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【※締切りました】“暮らしの伝え手“を募集します!◎契約社員募集(※正社員登用あり)



今もなお昔ながらの雰囲気を残す西荻窪。
この町の駅から程近くに、落ち着いた佇まいの古民家があります。島根県の石見銀山に本拠地をおく群言堂が、衣食住の知恵を次世代へ伝える場として、島根の職人さんを中心に丁寧に修復した家屋です。
「Re:gendo」という店名で営業してきた10年間、国内外を問わず、たくさんの方々に愛されてきました。コロナ禍の中で節目を迎え、初心にかえって暮らしに向き合いたいという思いから、昨年8月に店名を「石見銀山 群言堂 西荻窪(暮らしの研究室)」に改めました。

そして今、ここでともに暮らしを伝えるスタッフを募集しています。
この機会に店長の樽川がインタビューを受け、会社やお店のこと、どんな方ならここで楽しく働いていただけるかなど、今の率直な思いをお話ししました。

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――まずは「石見銀山 群言堂 西荻窪(暮らしの研究室)」について、どんなところか教えてください。

樽川:群言堂は、島根県にある石見銀山大森町という人口400人にも満たない小さな町から、次世代に遺したい「根のある暮らし」を全国に発信している会社です。
今から30年以上前。登美さん(社長:松場登美)がパッチワークで作った暮らしの雑貨を、夫の大吉さん(会長:松場大吉)が担いで行商するところから、弊社の歴史が始まりました。
当時は、体のラインをいかにきれいに見せるかという、見た目重視のファッションが全盛だった時代。そんな時に、着る人の身体と心の健康を第一に考える「服薬」という言葉を大切にし、楽で着心地のいい衣服をメインに作り始めたそうです。たったふたりで始めた会社が、今や全国に30店舗以上を構えるまでになりました。
創業当初から、今も変わらず日本の職人の技術を生かした「ものづくり」と、暮らしの知恵や心構えを繋いでいく「ことづくり」に取り組んでいます。
その中でもこの「西荻窪(暮らしの研究室)」は、衣食住すべてについて提案している稀少な店舗です。少しでも家屋の中でくつろいでもらい、「根のある暮らし」を肌で感じ取ってほしいという会長の想いから、家庭料理やあまいものを味わえるスペースを設けています。

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天窓エリア 晴れの日は太陽の光が、雨の日は雨音が心地いい

――「根のある暮らし」と聞くと、地方の自然豊かな環境が思い浮かびますが、東京の23区内、しかも駅近くのこの場所でも実践できるのでしょうか。

樽川:私ははじめ石見銀山大森町に住みながら、群言堂が武家屋敷を再生して営んでいる「暮らす宿」で働いていました。そこで感じたのは、「根のある暮らし」はどんな土地でもできるのではないかということ。大森町や他の地方からヒントを得ながらだとしても、本当にやりたいと思えば、東京でもできる。都会のコンクリートのほんの少しのひび割れから、たくましく生えている野の花や雑草が、それを証明してくれている気がします。
“「根のある暮らし」はどんな土地でもできる”を体現する場としても、西荻窪から発信することには大きな意味があると思っています。

――なるほど。確かに、植物はどこでも意外とたくましく生きている気がします。実際にはここで、どんなことを実践されていますか?

樽川:以前からワークショップとして味噌づくりや梅仕事、山菜を味わう会などを行ってきましたが、今年は初めてここで干し柿をつくりました。
冬は風が冷たくて、寒いし肌も乾燥します。そこだけ考えたら、冬なんて嫌だなとなるかもしれない。でも、その寒さや乾燥があってこそ、おいしい干し柿ができるんですよね。
干した柿たちはみるみる水分を奪われて、一日一日確実に小さくなっていくんです。その様子を見ていると、風にも寒さにもありがとうと言いたくなりました。干し上がりもかわいく、おいしくできましたよ。

島根県大田市から送ってもらった西条柿
干し始めたころ つやつや

――「群言堂 西荻窪 暮らしの研究室」が大切にしている考え方を聞かせてください。

 樽川:社長の松場登美が大切にしている言葉に「復古創新」があります。「日本の古き良き技術や生活文化から学び、時代に合った新しい価値を創造する」という考え方を表したものです。
私たちもこの言葉を大切にしています。今は検索すれば、それらしい答えが出てくる時代。けれど、それが正しい情報とは限りませんし、それだけで学んだと言えるでしょうか。
また、巷に出回る食材や日用品の製造が、自然の循環を無視した人間本位のものづくりになっていることもめずらしくありません。目先の利益を優先するあまり、今の日本の文化は「きほん」を見失っているなと感じることがあります。だからこそ、物事の本質はどこにあるのかを常に考え、信頼できる人から学び、掴み、「きほん」を押さえることが大切だと思うんです。
その本質(きほん)と真摯に向き合うことを、一番大切にしたいですね。本質を押さえないと、次のステップに進んだとしても、続いてはいかない。そして、そのきほんの出発点は「真心」だとも思っています。

 ――樽川さんのおっしゃる「真心」とは?

 樽川:人への真心、モノへの真心、生き物への真心、目に見えない土の中の微生物に対する真心……配慮と言ってもいいかもしれませんね。人だけでなく、さまざまな対象の立場に立って、何を求められているのか、自分はどうしたらいいのかを考える。そういう気持ちを常に持っていられるよう、自分にも言い聞かせています。
会長の大吉さんは、この家屋に対して真心を持って接しています。日常をここで過ごす私たちもその心を受け継ぎ、この家を単なる家屋ととらえず、暮らしの仲間と思いながら、どんな使い方をしたらよろこんでくれるかなと考えています。

改修当時の店舗
左官仕事にも遊びゴコロ
群言堂の父 楫谷さんが遺してくださった庭
職人の道具たち

――家がよろこぶ使い方、ですか。たしかにこの建物の中にいると、なんとなく家がよろこんでいるのが伝わってくるような気がします。家そのものが、人を温かく迎え入れてくれるような感じもしますね。

 樽川:そう感じてくださるとうれしいです。
私たちは単に「カフェとして素敵だから」という理由だけで、古民家を使わせていただいているわけではないんです。
これまで伝えられてきた暮らしの知恵を受け継ぎ、次世代へ遺していくための研究室だからこそ、この建物でなくてはならない。工夫して、物を使い切ることがもたらしてくれる豊かさ。それをこの建物が身をもって表してくれているんです。そういうところには、きっと自然と人が集ってくれる気がします。

 ――「物を使い切ることがもたらす豊かさ」って新鮮ですね。物を使い切らずに新しい物を買うほうが豊かだとされてきた気がします。建物以外でも、実践されているんですか?

 樽川:はい。できるだけ捨てずに、どうしたら素材の良さを生かして最期まで使い切れるか。これは日々、お店を開ける中でも大切にしています。特に食材については常に考えていますね。
そこから、「もったいない小鉢」という発想が生まれました。

例えば、大根の葉。お客様にお出しする御膳に大根を使うと、どうしても葉がたくさん残ってしまいます。一般家庭に比べて大量ですから、スタッフだけでは食べきれません。それに冬に採れる大根の中で最も栄養があるのは葉の部分。そんな大事な部分なら、お客様にこそ食べていただきたい!と思い、おまけの小鉢として提供することにしたんです。
私たちがここでお届けしたいのは、昔から日常にある家庭料理。大根の葉を食べることは、作物の収穫が難しい冬場は特に、自然からのエネルギーを余すところなくいただこうと、どこの家庭でも当たり前にしていた暮らしの知恵です。その当たり前が失われつつある今、「もったいない小鉢」という形で、食材を無駄なく使い切る方法をご提案しています。

――なるほど。実際に味わってみると、食材への意識が変わるかもしれませんね。家でもやってみようかなという気になりそうです。

 樽川:そういう知恵をお客様にお伝えするには、やはり日頃の学びが重要だと思います。
できる限り人に会いに行き、実際に見て聞きながら学ぶ。それができなければ、本など信頼できる出どころから情報を集めます。集めた情報をさらに検討して、自分でも実践してみる。そうして初めて、自分の言葉でお伝えすることができる気がします。また、お客様の中には、私たちより多くの暮らしの知恵をお持ちの方もいらっしゃいますから、時には教えていただきつつ知恵を深めていけるような、謙虚な姿勢も大切にしたいと思います。

――「群言堂 西荻窪 暮らしの研究室」が大事になさっていることがわかってきたところで、いよいよスタッフ募集のお話をうかがいましょう。

 ●今回募集するお仕事

1.暮らしの料理人(調理責任者)1名
2.暮らしの伝え手 1名
3.暮らしの伝え手 兼 事務/経理担当 1名
 ※いずれも契約社員(正社員登用あり)

 樽川:セクションごとに1名ずつ募集していますが、単に自分に与えられた仕事をこなすのではなく、担当する仕事を通して、お店全体としてはどうか、次世代へ暮らしの知恵を伝えていく場としてはどうかなど、大きなものさしで物事を考えて行動できる方を望んでいます。
今回は、正社員登用も視野に入れた募集です。そのため、周りのスタッフに教えられながら成長していきたいという方ではなく、今まで培ってきた経験をここで存分に発揮したいという方にご応募いただきたいです。これまでみなさんが積み重ねてきた経験や気づきを生かしながら、お客様はもちろん自らの暮らしを深め、それぞれの人生を彩っていく。それが、ひいては日本文化の未来を明るくしていくような、そんな場をつくりたい。そういう気持ちでともに働いてくれる人が集まってくれたらいいなと思います。

  ――「暮らしの料理人」、「暮らしの伝え手」というネーミングには、こだわりがありそうですね。くわしく教えてください。

 ●「暮らしの料理人」について 

樽川:私たちが届けたいのは、日常にある家庭料理です。一昔前なら、どこの家でも当たり前に作られていたものですが、近年では当たり前ではなくなってしまいました。
家庭料理とは、大切な家族のことを思って作られた、真心のこもったもの。季節の移ろいを感じ、食材の声を聞きながら、大切な人の身体を想ってこしらえる。
それは、単なる料理ではなく、食べる人の一日の無事と健康を願う祈りだと考えています。
料理が食べる人に届いた先のことまで想像し、遊びゴコロを加えながらものづくりができる料理人。それが、私たちが求める「暮らしの料理人」です。
また、食について、私たちが大切にしたいキーワードは「おかあさんの背中」です。こちらの関連記事もご覧ください。(ここでいう“おかあさん”は老若男女を問いません。)

※ おかあさんの背中【リンク】

季節のお稲荷さん(登美さんの実家である豆腐屋さんのお揚げを使用している)
大森町から季節の知らせ
黒豆と抹茶のパウンドケーキ

●「暮らしの伝え手」について

 樽川:「暮らしの研究室」では、日本の技術を生かして作られた衣服や暮らしの雑貨、食品を取り扱っています。
あえて「販売」という言葉を使わないのは、モノは売って終わりではないと考えているから。この店を巣立ったモノが、お客様の暮らしに馴染み、家族の一員としてずっと大切にされることを願っています。 
どんなモノでも、形・色・素材には、なるべくしてそうなった理由、ストーリーがあります。物販はどうしても価格など、一目でわかることで判断されがちですが、お客様が買いたいと思わないのは、そのモノが持つストーリーを知らないからかもしれません。私たちが愛情を持って伝えることで、お客様の心にモノへの親しみが生まれる。
そんなモノたちに囲まれた暮らしなら、きっと毎日が楽しいはずです。

商品は、並べられてもなお、生きています。スタッフが愛情をこめて扱っていれば、どんどん魅力が増していくんです。モノのもつストーリーに興味を持ち、自ら知識を深め、人に接するのと同じように、モノとのかかわりを大切にできる。そんな方をお待ちしています。

日本には、職人たちの技術が光る良いモノがたくさんあり、そのモノに愛着を持って使う人が増えれば、新たな職人たちも育っていきます。
これからの日本に遺していきたい、ものづくり文化の循環を担う人。それが、私たちが求める「暮らしの伝え手」です。

逆スラブ糸使用の白シャツ
草木染商品「里山パレット」

――お客様やスタッフはもちろん、建物、食材、そして雑貨や衣服まで……。それぞれの声に耳を澄まし、自分からよく学びよく考えて、暮らしの知識を深めていける人を求めているんですね。

 樽川:そうですね。そこに楽しさを見出せる人だったら、ぴったりの職場だと思います。
ここで一緒に楽しみながら、お客様にも暮らしを楽しんでいただけるよう、お伝えしていけたらと思っています。
日々、たくさんのお客様と接しながら、表に見えない業務をこなしつつ、常にアンテナを張って暮らしの知識を深めるというのは、正直たいへんなことだと思います。でも、人生における本当の楽しさ、本当の豊かさを知るためには、そういうことも必要なのかもしれません。
第二創業メンバーとして「暮らしの研究室」の中核を担い、「あなたの変わりはいない」と言われる仕事を自ら作っていく気持ちのある方のご応募をお待ちしています。

※募集要項 【 リンク 】
この募集は締め切りました。


interviewer : Mika Takahashi / Writer
interviewee : Miho Tarukawa / gungendo


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石見銀山 群言堂 西荻窪(暮らしの研究室)


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