見出し画像

#71_「魔法の解き方」まで伝える

魔法使いを育てる学校は「魔法のかけ方」とともに「魔法の解き方」を教える。「魔法のかけ方」だけを学んで卒業すると、魔法をかけ続けたままになてしまいます。「魔法のかけ方」は「魔法の解き方」とセットで学ばれるべきなのです。

そういえば、ドイツの詩人ゲーテ(1749-1832)も取り上げたという、ドイツに昔から伝わる「魔術師の弟子」という寓話がある。魔術師の弟子になったフンボルト少年はあるとき、先生の留守中に覚えたての魔法を使って箒に水汲みをさせようとする。言いつけられたとおり、自分で掃除するのが面倒だったのだ。働きはじめた箒はせっせと井戸から水を汲み上げる。そこで、はたとフンボルトは気づく。かけた魔法をどうやって解くのかをまだ習っていなかうたのだ。箒が汲み上げつづける水で家は洪水になってしまう。

辻信一(2023)『ナマケモノ教授のムダのてつがく-「役に立つ」を超える生き方とは』さくら舎、p.140

子どもたちが学校で様々なことを学びます。子どもたちの学びがとてもうまくいっているとき、それは見方を変えれば「魔法にかかっている状態」として見なすことができるかもしれません。

その学校に通うと、なぜか、がんばれてしまう。

その先生に会うと、なぜか、学べてしまう。

その授業になると、なぜか、頭がフル回転してしまう。

それは「魔法にかかっている状態」として見なすことができるかもしれません。魔法にかかると、学びのスピードは飛躍的に上がっていきます。そして、このとき、しばしば忘れがちになってしまうのが、「魔法の解き方を学ぶこと」です。

子どもたちは、ずっと学校にいるわけではありません。そのうち「卒業」して、新たな学校に「入学」したり、新たな会社に「入社」したりします。学校でかかっていた魔法をうまく解いて、次のステージに進むことができるといいのです。

「魔法を解く」とは、いったい、いかなることなのか。

「魔法を解く」ことは、いったい、いかにして可能なのか。

これらの問いは、子どもたちのキャリアづくりを考えていくうえで、とても大事な問いになるだろうなあと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?