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人はなぜ『三密』を避けたのか~社会心理学的考察~

AfterコロナからWithコロナへ

 新型コロナウイルス感染症との戦いも、さまざまな変遷を経て「撲滅」から「共存」へと移行し、社会活動や経済活動は行きつ戻りつしながらWithコロナの世界を形成されつつあるのではないでしょうか?
 多くの企業が在宅勤務を前提とした働き方を模索しました。また、提供される商品やサービスの多くが、オンラインでも店頭と同様にに受けることが可能となる等、コロナは経済活動における大きな変化点であったと思います。ネットを活用した在宅勤務の推進、消毒やマスク着用をデフォルトとした社会、オフラインからオンラインへのシフトなど、Beforeコロナでは想像もつきませんでした。
 メディアの世界も同様です。マスクやフェースガードをしながらの中継や収録、透明パネルが設置されたスタジオや出演者が大きく離れた立ち位置、リモートで参加する出演者がいかにもスタジオに居るかの如く大型パネルに等身大で映し出されるなど、改めて冷静に見ると非常に奇妙な画像に慣れてしまった自分がいます。
 他方、一部のCMやドラマではこの状況を逆手に取ったクリエイティブも出現し、人間の対応力の高さに感服しました。また、オンラインは難しいと言われていたサービス業、特に音楽や演劇界も、さまざまな工夫によりオンライン化が進みました。
 いずれも新型コロナウイルスを拡大させまいと「三密」を避けるための素晴らしい工夫や改革です。この「三密(密閉、密集、密接)」という言葉、覚えていらっしゃいますでしょうか?実は、日本だけの特殊な言葉ではありません。海外でも2020年7月18日にWHOが「3C(Closed spaces、Crowded places、Close-contact settings)」 として“3つのC”の回避を呼び掛けるメッセージをFacebookとTwitterにて提唱し、世界的な行動規範になりました。ちなみにWHOは現在でも3Cを「感染を減らし、ウイルスの進化を遅らせるために、感染を減らすために、効果的な個人レベルの保護措置の使用を引き続き促進」という形で推奨しています。
 しかしながら私のような天邪鬼マーケターは「なぜ多くの企業や人が、それも世界中で同じような行動をしたのだろう?」と言う点に大いなる疑問と興味を持つ訳でして。。。「そろそろ通常に戻ろうよ」という世論が形成されつつある中、改めて世界的に「三密(3C)」を避ける動きが発生した背景を、社会心理学的側面からの考察を試みようと思います。

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