当時から変わらず、仕込みから焼き上げるまでのすべてを職人の手で行なっている、昔ながらの手焼き煎餅です。  小麦粉が主原

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