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六本木WAVE 昭和バブル期⑮

 猫を預かった話  恐怖と快楽と…

その顔は…生体反応の無い造形物…彫刻…???
(なんなんだ!)
恐怖で慄く私

 脳内のシナプスが一瞬繋がらない
そんな感覚の一種の不快な時間差
見ているものと、それを認識することに微妙なずれが生じていたのか
レイの着けていたものが 
マスク(面)と認識できるまでタイムラグがあった

 その曖昧さが恐怖となって思わず声を漏らした私
どちらかというと「あわわゎゎ」に近い音
あとで動画再生ができたなら 
そんな自分を見てきっと笑うと思うがこの時は真剣にやばかった
生まれて初めてのカオス状態であった
その正体が透明なプラスチックの面 

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私にしてみれば  
もし ハロウィンや仮面舞踏会あたりでよく見かける
マスカレード・ベネチアンマスクの類であれば
または 
13日の金曜日のジェイソンの
アイスホッケー キーパーマスクなら
少しは正気でいられたかもしれないが
そこで見たのは透明なプラスチックの女性の顔の仮面(マスク)

この世のものとは明らかに違う
生々しくも人の肌ではない無機質な質感 そして違和感

真っ赤な口元だけが面の中で微かに動いていて
目元はよくわからないが確かにこちらをじっと見つめていた
それが部屋に置かれていた小道具だったとも知らず
レイはただ悪戯で私を驚かそうとしただけ

全裸で「あわあわ」している私の反応を見て
「アッハッハッハ」
大笑いしているレイ

その瞬間
私はやっとシナプスが繋がって 
怒る元気もなく
照れ笑いと言うか…情けない表情で
脱力 そしてため息をついていた

(参ったな…醜態を晒した…)

レイの悪戯はまんまと成功したのだが…正直 妙な疲れ方をした

「ゴメン ゴメン!」

レイは未だ笑いを押さえながらも そのプラスチックの面を脱ぎ
足早に全裸の私に近寄ってきて
思い切り唇を重ねてきた
濃厚なバラの香りのルージュの味わい

シャワー室内の濃いミストで 
レイの赤のキャミソールは白い肌に張り付いている

私の身体はレイの均整の取れた真っ白な肢体
よくわからない一連のプロセス
さらにおかしな興奮で異様に高ぶっていた

シャワールーム内で私たちは激しく重なっていた…
これで終われば めでたしだったのだが…
 
(合体 詳細はご想像にお任せします)
 

Holger Czukay - Persian Love

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