見出し画像

美容院に行くと言われる言葉おそらく第一位

「えー、音楽やってるんですか!すごいですね!」

ミュージシャンが初めての美容院に行くと言われる言葉おそらく第一位であろうこのセリフにどういう反応をしたらいいのかわからない。

今はずっと同じ人に切ってもらっているのでそんな悩みにさいなまれる事はなくなったが、僕としてはただギターを弾いて歌ったりパソコンでシンセサイザーの音をウンウンうなりながら探したりしているだけなので、お決まりのように「いや〜、全然すごくないですよ、売れてないですし〜」と返すのであった。

美容師さんからすれば何とか話の糸口をつかむためのきっかけなのは分かる。僕も初対面のミュージシャンに「どんな音楽聴くんですか?」と耳にタコができるほど聞き飽きているであろう質問をしてしまう。

頭では理解しつつ「『音楽』『やってる』んですか!『すごい』ですね!」という抽象的なことをさらに抽象的に褒めるという田植えの時期に田んぼに足を突っ込んだ時のようなぬるっとしたつかみ所のなさが辛い。

これが「音楽やってるんですか!有名なので例えるとどんなアーティストですか?」「シンガーソングライター なんですね!じゃあやっぱり星野源とか秦基博とかが好きなんですか?」と具体的なところにしぼってオセロみたいにひっくり返してくれれば話は広がっていく。

その一手を見つけるのに苦労する気持ちは痛いほど理解できるけれど、「会話しなきゃいけないから合わせていこう」という空気が出ると一気に居心地が悪くなってしまう。それなら無言の方が随分と気が楽だ。

音楽が全然分からなかったら「何でやり始めたんですか?」という攻め方でもいい。「そこは美容師も同じです!」という部分が見つかって盛り上がれるかもしれない。

と偉そうなことを言いながら美容師さんが仕事をしているのを見ると「すごいなあ」しか感想が出てこない。

人は知らないことは喋れない。質問自体が浮かんでこない。だから音楽をやってなければ「すごいですね!」しか出てこないのは当然である。

その上で違ったアプローチを模索してくれる人が個人的に好きだし、僕も気をつけていきたい。


自分が何気なくやっていることが誰かにとってすごいことだったりする。

僕は簡単なコードなら曲を聴くだけで判別できるのだけど、楽屋で結構驚かれたことがあって「え、これできないの?」と逆にびっくりしたことがある。ミュージシャンならみんな普通にできると思っていたのだ。

こうやって毎日少しでも文章を書くことも半分趣味みたいなものなんだけど、ブログが続かないと言っている人は少なくない。よく毎日言いたいことありますねと言われたりもする。

人を馬鹿にする方に考えれば「こんなこともできないの?(笑)」だけど、「自分はこれで人の役に立てるかもしれない」と役割を見つけるきっかけに変えることもできる。

得意なことを伸ばしたり、苦手なことを克服しながらできることを増やしていく。やりたくない事は減らす。美容師さんだって話が苦手な人もいる。そこも鍛えたいならやればいいし、嫌なら喋らないでいい美容師になればいい。

やってみると最初の方に「多くの人が折れるゾーン」がある。だけどそこさえ超えてしまえば嵐の後の青空のように一気に楽しくなる。そして乗り切った人が「すごい」と言われるのだ。

それぞれ得意な事苦手なことがある、努力をしていてもほとんどの人は結果でしか見てくれない。僕も理解しようとは思いつつ「もっといい質問してくれ〜」と感じている。

それでもやりたいことをできるようになるために、痛みを背負ったり、うまく避けたりしながら何とかたどり着くのだ。

僕は今、編曲の引き出しとスピードを鍛えてどんどん作品を公開できるようになりたい。


[この記事の元になったツイート☺︎]

面白かったらサポートお願いします:-)

よかったら投げ銭感覚でサポートお願いします:-)